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日本版が明かされたハイネスCB350を見て、懐かしき「サンパン」を振り返りつつ、ロイヤルエンフィールドとも比べてみる

掲載 更新 48
日本版が明かされたハイネスCB350を見て、懐かしき「サンパン」を振り返りつつ、ロイヤルエンフィールドとも比べてみる

国内では主流とならなかったサンパン=350ccクラス

インド生産のホンダ製単気筒モデル、ハイネスCB350(現地名)が注目を集めている。
ここ数年グローバルモデルの300cc+αの排気量車が数々投入される日本市場だが、同車の日本仕様が「GB350」の車名で発売されることが明らかとなった。

【写真14点】CB350エクスポート、350SS、RZ350など「懐かしの350モデル」を振り返る

1980~1990年代にあったトラディッショナルな単気筒GBシリーズ(GB250クラブマン、GB400TT、GB500TT)の車名が復活!?というのも興味深いが、なんで350ccなんだ? その答えを探しつつハイネスCB350/GB350の狙いを想像してみようというのが当記事のお話。

350cc、ベテランライダーはこれを「サンパン」なんて呼んだりもするが、過去に350ccモデルは国内各社に存在した。
思いつくだけでも、ホンダ=CB350、CL&SL350の4ストツイン、4気筒のCB350FOUR(後にヨンフォアことCB400FOURに発展)、ヤマハ=350R1、RX350、RD350、スズキ=T350、GT350などの2ストツイン、カワサキ=A7シリーズ(2ストツイン)、2スト3気筒の350SSなどだ。

さらに歴史をさかのぼれば、国内メーカーが乱立した1950年代にも350ccモデルはいくつか存在したが、これは戦後の1949年から始まり1982年まで存続した世界GP350ccクラスを意識した面もあっただろう。
その後国内は4メーカーとなり、前述のように1960年後半から350ccロードスポーツが登場したが、花開く前に萎んでいった印象が強い。
ヤマハ RZ350=1981年、スズキ グース350=1991年などは、ちょっと特殊な例だろうか。

理由は1975年から導入された段階免許制度だ。
自動二輪小型限定(125ccまで)、同中型限定(400ccまで)、同限定解除(排気量無制限)と区分けされた日本の自動二輪免許は、この時期から教習所で取得可能な免許が中型限定までとなった。「限定解除」と言われた、いわゆる当時の「ナナハン免許」は合格率の低い試験場での実技一発試験でのみ取得できた。400ccが上限の中型限定免許が生まれたことで、国産中型モデルは排気量一杯の400cc(厳密には399cc)が現在までの主流となったわけだ。

ハイネスCB350はロイヤルエンフィールドの完全対抗馬といえるスペック

その流れが変わったのは、ここ10年くらいのこと。
日本市場での2輪車販売台数の低迷に呼応し、また年々厳しさを増す排出ガス規制などにより、国内専用排気量と言える400ccモデルの開発は鈍化。代わって世界的に需要のある中型排気量車が、日本市場にも投入されるようになった。「数の売れない日本専用モデルを作る余裕はない」わけだ。
1980~1990年代の400ccクラスを知るおっちゃんとしては残念だが、そんな活況を知らないユーザーの多く(特に20~30代の若年層)は、さほど悲観的ではなかろう。

他方「グローバル化」の恩恵もあって、グローバルモデルとして生まれた原付二種クラスの125cc、軽二輪クラスの150ccや200ccモデルなども日本に投入され、数を増やした。
そして250ccモデルの少し上、前述した300cc前後の排気量のモデルも日本市場へ自然に投入されるご時世となった(日本メーカーではヤマハYZF-R3、MT-03、海外メーカーではBMW G310GS、KTM 390デュークなど)。

しかし、個人的には疑問もある。
車検のない250ccと車検が必要な300ccクラスの兄弟車ってそんなに違うのかと。
いわばパワーの優位性の差だ。現行販売モデルを見ると、モデルの車格(車体)も重量もほぼ同じで排気量の差があるから、排気量のプラス分そのままの性能アップを体感しやすいのかもしれないが……。

