11番目のF1チーム“APXGP”、イギリスGP決勝のフォーメーションラップに参加。主演ブラピ登場もステアリング握らず

　シルバーストンで行なわれたF1イギリスGP決勝フォーメーションラップには、既存の10チームに加えて「APXGP」が参加した。

　この新たなチーム名に聞き馴染みのない方もいるかもしれないが、これはF1映画製作のために作られた架空のチームだ。

　Apple Original Filmsの支援を受けて進められているこのF1映画プロジェクト。ハリウッドスターのブラッド・ピットが主演を務め、プロデューサーや監督、脚本家にはトップガン最新作の制作陣が名を連ねている。

　イギリスGPでは本格的にグランプリ期間中での撮影が開始され、シルバーストンのパドックにはAPXGPのガレージがスクーデリア・フェラーリとメルセデスAMG F1の間に登場し、雨が降ったグランプリ2日目も含めてAPXGPのマシンが複数回シルバーストンを走った。

　なお一見、現行F1マシンにも見えるこのマシンだが、これはF1直下カテゴリーであるFIA F2のマシンを改造したモノ。メルセデスの協力を得て、F1マシン“っぽく”仕上げられている。

　撮影は決勝に先立って行なわれたセレモニーでも実施され、ピットと共演者のダムソン・イドリスもAPXGPのレーシングスーツに身を包んで登場。イギリス国歌斉唱の際には、レッドブルのマックス・フェルスタッペンの隣にふたりが並んだ。

　またダミーグリッド最後列にはAPXGPのマシンが2台並べられ、フォーメーションラップの序盤で撮影を行なった。ただ、マシンのステアリングを握ったのはスタントマン。元レーシングドライバーでもあるクレイグ・ドルビーがピットの7号車、ルチアーノ・バチェタがイドリスの9号車に乗った。

　マシンには15個のカメラが搭載されており、ドルビーとバチェタのヘルメットに取り付けられた小型高性能カメラはドライバー視点の映像を記録したことだろう。

　この映画の内容は、F1キャリア初期に輝かしい成績を挙げた“ソニー・ヘイズ”ことピットが、グリッド後方に沈むチームでF1に復帰し、若手ドライバーである”ジョシュア・ピアース”ことイドリスをサポートするというものだ。

　筋書きについてピットは、Sky F1に対して次のように説明している。

「僕は90年代にレースをしていた役だ。クラッシュを喫してしまい、そのまま（F1から）姿を消して、また別のレースに出ているんだ」

「そしてハビエル・バルデム演じる、僕（ヘイズ）の友人でチームのオーナーが登場する。チームは最下位でグリッドは21番手と22番手……一度もポイントを獲得したことがないんだ」

「そこにはイドリス演じる若く才能あふれるドライバーがいて、オーナーが最後の賭けとして僕を連れてくるんだ」

　この映画プロジェクトにはF1やFIAも協力しており、よりリアルなコンテンツを提供すべくメルセデスのルイス・ハミルトンもプロデューサーとして参画している。ピットや制作陣はイギリスGPに先駆けて行なわれたブリーフィングに参加し、プロジェクトへの協力に感謝の言葉を述べていた。

「ここ（シルバーストン）に来られて最高だ。笑い溢れる時を過ごせている」

　ピットはシルバーストンでそう語った。

「全てが最高だし、雰囲気は素晴らしい。僕らのストーリーを伝えるために、みんなが親切にしてくれる。全てのチームが我々に対してオープンだし、FIAのモハメド（ベン・スレイエム会長）やF1のステファノ（ドメニカリCEO）も含めみんなだ」

「僕らがこんなことができるなんて、本当に素晴らしいことだ」