厳し過ぎる燃量規制で燃費走行になってしまい、レースがつまらなくなった。そんな批判に応えようと、2019年シーズンは決勝レースでの最大燃料使用量が105kgから110kgに変更される。その結果ヨーロッパのレース専門サイトなどでは、2019年型マシンのホイールベースがいっそう長くなると予想している。
しかし、その意見に対し技術解説に定評のあるモータースポーツジャーナリスト、クレイグ・スカラボローは、「燃料増加の影響は非常に限定的だ」と言明している。
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彼によれば技術規約6条1項と15条4項で、燃料タンクは最大幅80cm、最大高55cmと規定されている。そのため燃料タンクの容量を増やそうとしたら、前後方向に延ばすしかない。
そして5kg=6.6リットルの増量(ガソリンの比重0.75から換算して)のためには、わずか1.5cmの延長で足りる(80cm×55cm×1.5cm=6600cm3)。これはF1マシンの全長からすれば、微々たるものだというのだ。
■燃料タンクとは別の理由でホイールベースが伸びる可能性も
ちなみに2018年、トップ3チームのマシンホイールベースは、以下のようなものだった。
最も長かったメルセデスが372.6cmで、次にフェラーリの362.1cm。メルセデスと比べて10.5cm短かった。そして最短がレッドブルの355cmで、実にメルセデスより17.6cm短いホイールベースだった。
そもそも燃費効率が優れていれば燃料タンクを大きくする必要はなく、レギュレーションでも大型化を義務としていない。ただし燃料タンクとは別の理由で、2019年のF1マシンはさらにホイールベースを伸ばしそうである。言うまでもなく、空力的必然性からだ。
マシンの表面積が大きくなればなるほど、デフレクターやウイングレットなどの空力付加物を取り付ける余地も増えることはおわかりだろう。そして2019年は、先行車が起こす乱流の影響を受けにくくするために、フロントウイングがかなり単純化される。
それによって整流効果が大幅に低下し、結果的にダウンフォース量も減ってしまう。それを補うために各チームの開発エンジニアたちは、規約で許される限りの空力パーツを付けようとするだろう。そのためには、できるだけホイールベースを長くした方がいいというわけだ。もちろんこれは、現時点での推測に過ぎない。その意味でも2月から順次発表されるニューマシンのホイールベースには、大いに注目したいところだ。
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