今シーズンの国内トップカテゴリーで二冠を達成した山本尚貴。来季のF1参戦も噂されていたが、トロロッソの2枠目がアレックス・アルボンに決まり、2019年のF1レギュラー参戦の可能性は絶たれてしまった。
本人もF1挑戦への思いを公言していたが、アルボンの起用が発表された後はどのように考えているのか? motorsport.comの取材に対して、今の心境を語ってくれた。
■山本尚貴、アブダビGP視察の収穫を語る「やっぱりF1は特別な場所」
国内最高峰カテゴリーに参戦して今年で9年目を迎えた山本。スーパーフォーミュラではTEAM MUGENからエントリーし、シーズン3勝を挙げる活躍で自身2回目のシリーズチャンピオンを獲得した。
またスーパーGTでは元F1王者のジェンソン・バトンと組み#100 RAYBRIG NSX-GTをドライブ。第6戦SUGOでの優勝を含む4度の表彰台を獲得し、このカテゴリーでは自身初となるシリーズチャンピオンに輝いた。
これにより、2004年のリチャード・ライアン以来、史上4人目となる国内トップカテゴリー二冠の快挙を成し遂げ、同時にF1参戦に必要なスーパーライセンスポイントも取得条件を満たし、一気にF1挑戦を期待する声が高まった。
山本自身もF1参戦に対し真剣に考えており、まずは今のF1の現場を知るために最終戦アブダビGPを訪問。そこで自身の意志を再確認し、帰国後に「F1へ挑戦したい」という思いをメディアに明かした。
しかし、この思いとは裏腹にトロロッソは空席となっていた2つ目のレギュラードライバーにアルボンを起用することを発表。山本が来季レギュラー参戦するという可能性が絶たれてしまった。
当然、山本もF1への挑戦を公言していただけに、トロロッソのレギュラーシートが全て埋まったことに対して、複雑な思いを抱えている様子だ。しかし、国内トップレースでの二冠達成からアブダビGP訪問に至るまでの間に、トロロッソに対してホンダが全力で交渉に当たっていたことを明かした。
「レーシングドライバーとしてF1に乗りたいという思いは当然みんな持っているでしょうし、僕もF1で戦ってみたいという思いは今でもあります。ただ、現状を考えると……(難しい課題は)色々あります。期待してくれた皆さんには申し訳ない気持ちはありますが、でもホンダは限られた時間の中で一生懸命頑張ってくれました」
そう語った山本。トロロッソとの交渉の中で、大きな壁となったのが“年齢”と“交渉タイミング”だったという。
「僕はホンダのドライバーではありますが、今はホンダがF1にチームとして参戦しているわけではなく、あくまでパワーユニットサプライヤーとしての立場です。チームとスポンサーがメインであって、そこにパワーユニットのメーカーがプラスして戦っている状況です。そうすると、チームやスポンサーの意向の方が色濃く出てしまう状況です」
「その中でネックのひとつとなったのが年齢でした。レッドブルは若いドライバーにチャンスを与えて、彼らの可能性と能力を引き上げたいという考えを色濃く持っています。そこに対して(現在30歳の)僕が入り込んでいくのは少し難しい部分がありました」
「あとスーパーGT(最終戦もてぎ)が終わってアブラビGPまでの短い期間で、相当ホンダが頑張って交渉してくれました。しかし、その前に来季のドライバーを決定するにあたり、水面下でレッドブルも(候補ドライバーとの交渉などを)動いていました。そうした中、このタイミングで僕が手を挙げても……やっぱりタイミングとしては遅かったのかなと思います」
「とはいえホンダとしても、こういうチャンスがたくさんあるわけではないので、トロロッソ側にはかなりプッシュしてもらいました。でも、なかなか扉を開くことはできなかったです」
また、一部では「アブダビテストに残って自身をアピールするべきだったのでは?」という声もあったが、そこも“契約”としてかなり前から乗るドライバーが決まっており、入り込む余地がなかったという。それらも踏まえて、アブダビGPの現場でF1に乗ることの“現実”という部分も目の当たりにしてきた様子だった。
「当然、F1に乗るためのテスト等が出来ればよかったですが、オフシーズンのアブダビのテストに関しても、かなり前から契約で決まっています。当然(乗るチャンスがほしいと)打診はしましたし、ホンダもそこに対して働きかけてくれました。ただ……そこは契約上なかなか難しいところがあるのも現実です」
“来季F1デビューか?”という期待も高かったが、残念ながらその可能性は絶たれてしまった。それでも山本は自分自身のため、そして将来F1参戦を目指す後輩のドライバーたちに繋げるためにも、F1挑戦を実現するための可能性は探っていきたいと語った。
「こうして(来季の)レギュラーシートが決まった今、全てを諦めたかというと……そうじゃないです。ホンダとしても、このプロジェクトが大事だというのは分かっているので、その(スーパーライセンスポイント獲得の)権利を持っている僕がなんとかF1に携われるような環境だったり“橋”を作ろうと今も(交渉等を)継続してくれています。いつチャンスが来てもいいように、できる限りの準備をしていくことしかないと思います」
「もちろん、そういう機会があれば自分の力を発揮したいなと思いますが、まずチャンスを掴みにいく。そのきっかけを作れるように僕も努力したいし、ホンダに対しても協力して欲しいと思っています」
「それによって、僕の後に続く日本人の若手の選手も出てくるでしょうし、自分のことだけじゃなくて、後輩やこれからのドライバーのためにも、扉を開いていくという意味では自分に課せられた責務は色々あるのかなと思っています」
「ただ……自分の今の生活もあるので、夢と現実をしっかりと見据えた対応と行動はしていきたいと思います」
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