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ロードスター再考(2) 初代ロータス・エリーゼ 当時のストーリー 今の印象

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ロードスター再考(2) 初代ロータス・エリーゼ 当時のストーリー 今の印象

当時は歓迎されづらかった

ロータス・エリーゼの販売が決まった時、ディーラーの人達は皆、怪訝そうな顔をしたと言う話を聞けば、ふしぎに思う読者もいらっしゃるかもしれない。

ロータス史上最高の3台 エランS2/エスプリ・スポーツ300/エリーゼS1 一気乗り

当時ロータスは、エスプリやエクセルを主力商品として擁していたため、あまりに簡素な出で立ちのニューカマーを歓迎するには一抹の不安があったのだ。

どうして内張りがないの?! きっとそう思ったに違いない。

しかし1995年のフランクフルト・モーターショーで最初にエリーゼが姿を表した時の世界の反応を見て、その心配がまったくの杞憂だったことが初めてわかった。

1993年の8月、ブガッティはロータスを買収し、ベーシックなスポーツカーを制作するよう命令を下した。一方でローバーのエンジニアはアルミニウムの押出についてもっと学んでみたいと思った。エリーゼのプロジェクトはこの2社の合併事業であったが、後にBMWがローバーを買収したことにより一旦は水泡に帰した。

ようやくエリーゼの開発にゴーサインが出たのは1994年1月のことで、3年間で2700台の生産が計画された。ジュリアン・トムソン氏がデザインを担当し、彼のチームは、エランやセヴン、そしてスポーツレーサーのロータス23が載った過去の資料を注意深く読み込んだそうだ。

ヒントは得るが、まねはしない

過去のクルマからヒントを得たといっても、レトロな要素は取り入れなかった。

シャシー設計を担当したリチャード・ラッカム氏はエポキシ系接着剤で接合した押出アルミニウムによるバスタブフレームを採用し、わずか68kgという軽さと頑強さを同時に手に入れた。

トムソン氏はタルガ・フローリオに出場したミド・エンジンのレーシングカーなどたくさんのクルマからデザインのヒントを得た。

実際に見ても、低く構えたスタンスや無数の曲線で構成されるボディや数多のエアベント、にこりと笑った顔にも見えるフロント・エンドなどは、古いレースカーを意識していることが伺える。

愛らしさのある、と言う表現だけには終わらず、機能を優先したがゆえの潔さがあるのがデザイン上の特徴だ。

「その気」になるコックピット

コクピットに乗り込む際のプロセスは決して上品と言えるようなものではなく、コクピットに身を収めた後もフィジカルな面で安楽とは言い難い。

どこかしこもアルミニウム剥き出しで、目の前にはシンプルな2対のメーターが設置される。ドライビング・ポジションは理想的であるが、同時にペダルのポジションや視界も確実に確保されている。

どんな人が乗ったとしても、きっと「その気」になるに違いない。

開発当初はルノーの16バルブ・クリオ・ウィリアムズのエンジンを使用することを考えていたが、重すぎることが原因で却下になったそうだ。

もしかすると最終的に採用した、控え目なK-シリーズ4気筒エンジンには拍子抜けするかもしれない。しかしこのエンジンは軽く、手に入れやすく、また進取的であることから完璧だといってもいい。最高出力こそ120psに留まるものの、車重を考えれば十分な仕様だ。

パンチのある加速というよりも、MX-5にも通ずる外柔内剛なマナーこそがエリーゼをエリーゼたらしめる重要な要素だ。決して直線番長ではないのだけれど、コーナーに飛び込めば、そこにはロータス特有の振る舞いがある。

いつまでも色あせない

溌溂としたエンジンはエリーゼの性格にはぴったりだし、ステアリングもダイレクトで正確、フィードバックにも満ち満ちている。

ウェールズあたりでも、エリーゼの2倍の性能をもったクルマでさえ、エリーゼのような身のこなしをするのは難しいだろうと感じることが多々あった。

実用的なマシンとは言えないけれど、この記事のためにエリーゼを貸与してくれたアリステア・クラーク氏のように小さなスーツケースに荷物を詰めて、奥様とヨーロッパを旅することもできる。

たくさんの人たちにとって、初代エリーゼが最高のモデルであり続けるだろう。ドライビングにおける真のスリルは健在であった。

たとえ£30,000(510万円)という価格であったとしても、その価格以上の価値を見出すことが可能だし、間違いなくあなた自身を満足させてくれるだろう。

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