F1シンガポールGPを最後にダニエル・リカルドがRBから離脱し、リザーブドライバーのリアム・ローソンが後任を務めることが決定したと広く信じられているが、レッドブルはまだ正式発表を行っていない。このプロセスに詳しい情報筋によると、リカルドの代理人は、レッドブルが提示する条件に同意していないという。
レッドブルの当初の計画は、リカルドがRBから外れることに同意したこと、ローソンが次戦アメリカGPからRBで走り、2025年にも角田裕毅のチームメイトを務めることを、シンガポールGP翌日の月曜日夜に発表することだった。そのタイミングであれば、現地を取材していたF1メディアの大半がヨーロッパに帰る飛行機のなかにおり、このニュースによる騒ぎを幾分抑えられるという狙いもあったのだ。
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しかし、レッドブルから解雇のための条件を伝えられたリカルドと代理人は、それを受け入れなかったといわれる。
レッドブルのジュニアチーム、つまりスクーデリア・トロロッソ、アルファタウリ、現在のRBにいたるまで、伝統的にジュニアチームでレースをするドライバーには、基本的に権利はなく義務しかない。しかしリカルドの現契約はそれとは異なっており、ドライバーとF1チーム間の契約の通常に近い内容が記されている。
昔からレッドブルは、ファエンツァのチームのドライバーを自由に入れ替えており、シーズン途中で解雇することも珍しくない。スコット・スピード(2007年)、セバスチャン・ブルデー(2009年)、ダニール・クビアト(2017年)、ニック・デ・フリース(2023年)が残酷な決定を言い渡された。彼らの給与は非常に安く、そのうえ、シーズン終了までシートを確保するという書面による保証もなかった。つまりレッドブルは、ほとんど損失なく、彼らを切ることができたのだ。
しかし、リカルドの今の契約はそれとは異なっている。彼は一般的なF1ドライバー並みの金額のサラリーを受け取っている。さらにシンガポールでリカルドは「契約上では、彼らは僕をマシンから降ろすことはできないと思う」と発言した。こうしたことから考えて、リカルドは、これまで途中解雇された4人よりははるかに強い立場にあるようだ。
離脱の発表が遅れているのは、リカルド側が、契約上、認められたすべての権利を放棄しないという決意をもって、レッドブル側と交渉しているためだと推測される。両者が条件に合意して、契約解除の書類にサインするまで、RBはローソンとの契約発表も待たなければならない。
交渉において合意に至っていないにしても、シンガポール後のリカルドの発言や表情から見て、彼がRBから離脱し、F1から完全に引退することは間違いなさそうだ。現在、リカルドのインスタグラムのトップには、彼が数年前に友人たちとともに設立したファッションブランド『Enchante』のリンクのみが記されている。
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