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スポーツ 2019.7.8

F1オーストリアGPでは親チームのレッドブルと明暗。熾烈な中団争いでコンマ数秒遅れは命取り/トロロッソ・ホンダF1コラム

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 F1第9戦オーストリアGPではレッドブル・ホンダが優勝を果たした。その陰で、同じホンダ製パワーユニットを搭載し、同じモーターホームに居を構えるトロロッソ・ホンダは大きく沈んだ雰囲気に包まれていた。レッドブル・リンクではレース週末を通して一度たりともコンペティティブな走りができなかったからだ。

 トロロッソはワークスチームのレッドブルと同じパワーユニットを使い、他メーカーのカスタマーチームとは違ってワークスと同じ運用をしている。それにも関わらずレッドブルとのあいだに大きな差が付いてしまったのは車体とチーム力の差に他ならず、それをまざまざと見せつけられてしまったことを意味していた。

    【F1オーストリアGP無線レビュー】「あのパワーがあったからこそオーバーテイクできたんだ!」レッドブル・ホンダが総力戦で掴み取った勝利

 第8戦フランスGPで不振をかこったトロロッソは、オーストリアGPの金曜フリー走行でセットアップの方向性について実験的な試みを行うことにした。しかしそれは上手く行かなかった。

「僕のマシンでかなり大がかりな実験的な作業を行ったんだけど、それが思った通りに機能してくれなかった。だから大幅にセットアップを変えて予選最優先でダウンフォースを付ける方向にセットアップしたんだ」(ダニール・クビアト)

 フランスGPでクビアトがスペック3を投入してペナルティを消化し、オーストリアGPではアレクサンダー・アルボンが最後尾スタートのペナルティを受ける番になっていた。

 そのため予選ではアルボンがダウンフォースを付けて車速が伸びないクビアトの前を走り、スリップストリームを使わせてアシストする役に回った。

「僕は最初からロングランだけに集中してセットアップを進めていたけど、予選ではタイトな争いだったからダニー(ダニール・クビアト)がQ2に行けるようにストレートでスリップストリームを使ってコンマ数秒でも稼げるようにヘルプすることにしたんだ」

 しかしクビアトはターン9でスロー走行中のジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)と交錯しアタックラップをフイにしてしまった。

 アップダウンが大きくブラインドコーナーも多いレッドブル・リンクのセクター3ではリヤビューミラーでの後方確認が難しく、レースエンジニアからの情報伝達が無かったラッセルにはどうすることもできない状況だったが、レーシングライン上に突如現われたマシンにクビアトはアタックを断念せざるを得なかった。

「僕はもうコーナーにアプローチしていたから、あれ以上避けるのは不可能だった。ステアリングを左に切るしかなかったんだ。クルマのフィーリングはとても良かったけど、ブロックされて全てが台無しになってしまった」

「今週末で初めてフィーリングが良かったんだ。今週一番の状態だったし、あのラップはとてもエンジョイできていたんだけどね。いきなりレーシングライン上にクルマが現われてビックリしたよ。あれ以上酷いことが起きなくて幸いだったけどね」


 その瞬間、クビアトが無線で「誰かを殺してしまうところだった!」と叫んでいたのはそのためだった。250km/h近い速度でコーナリングしている途中で止まりそうなほど低速走行のマシンに追突すれば、大袈裟ではなく極めて重大なマシンへのダメージ以上の被害が出ていた可能性もあった。

 しかしクビアトはこれでQ1敗退を余儀なくされてしまった。予選で前に行き、純粋なラップタイムの速さで勝負するはずだったクビアトのレース戦略は、早くも崩れ去ってしまった。

 実際、最後方からスタートしたクビアトはストレートの車速が伸びるウイリアムズを抜けず、極めて厳しいレースを強いられることになってしまった。

「とにかくとてもプアな予選が全てだったね。あれで週末全てがダメになってしまった。僕らはライバルよりもダウンフォースを付けるセットアップをしていたんだ。それはできるだけ上位のグリッドからスタート(してラップタイム優先で走行)することを前提としたものだ。だからあの位置からのスタートではSitting Duck(良いカモ)だったよ」

 最後尾スタートを前提に、決勝でのロングランペースを最優先にセットアップしていたアルボンも、気温35度という暑さの影響でレースは上手くいかなかった。

「タフな1日だったしガッカリなレースだったよ。決勝のペースよりもフリー走行でのペースの方が速かったくらいだからね。今日は第1スティントでフロントタイヤに苦しんでしまって、第2スティントでは悪くなかったけれど、僕らの本来のパフォーマンスとは言えなかった」(アルボン)

「今日はすごく暑かったから、タイヤをオーバーヒートさせないようマネージメントしすぎてロスしてしまったんだと思う。もっと良いレースができると期待していただけにガッカリだよ」

 全く同じパワーユニットを使うレッドブルがあれだけの速さを見せて優勝したのに対し、自分たちは最後方に沈んでしまった。それは間違いなく車体とそれを走らせるチーム力の差だった。

「そうだね、ホンダが勝ったことは素晴らしいことだし僕らにとっても力強いことだよ。優れた車体があれば僕らだって勝てるということなんだからね。コーナーで僕らに何が足りていないのか、それをしっかりと理解しなければならないね」

 フランスGP、オーストリアGPと立て続けに低調な週末を過ごしてしまったトロロッソは、その理由をしっかりと分析し改めて問題点を見つめ直す必要があるとクビアトは語る。

「僕らはあらゆるエリアにおいて少しばかり性能が限られている状態だ。高速域でも、コーナーでも、そしてパワーでもね。だから一度しっかりと腰を落ち着けて分析し、そういう状況下で全てを(コンペティティブなレベルでバランスを取り)ひとつにまとめ上げるためには自分たちに何ができるのかを見つめ直す必要があるだろう」

「バルセロナ(スペイン)のようなサーキットでは速かったし、モントリオール(カナダ)ですらコンスタントにポイント争いができていたのにこの2戦でそれができなかったんだから、その理由をしっかりと解析する必要があるよ」


 マシンバランスが悪く、マシン本来の速さを使い切れなかったのが低迷の理由だったという。極めてタイトな中団グループのなかで、コンマ数秒でも実力を発揮しきれないことは大きな後退を意味する。

 逆に言えば、その問題点さえ解決できれば、トロロッソは再び入賞圏で戦えるはずだ。レッドブルの躍進を見れば、トロロッソにも充分にチャンスがあることは明らかだ。

 シーズン中盤戦から後半戦をしっかりと戦うために、トロロッソにとってはここが正念場になりそうだ。

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