今季も後半戦に突入したF1世界選手権。その初戦となるベルギーGPでは、トロロッソ・ホンダのピエール・ガスリーが、戦前の評価を覆す走りを見せ、9位入賞を果たした。
来季からはレッドブルにもパワーユニットを供給することになっているホンダ。ホンダは日本のさくら研究所だけではなく、イギリスのミルトンキーンズにも前線基地を設け、チームとの情報交換を密に行っている。ミルトンキーンズはレッドブル・レーシングの本拠地でもあり、その地の利は、今後も生きてきそうだ。
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そのミルトンキーンズのホンダ前線基地に、ベルギーGPを前に訪問。ホンダのF1プロジェクトを率いる田辺豊治F1テクニカルディレクターに話を訊いた。
ーー田辺さんはホンダ第2期のF1、その後はアメリカのインディカーレースを担当し、今季からF1に復帰しました。
「今のF1のシステムに関しては今年からしか経験がありませんが、基本的なエンジン開発に関する考え方は、アメリカだろうとその前のF1だろうと変わらないと思います。今のF1は非常に尖った技術が組み合わさっているので、その辺りは専門の技術者にしっかり対応してもらい、それを束ねてひとつのものにするのが私の仕事です。それを放置すると、個々の技術は非常に優れているかもしれないけど、例えばエンジンと熱回生の関係のように、どう使うのかというときにバラバラになってしまいます」
ーー専門的な知識を持った技術者は大勢いらっしゃるのですか?
「それはレーシングドライバーがいつもパワーがないと言うのと同じで、技術者も常にもっと大勢欲しいというのが正直なところです。我々のPU開発は基本的にさくらで行っていますが、ホンダ社内のリソースを使うのは当然ながら、F1界の最新情報を入れつつ対応しています。バッテリー開発を含めて、電気系の開発はここ(ミルトンキーンズ)で行っています。日本だけでやっていると井の中の蛙で、それじゃあ駄目です。エンジンの専門家などは日本にいますけどね」
ーーレースの技術開発と量産車のそれではお互い技術の交流などはありますか?
「直接比較は難しいですが、基盤となるところは一緒で、どこを尖らせるかがポイントです。量産車技術者の開発が台形のようなものだと例えると、レース用はそこの上にエベレストの様に尖りがある感じです。でも、それらの下には地球という基盤がある。当然、F1にしか使っていない部分はありますし、共通で持っている部分もあります。今のF1を担当している開発陣は量産から集まって来た人達が多くて、新しく始まった熱(MGU-H)、電気、回生系などは、コントロールも含めて量産から来た人が結構います。レース屋集団ということではなくなっています」
ーーかつてホンダではF1を走る実験室だと言っていましたが、現在はどうですか?
「人の交流を含めて、働き方に対する育成もあるし、技術的な育成もある。技術で言えば、例えば希薄燃焼の情報だとかは常に量産とシェアしています。技術そのものではなく、種として持っているものは他にもあります。それはエンジンだけでなく、電気系などもそうですね」
ーー今後、PUを供給するチームが増えます。ホンダの活動に変化はありますか?
「基本的にはこれまでと変わりません。ただ、レッドブルとトロロッソへの2チーム供給は、仕事がやりやすい状況になるはずです。なぜかというと、レッドブル・テクノロジーというレッドブルとトロロッソの技術を担当している組織があり、そこでホンダに対する要求を一本化してくれるからです。ホンダはそのレッドブル・テクノロジーへ、両チーム用として同じ仕様のPUを供給します。一本化で渡すわけです。効率的でやりやすいですね。もちろんレッドブル、トロロッソ、ホンダの3社で一緒に会議は行うのですが、彼らはお互いの要求を整合した上で我々に要求して来るわけです。今その準備中です」
ーーテスト状況は?
「クルマに載せて走らせる形のエンジンテストはFIAの規則で出来ませんが、テストベンチ上でのテストは可能です。ここ(ミルトンキーンズ)にもダイナモがあって、ギヤボックス付きで回せるようになっています。レッドブルのチームが近所にあるので、チームのメンバーが来て、ギヤボックスを含めて車体の冷却パーツなどを一緒にテストをしています。そういう形でのテストはできます。もちろん日本でもやっていますが、ここに前戦基地があってダイナモもあるので、地の利を活かせます。チームメンバーも来やすいし、物流も楽なので、ここを活用しています」
ーーレッドブルの2019年のドライバーは発表されました。トロロッソはまだですが、ホンダとしてはどういうドライバーが欲しいですか?
「難しいですね。その辺りはチームの仕事なので、我々が関知するところではないです。レッドブル・グループとしての動きなどもあるでしょうから」
ーートロロッソはガスリーを失うわけですが、彼は良い仕事をしてきたので、それに変わるドライバーを見つけるのは大変ですね。
「トストさんは自分のチームに対する思い入れがすごく強い。ビジネスとしてではなく、レース屋さんの大将としての思い入れですね。ですから、彼は苦心して見つけて来るんじゃないですか。我々も期待しています」
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