2020年F1第9戦トスカーナGPでは、レース序盤のセーフティカー明けの再スタートで多重クラッシュが発生。多くのドライバーがレースの再開方法を批判した。しかし、レースディレクターを務めるマイケル・マシは、トスカーナGPのレース後の会見で、「現時点で見直す必要はない」と語っている。
「我々は、そこ(事故)に重要なポイントがあることを忘れてはならない。私たちは金曜日の夕方にドライバーズミーティングを開き、そこで私はドライバーたちに非常に明確なアドバイスをしていた」
【気になる一言】ボッタス「事故の責任が自分にあるとは思っていない」SCライト消灯のタイミングに疑問が残る
「そこには忘れてはならないふたつの重要なポイントがあった。ひとつは、ピットエントリー付近にあるセーフティカーラインよりも前で、セーフティカーを追い越してはならないということ。そして、もうひとつは、再スタート後、オーバーテイクができるコントロールラインが、通常よりもピットレーン出口側にあるということだった。これはムジェロ特有のことで、ほかのサーキットではあまりない珍しいことだった」
なぜ、マシはふたつ目のコントロールラインの位置が、通常よりもピットレーン出口側にあることを伝えていたのだろうか。それは追い越し可能なコントロールライン付近まで、先頭を走るマシンが加速しない可能性があることを事前に知らせておきたかったからではないだろうか。なぜなら、ムジェロはアゼルバイジャンGPが行われたバクー市街地サーキットに似ていたからだ。
「バクーでも同様の問題があった。あのように長いストレートの奥にコントロールラインがあると、(セーフティーカーがライトを消灯した後)ペースを決定するすべての権利を持つラップリーダーが後ろのマシンにスリップストリームを利用させないよう、コントロールライン付近まで加速しないことは十分想像できる。だから、私は(バルテリ・ボッタスが行った再スタートのやり方について)驚いていない」
トスカーナGPでは、セーフティカーのライトの消灯が遅すぎたことも批判された。しかし、マシはこれも「批判には当たらない」と却下した。
「もちろん、誰にでも批判する権利はある。今回、セーフティカーのライトが消えた地点は、セーフティカーがピットレーンに入る直前(つまり最終コーナー手前)だった」
「しかし、よく考えてみてほしい。ライトが消された場所からコントロールラインまでの距離という点では、他の多くの場所とほとんど同じなんだ。F1ドライバーというのは、世界で最高の20人たちだ。今日はF3レースでも同じようなケースがあった。彼ら、ジュニアカテゴリーのドライバーたちは、F1レースで起こった状況と非常によく似た再スタートを行ったが、事故を起こすことなくうまくナビゲートしていたよ」
そして、最後に今回の事故がFIAまたはFOMがレースをエキサイティングにするためのルール変更による弊害だという指摘も完全に否定した。
「それは完全に否定する。FIAにとって、安全性こそが何よりも優先されるべきものだ。レースディレクターおよびセーフティデリゲートとしての私の役割は、このスポーツの安全性を実現することだ。それを批判することには、私は断固、反論する」
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