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メーカー間の垣根を取り払うムーブメント……トヨタ&ホンダ共催のモースポフェスが持つ意味とは?|鈴鹿サーキット社長インタビュー

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メーカー間の垣根を取り払うムーブメント……トヨタ&ホンダ共催のモースポフェスが持つ意味とは?|鈴鹿サーキット社長インタビュー

 3月2日(土)と3日(日)に鈴鹿サーキットで開催される「モースポフェス2019 SUZUKA ~モータースポーツファン感謝デー~」。既報の通り、レッドブル・ホンダの2019年カラーリングをまとったF1デモカー、2018年の四輪と二輪のル・マン24時間優勝マシン(TOYOTA TS050 HybridとF.C.C. TSR Honda のCBR1000RR)の共演、WRCチャンピオンマシンのトヨタ・ヤリスWRCと2017年のインディ500を制したアンドレッティ・オートスポートのインディカー……世界中のカテゴリーを席巻したレーシングカーが、一同に走行を披露するという、豪華すぎる内容のイベントとなっている。

 この”モースポフェスSUZUKA”は、トヨタとホンダ、そしてモビリティランド(鈴鹿サーキット)の共催。そのため、前述のような豪華すぎる走行ラインアップが実現するのだ。トヨタとホンダは、一昨年の11月にも熊本で”モースポフェス”を共催。モータースポーツの盛り上げにひと役を買った。

■鈴鹿サーキットで31回目。2019年の日本GPで目指すは”綺麗で格好良い”F1

 しかし、このような”共催”イベントは、これまでにはほとんどなかったこと。トヨタは富士スピードウェイで”TOYOTA GAZOO Racing Festival”を開催し、ホンダはツインリンクもてぎで”Honda Racing THANKS DAY”を開催……それぞれが独自のイベントを開催するのが常だった。それが今回は共催。一体何かあったのか?

 今回の「モースポフェスSUZUKA」が実現した経緯について、開催場所となる鈴鹿サーキットを運営するモビリティランドの山下晋社長に話を訊いた。

「ひと言で言えば、日本のモータースポーツをもっと盛り上げていきましょうということが、トヨタさんとホンダさんの共通認識になりつつあります」

 そう山下社長は語る。

「一昨年には熊本でも、2社による共催のイベントがありました。そして昨年のF1日本GPと同日に、東京のお台場で行われた”東京モーターフェス”の際にも、協力体制があったのです。その時はトヨタとホンダ両社の社長さん同士が『もっと盛り上げたい』と話し合われたということで、我々も協力してDAZNさんにお願いして、F1日本GPの決勝レースを、パブリックビューイングで流すことができました」

「日本のモータースポーツをもっと盛り上げなければいけないということは、トヨタの豊田(章男)社長とホンダの八郷(隆弘)社長の間での共通認識になってきています。それで『一緒に何かできないか』というお話になったようで、我々にご相談をいただきました」

「我々が毎年実施してきた”モータースポーツファン感謝デー”を予定していた日程であれば、トヨタさんもホンダさんも参加可能だということで、このイベントを”モースポフェス”として開催するということになりました。ただ、我々としても”ファン感謝デー”は止めたくないので、サブタイトルとしてその名もつけさせていただいています」

「少なくとも、我々がトヨタさんとホンダさんに働きかけたわけではありません」

 しかし、すでに走行が決まっているマシンを見るだけでも、豪華すぎるラインアップだ。世界広しといえど、これほどまでに幅広いカテゴリーのマシンが揃う国は、日本以外にはないだろう。

「トヨタさんやホンダさんが、モータースポーツを盛り上げたいと思うのは、当然のことだと思います。あらゆるチャンピオンが、そこにいるのですから。それを揃えることができるのは、日本だけですから」

 トヨタとホンダだけではなく、メーカーの垣根を取り払い、日本のモータースポーツを盛り上げていこうというムーブメントが起き始めていると、山下社長は語る。

「我々は確かに、ホンダのグループ企業です。でも、ホンダだけがモータースポーツを頑張っても意味がない。日本のメーカーすべてが、この国のモータースポーツを盛り上げることに参加していただくのが理想の形です」

 そう山下社長は語る。

「例えば昨年のMotoGP日本GPのパレード(グランプリロードR123パレード)の際には、ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキという日本の4メーカー各社の社長や役員さんにご参加いただきました。カワサキはMotoGPに参戦していないにもかかわらずです。そんなことは、過去にはありえませんでした。そういう、各社が協力してモータースポーツを盛り上げようというムーブメントが起き始めています」

「例えばテレビや映像の露出も、各社が協力すればかなり大きな金額が集まるはずです。それが実現すれば、世界が変わるかもしれないと思っています」

 ドライバー育成の部分でも、メーカー同士の協力ができるはずだと、山下社長は語る。

「ドライバー育成に関しても、メーカー間で協力し合うことができるかもしれません。例えばホンダさんの育成ドライバーの中に、フォーミュラよりもクローズドマシンの方が得意なドライバーがいれば、トヨタのWECマシンに乗ってもいいと思います。逆にトヨタの育成ドライバーがフォーミュラですごく速いなら、ホンダのF1に乗ることもあるかもしれない。そういうことがもっとできるようになれば、日本人ドライバーの可能性をもっと活かせるのではないかと思っています」

 メーカーの枠にとらわれず、日本のモータースポーツを盛り上げていくこと……それはホンダの創始者である本田宗一郎が、鈴鹿サーキットを作った理念に一致すると山下社長は説明する。

「我々にできるのは、モータースポーツを盛り上げるための場になるということだと思います。そこで走るのはドライバーでありライダーであり、そして走らせる道具を作るのはメーカーさんです。そのためのインフラをご提供する場として、より高いレベルになってく……それが我々の役割だと思っています」

「それは、本田宗一郎さんが鈴鹿サーキットを作った意味だと思っています。モータースポーツを盛り上げること……それは我々の企業理念だと思っていますし、鈴鹿サーキットが生まれた理由です。そういう意味では、本来の意味合いに戻りつつあると思いますし、それを目指して整えてきたつもりです」

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