積極的な採用活動を行うウイリアムズF1、17カ月で約250人を雇用「このチームを前線に戻すための投資」と代表

　ウイリアムズ・レーシングは、チーム代表ジェームズ・ボウルズの指揮の下、劇的な変革を遂げている。昨シーズンから指揮を執ってからというもの、ボウルズは積極的な採用活動に着手し、チームの能力を強化するために250人近くの新スタッフを迎え入れた。

　2024年シーズンはマシンのパフォーマンスが芳しくないために厳しいものとなっているが、ボウルズは長期的なビジョンに揺るぎない姿勢を貫いている。ボウルズは、現在の困難を一時的な後退と見なしており、将来の成功のための強固な土台を構築することの重要性を強調している。

　ボウルズによる再建プロセスにおける重要な節目は、ライバルチームからのオファーを受けたにもかかわらずウイリアムズとの契約を延長することを選択したアレクサンダー・アルボンの残留と、2025年に向けたカルロス・サインツとの契約だ。これらの決定は、チームの方向性に対する両ドライバーの大きな信頼の表れだと言える。

「基本的に、我々は人々に何を投資しているのかということだ。何度も言っていることだが、これもある程度まで優先事項となっている」とボウルズは『Motorsport Week』に語った。

「我々はみんなと何をしてきたのか？　何よりもまず、アレックスが契約延長を行った。そして、アレックスは2026年と2027年に何が起こるかよくわかっている」

「そして、彼はここが自分の居場所だとわかったので自信を持っている。彼には多くのオファーがあった。しかしこのことの背景にある重要なことは、私にとってアレックスが、チームの将来における鍵となるマイルストーンであるということだ」

　ボウルズは、理想的なドライバーラインアップを確定することに加えて、非常に優秀な技術チームを編成した。上級職では、チーフテクニカルオフィサーとしてパット・フライ、チーフエアロダイナミシストとしてフアン・モリーナが加わっている。こうした経験豊富な人物は、他の多くの上級レベルの採用者とともに、ウイリアムズに豊富な知見と専門知識をもたらす。

「我々にはパットがいる。パットは、下り坂になる前にアルピーヌを去った。彼は我々がやっていることを深く信じているが、同時に我々がやっていることの重要な一部でもある」

「そしてパットに続き、ほんの数週間前に26人の新スタッフを迎えたことについて発表を行ったが、どこで区切りをつけたらいいのかわからなかった。というのも、1週間後に発表していたら、実際にはすでに多くの優秀なスタッフが30人以上になっていたはずだからだ。しかし、説明するのに合理的だと思うタイミングを選ばなければならなかった」

　ボウルズは、ファブリス・モンケード、リチャード・フリス、フアン・モリーナなどの主要人材を紹介し、彼らの経験とチームの発展への貢献を強調した。

「少し話すとすると、彼らはどういう人物だろうか？　前にも少々話したが、もっと詳しく説明する価値がある」

「ファブリス（・モンケード）のことは、ブダペストで見た人もいるかもしれない。彼はフェラーリ出身で、シミュレーションとシミュレーターチームの運営において7年の経験がある。シミュレーションは、我々がF1で行っていることの中核を成すものだ。これはもはや経験則の問題ではない。何をしているのか推測することではない。シミュレーションが重要なのだ」

「そして基本的に、彼はそのなかでも最高の環境のひとつから来ていると思う。彼はそれ以前、メルセデスにいて定年退職した。ある程度は、彼がどこにいたのかを理解するのにそれほど時間はかからない。彼はその点で成功しているし、強みがある。私はメルセデスに同じ時期にいたときから彼を知っていた。彼はそれほど年をとっていないが、この種のシミュレーション技術の祖父とも呼べる人だ。あのインスタンス化を行ったのは彼だ。彼を迎えることができて光栄だ」

「我々にはアルピーヌ出身のリチャード・フリスがいる。日にちは未定だが、彼は2025年に加入する予定で、現時点で交渉を行っている。アルピーヌから何人採用したかについては、まだ少し意見がわかれている。だがリチャードはパフォーマンスの責任者だ。基本的に、彼はここで非常によく似た役割を果たすようになる」

「彼のこともメルセデスで知っていた。私と時期が重なっていたからだ。ビークルダイナミクスに非常に長けており、サスペンションを理解している。しかし、彼の本当によいところは、チームをまとめる方法を同時に理解していることだ。だから彼が加入するのが待ちきれない」

「それに加えて、ハースとレッドブルからチーフエアロとして加わったフアン・モリーナもいる。非常に優秀なエアロダイナミシストの彼は、上級職としての役割によって、チームを強化してくれるだろう」

「我々はアダム・ケニオンを空力部門の責任者に昇進させた。アダムとは、メルセデスで長年の知り合いだった。彼はレッドブル、メルセデスを経て、チーフエアロとしてウイリアムズに来た。そして、チームに加わって数日も経たないうちに、彼がはるかに多くのことをしていたことがはっきりとわかった。もちろん、私が加入したとき、エアロダイナミクスの責任者はいなかった。彼が私のためにその役割をある程度果たしてくれ、うまくやっていたということがわかった」

　ボウルズは、チーム全体において幅広い人材を獲得していることも同様に誇りに思っている。

「どのチームも26人を雇用したわけではない。我々は過去17カ月で250人近くを雇用した。彼らは他のF1チームにいた主要な上級職採用者で、加入した瞬間から直接的な影響力を持つだろう。そして、それは非常に重要な違いになる」

「なお、現時点で彼らが投資対象の人材となる。そして、先ほども言ったように、まだ多くの採用が行われる。採用数が十分多くなり、ちょうどいいポイントを見つけて世界に発表できるようになると思う」

　ボウルズは、経験豊富な人材の流入は、ウイリアムズがグリッドの最前線に戻る可能性に対する信念の高まりを示していると考えている。

「先ほども言ったように、すべてのトップチームから人が集まっている。我々がプラスの影響を与えていない場所はひとつもない。みんながそうしているのは、ウイリアムズがもはや数字を増やすためだけにしているのではないとわかっているからだ。これは、このチームをしっかりと前線に戻すための投資だ」

「そして、これは旅だ。これは多くのチームでは経験できないものだ。多くのチームにとって、実際には細部を微調整するだけの方が効果的だ。ウイリアムズではもはやそんなことは起こらない」

「その結果として我々の旅と活動に参加することを望んだら、チームを根本的に変化させることになり、それと同時に土台、信念、DNAを組織にもたらすようになるだろう」