F1の開発はとどまるところをしらず、毎グランプリ、新しいパーツが導入されている。F1iのテクニカルエキスパート、ニコラス・カーペンティアーズがスペインGPの週末に見つけたハース、フォース・インディア、ザウバー、ウイリアムズの注目アイテムを紹介、分析する。
(1)ハースのハロがライバル型に
F1スペインGP技術解説(4):控えめなアップデートで完勝したメルセデス
ロマン・グロージャンのマシンのみ、無数の羽根を付けて細かい渦を起こさせる形式から、3重式のハロに代わっていた。すでにマクラーレンやトロロッソ、ルノー、フォース・インディアが採用しているものである。
(2)フォース・インディアの新フロア
2本の長い溝が入っていたフロアが、9個の細かい切れ込みに変更されている。その目的はマクラーレンのところで説明したように、サイドポンツーン両脇を流れる乱流がフロア下に入り込み、ディフューザーへと向かう気流を乱すことを防ぐことである。
(3)ザウバーも細かい改良を投入
アゼルバイジャンで新フロントウイングを投入し(1、2枚目の比較写真参照)、戦闘力向上に成功したザウバー。スペインではフロア前端と、その真上のミニウィングに細かい切れ込みを入れ、整流効果の最適化を狙っていた。
(4)ウイリアムズの低迷は、基本コンセプトの問題か
不調を極めるウイリアムズはスペインで大幅アップデートを投入するはずだったが、小規模な改良に留まった。アレックス・ブルツは、「問題の根本は、ディフューザーが機能していないところにある」という。
「フロアとディフューザーが発生すべきダウンフォースが、想定した数値にまったく達していない。去年も同じ問題が起きていたが、ここまで深刻じゃなかった。でも今回は、ほとんど機能を停止してるレベルの問題だ。マシンにグリップはなく、ドライバーにとってはまともに運転できる状態じゃない」
開発エンジニアは、「夏前の解決は、期待できそうにない」と、かなり悲観的だった。
スペインGPの車体アップデートは決して少なくはなかったものの、例年に比べると百花繚乱というほどではない。中でもウイリアムズとトロロッソは、ひょっとすると見落としている部分はあるのかもしれないが、ほとんど変更点は見当たらなかった。
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