第19戦メキシコGPで未使用のパワーユニット『スペック3』を緊急投入することとにったピエール・ガスリー。しかし、そのガスリーは金曜日のフリー走行1回目は、セッション開始直後に2周しただけ。計測タイムもなく、残りの1時間以上はガレージに留まったままだった。
トラブルが続いているガスリーのスペック3に、新たな問題でも発生したのか。
F1 Topic:ガスリー、メキシコGPで苦渋のパワーユニット交換。決勝は最後尾スタートが決定
ホンダによれば、これは予定通りのメニューだという。その予定されていたメニューとは、ガスリー車に搭載された未使用のスペック3は、2周だけ走らせた後に再び交換するというものだった。ただし、ここで交換されるエンジンはスペック3ではなく、旧型のスペック2だった。
そして、そのスペック2は、ブレンドン・ハートレーのマシンにもすでにフリー走行1回目開始前に搭載されており、ハートレーはパワーユニット交換を行う必要がなかったために、29周を走行することができた。
なぜ、今回メキシコGPでホンダはスペック3ではなく、スペック2を使用するのか。田辺豊治F1テクニカルディレクターは次のように説明する。
「メキシコGPが行われるエルマノス・ロドリゲス・サーキットは標高が約2500mなので、エンジンのセッティングが平地で行われるほかのグランプリとは異なります」
「最新スペック(スペック3)はここ数戦オシレーション(共振)の問題を抱えていたため、メキシコGP用のセッティングを行うための時間的な余裕がなく、ここまで使い慣れた、旧スペックでメキシコGP仕様のセッティングに調整するほうが確実性が高いと判断しました」
つまり、メキシコGPでスペック2を使用する理由は、ガスリーのパワーユニットにこの2戦で発生していた問題とは関係なく、メキシコGPが開始される前から決定していたことだった。
メキシコGPで最新スペックを使用しないのは、ホンダだけではない。マックス・フェルスタッペンによれば、「ルノーのスペックCも標高の高いサーキットで困難に直面することをわかっているため、メキシコGPとその次のブラジルGP(標高約700m)より前のグランプリでスペックBを投入しておき、プールしておく必要があった」という。レッドブルが第16戦ロシアGPにスペックBを投入したのは、それが理由だった。
つまり、今回のメキシコGPではスペック2で戦うホンダだが、終盤2戦のブラジルGPとアブダビGPでは再びスペック3に戻す。それはすでにグランプリで走らせたものになるので、ふたりともグリッドペナルティを受ける予定は、いまのところない。
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