2016年のF1ワールドチャンピオンであるニコ・ロズベルグは、自動車産業が完全に電気自動車に依存し始めた場合には、DTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)も電動パワートレインの導入を検討すべきだという意見を示した。
DTMは現在、スーパーGTと統一のクラス1規定が採用されている。また、2021年もしくは2022年から共通のハイブリッド・エレメントを追加導入するのではないかと見られている。
■DTMが生き残るために電動化が必須? F1王者ロズベルグの提言
こうした動きはマニュファクチャラー、そしてスポンサーの後押しの結果と言える。しかしDTMを運営するITRの代表、ゲルハルト・ベルガーは電動化を好んでおらず、ロズベルグの意見に次のように反論した。
「我々が核としているのは見応えのあるレースをすることだ。私は電気技術を駆使したレースでそういったものを見たことがない。見応えがないレースという言い方は適切ではないかもしれないが、とにかく遅いんだ」
「(電力チャージまでの)走行距離が短いし、F3のマシンよりも遅い。F1のようなカテゴリーを目指している我々にとっては方向性の違うものだ」
「それは我々のDNAに反するものだ。電動のツーリングカーがあってはいけないということではないが、DTMはそれとは違う。我々のDNAとは異なっているんだ」
アウディとBMWはともにフォーミュラEに参戦しており、2025年までにアウディは30種、BMWは25種の電気自動車の生産を計画している。
アウディスポーツの代表、ディーター・ガスはmotorsport.comに対し、DTMの電動化は“どのくらい将来を見据えているか”にかかっていると語った。
「私はDTMがすぐに電動化するようには思えない」
また、DTMのハイブリッド移行の動きについて、アウディにとって満足のいくものだったかを尋ねられると、ガスはこう返した。
「まさしくそうだ。それは我々にとっても最初の一歩になるだろう」
一方のBMWは、フォーミュラEの存在と、パワートレインに関する自社のモータースポーツプロジェクトの必要性を指摘した。
BMWのモータースポーツディレクターを務めるジェンス・マーコートは次のように語った。
「我々はフォーミュラEに参戦している。そして現在はグローバルな展開を視野に入れている。その点でBMWが行っていることは、柔軟性を持つための準備であると言える」
クラス1規定がDTMとスーパーGTをより近付ける意図で定められたにも関わらず、DTMがハイブリッドを導入することになれば、潜在的に2者が対立する可能性が出てくるとも言える。
スーパーGT側のスタンスとしては、ハイブリッド化よりもDTMとの整合性を保つことを優先事項としている。DTMのハイブリッド化がこれらの提携に支障をきたすのではないかという問いに対し、ベルガーはこう語った。
「我々(DTMとスーパーGT)はそれについて協議中だ」
「私はハイブリッドがあまり好きではないが、これはマニュファクチャラー側からの要望なんだ」
「日本のマニュファクチャラーが(ハイブリッド化を)望まないのであれば、それは驚きだ。我々には議論する時間がある」
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