話が少々脱線気味したが、ともあれハイネスCB350である。
350ccクラスはインド市場での高級車クラスの排気量で、ハイネスCB350の場合はボア・ストローク70×90.5mmのロングストローク型単気筒(OHC)という点が注目だ。
実はこれ、すでに存在するインドの大メーカー、ロイヤルエンフィールドの350ccモデルと近似値なのである(こちらはOHV単気筒だが)。

過去何度も試乗したロイヤルエンフィールドの350ccモデルは、爆発的なトルク感というより、ゆったりもっさりと動き出し、波に乗るとのどかに滑らかに回転するフィーリングが牧歌的で楽しかった。
大して回らないけれど、流すのが楽しい──こういう感覚を、旧態依然としたエンジンで味わえるのが貴重で、どちらかと言えば、高回転まできっちりと回るのを指向していた国産エンジンにない味に興味が湧いた記憶を思い出す。

そしてハイネスCB350のボアストロークを始め、性能スペックを見る限り、ホンダはロイヤルエンフィールドの350ccモデルを十分意識し、現代の技術でゆったり感を味わわせる狙いを込めたのは間違いない。
ハイネスCB350の最高出力は21ps/5500rpm。それに対し、現在インドで販売されるロイヤルエンフィールド バレット350は19.1ps/5250rpm。
ハイネスCB350の最大トルクは3.0kgm/3000rpm。対するロイヤルエンフィールド バレット350は2.8kgm/4000rpmである。

OHCエンジン=ハイネスCB350と、OHVエンジン=ロイヤルエンフィールド バレット350の違いはあるが、ホンダ製らしい精密なエンジンの回転感がありつつ、ロイヤルエンフィールドよりも意図的に低回転トルクを狙った味付けが想像できる。

ハイネスCB350改めGB350は従来のサンパンともGBとも違う魅力がある!?

車重と出力値を見る限り、ハイネスCB350の最高速はせいぜい120km/h程度か?
また、どんな重さ(大きさ)のクランクが使われているか不明ながら─実はここが興味深いのだが─40~80km/hの速度レンジで一般道や田舎道を流すのが気持ちよいだろうと想像できる。

となると、これまでの国産300ccないし350ccモデルのモノサシで、軽二輪より性能のアドバンテージがあるかとか、車検付きモデルなりの価値があるかなんて観点では語れぬエンジンかもしれない。
またあくまで想像だが、国産で唯一無二の個性を味わわせたカワサキ W650(後に800へ発展)のロングストローク感や重いクランクがゆったり回る感覚を、その約半分の排気量と単気筒でもって味わわせてくれる可能性大。ここが大変興味深い点だ。
高回転を狙わないロングストローク単気筒という、これまでホンダがあまり参入してこなかったテイストの領域に踏み込んだのが、ハイネスCB350なのだ。

つまり、ハイネスCB350改めGB350は、過去のGBシリーズとはかなり違うキャラクターとなる。
同じ空冷単気筒エンジンながら、GB250クラブマンもGB400TT、GB500TTも、低中回転のトルク感というより、高回転まできっちり回ることを狙ったスポーツモデルだったからだ。
そうした意味も含め、GB350はこれまでにない味に期待を抱かせる「異例のサンパン」かもしれない──。

レポート●阪本一史(元『別冊モーターサイクリスト』編集長) 写真●八重洲出版/ホンダ 編集●上野茂岐
*2月17日公開のモーサイの記事に、最新情報を加え編集しています。

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みんなのコメント

48件
  • 私は1975年10月から免許制度が変更って知って、同年の8月に高2の夏休みに試験場で(確かスズキGT380でした)自動二輪の免許取った世代ですが、この記事読むまでサンパンなんて言葉知りませんでした。当時の私の周りの人は普通に、ナナハン、サンハン、ニーハンなんて呼んでました。
    最近はサンパンなんですね。なんか女子アナウンサーみたいですね。
  • 当時の人たちはサンパンなんて読んでなかったと思う

    サンハンと呼んでいたと思う

※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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