苦境が続いた中での久々ポールに、笑顔がはじけた福住仁嶺。決勝レースの鍵は「ペナルティを食らわないこと」｜スーパーGT第5戦鈴鹿

　鈴鹿サーキットで行なわれたスーパーGT第5戦の予選で、GT500クラスのポールポジションを獲得したのは16号車ARTA MUGEN NSX-GTの福住仁嶺、大津弘樹組だった。ポールポジションを決するQ2のアタックを担当したのは福住だったが、記者会見では彼の弾けるような笑顔が印象的だった。

　ARTAの8号車時代は野尻智紀とのコンビで、2021年にタイトル争いに絡んだ福住だったが、昨年は苦しいレースが続いてランキング12位に沈んだ。スーパーフォーミュラでも昨年からは1台体制のチームで上位に食い込めない状況が続いていたため、今回のポールポジションはそういった悔しい思いを少しばかりか払拭するものになったはずだ。

「去年のGTも辛いレースばっかりだったし、違うカテゴリーの方でもなかなかうまくいっていませんでした。GTでは今年から体制が変わった中で、パフォーマンスは悪くないけど結果を残せない状況が続いていましたが、今回うまくまとめられて良かったです」

「みんなして本当に悔しい気持ちでいっぱいだし、少しでも良いところを見せたいという思いはありました。その中でチームみんながいい車を仕上げてくれて、自分としても大津さんにもすごい褒められたので（笑）。すごくうれしいです」

　そう語る福住。相方の大津は、記者会見の場でもSRS（鈴鹿サーキット・レーシングスクール／現ホンダ・レーシングスクール鈴鹿）時代からの付き合いである福住をこう称賛した。

「彼のドライビングはとても素晴らしいんです。GTで組むのは初めてですが、F4の時から同期だったので、その時から一緒に切磋琢磨しながらここまできて、常に感じていることがドライビングが上手ということでした」

「Q2でポールをとるというのは信じていましたし、それが形になって嬉しく思います」

　一方の福住も、大津とは長い付き合いが故に、気を遣わずに何でも言い合える関係だと話す。それが16号車ARTAのケミストリーに寄与しているのかもしれない。

「鈴鹿レーシングスクールからちょうど10年……大津さんとはずっとレースをしているような関係性なんですよね」

「今年になってから2人で走り方について研究する時間も増えましたし、その中でお互いこうしたほうがいいんじゃないか？　ああしたほうがいいんじゃないか？　というコミュニケーションが今までやってきたレースの中でも一番多いかなと思います。僕も大津さんも発見があって、そういうところの良さがすごい出ているのかなと感じています」

　また、ポールポジションからスタートする決勝レースの鍵になる部分については、「ペナルティを食らわないこと……（笑）」と自虐的に笑う福住。16号車は過去4戦で3度ピット作業違反などのペナルティを受けており、そこに苦しめられてきた。大津はミスをなくすことにチームとして集中したいと締めくくった。

「これまで何かしら、絶対ミスがあったので。そこは僕たちも含めて、チームももう一度心を引き締めたいです。ミスなく終えれば結果がついてくるんじゃないかと思います」

「もちろん周り次第でもありますが、まずは自分たちの最大限を出すことに集中していきたいです」