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【F1分析】角田裕毅、2回目のピットストップを先延ばししたのは、それほど問題ではない。それ以上に疑問なのはアルファタウリのフリー走行でのタイヤの使い方だ!

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【F1分析】角田裕毅、2回目のピットストップを先延ばししたのは、それほど問題ではない。それ以上に疑問なのはアルファタウリのフリー走行でのタイヤの使い方だ!

 F1日本GPで、アルファタウリの角田裕毅は12位でフィニッシュした。角田はミディアムタイヤを履いていた第2スティントを長く取ったことで、チームメイトのリアム・ローソンに先行されてしまい、レース終盤にはその真後ろに追いついたものの、結局抜くことができなかった。

 この戦略については「失敗だ」という声が多いが、レースペースを分析すると、あながち失敗だったとは言えないかもしれない。しかし決勝レーススタート時に残っていたタイヤのことを考えれば、11位が精一杯。金曜日からのタイヤの使い方については、明らかに失策だと言えるだろう。

■アルボン、アルファタウリを警戒「タイヤに関する戦略は謎だったけど……今後のサーキットではどこでも速いだろうから、心配だ!」

 角田は日本GPの決勝レースを、9番グリッドからソフトタイヤを履いてスタート。しかし8周目にふたつ後ろを走っていたニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)がピットストップを行なったのに反応して、9周目にピットイン。続く10周目には、ローソンもピットインした。

 敢えて言えば、この判断には疑問が残る。角田とローソンのレースペースを見ると、ソフトタイヤにはまだデグラデーションの兆候は見られない。しかもハース勢はデグラデーションに苦しんでいるのは、ここ数戦明らかなことであり、チームもそう公言していた。そのため3ストップになる可能性が高いということは明らかだったはず。実際に3ストップでレースを走り切った。

 一方でアルファタウリは2ストップで走り切った。そもそも、アルファタウリ勢はハードタイヤとミディアムタイヤをそれぞれ1セットずつ残した状況で決勝に挑んでいた。この残りタイヤのことを考えれば2ストップ以外有り得ず、3ストップの可能性が高いハースに反応する必要があったのかというところはどうしても疑問だ。

 実際、角田とヒュルケンベルグの間にいたランス・ストロール(アストンマーチン)は反応せず、走行を続けた。このストロールもミディアムとハードが1セットずつしか残っていないドライバーのひとりだった。

 第2スティントでは、角田もローソンもミディアムタイヤで走行。ローソンは24周目にピットインしてハードタイヤに履き替えたのに対し、角田はこの第2スティントを29周目まで引っ張ってピットに飛び込んだ。

 これでローソンにアンダーカットされることになり、結局は12番手となったわけだが、この角田の作戦はあながち失敗とは言い切れない。

■実質1ストップのオコンには敵わなかった

 上のグラフで示したレースペースの推移を見ると、ローソンが24周目にピットインした後、角田のペースは上がっている。つまり、まだデグラデーションは酷くはなっていなかったのだ。もしかしたら、もう少し伸ばしてもよかったのかもしれない。

 それは、第3スティントのペース推移を見れば分かる。ハードタイヤに履き替えた角田は、ローソンよりも1周あたり0.5秒ほど速いペースで猛追。すぐにローソンの真後ろに迫った。ただここにもうひとつの誤算があった。角田はローソンを抜けなかったのだ。

 もし、手の届きそうなところに前のマシンが走っていれば、チームとしてはローソンに角田を先行させるように指示し、角田には入賞を狙うことを厳命することもできたかもしれない。今回のアルピーヌがピエール・ガスリーとエステバン・オコンに対してそう指示したように。

 そのアルピーヌ勢がアルファタウリ2台のすぐ前を走っていたマシンだった。しかしその差は20秒ほどであり、ペースは角田とほぼ同等……角田が追いつける可能性はほぼ皆無であり、チームがふたりのドライバーにチームオーダーを出さなかった意味は十分理解できる。

 なおこのオコンは、1周目にセーフティカーが出動したことですぐにピットインし、スタート時に履いていたソフトタイヤを捨て、ハードタイヤに履き替えた。そして28周を走り切ったところでピットインし、再びハードタイヤを装着。つまり、ハード→ハードと繋ぐ、実質的な1ストップでレースを走り切ったのだ。この結果ピットストップ1回分のタイムロスを”得した”格好となり、アルファタウリ勢に20秒の差を築いた。これが入賞の決め手となったと言えよう。チームメイトのガスリーも、2セットのハードタイヤを持っていたことで、レースで力強い走りを披露したのだ。

 とにもかくにも、アルピーヌがこの作戦を成功させることができたのは、フリー走行から決勝レースのことを考え、ハードタイヤを使わずに残しておいたからであると言えよう。

 一方でアルファタウリは、予選結果を重視しすぎたように感じられる。そのため、確かに予選には潤沢にソフトタイヤが残り、存分にアタックすることができた。観客も、それによって角田がQ3に進出するのを楽しんだわけだ。しかしながら鈴鹿はタイヤに厳しいコースであり、ハードとミディアムが主流になりそうなのは明らかなことだった。決勝にハードとミディアムをそれぞれ1セットずつしか残していなかったのは、アルファタウリの2人以外には3人だけ……今回は苦しんでいたアルファロメオの2人と、前述のストロールのみだった。

 もしタイヤの残り数が今回の形だったら、ソフトタイヤでスタートせず、ミディアム→ハードと繋ぐ1ストップを目指すべきだったとも思える。

 このタイヤ選択については、ライバルであり、アルファタウリ(トロロッソ時代)卒業生であるアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)からも「彼らのタイヤ選択には、本当に驚いたよ。自ら困難な状況を招いたようなものだ」と言われる始末だ。

 予選では、たとえポールポジションを獲得したとしても、1ポイントも獲得することはできない。アルファタウリには、決勝レースを見据えたプランの組み立てをすることが、より重要であるように思う。

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みんなのコメント

2件
  • kin********
    タイヤを残していない事は勿論問題だが同じタイヤ戦略でペースに勝る角田をローソンに先行させるピットストップを選択しない方が問題。

    結果は11位だったかもしれないがアルピーヌにプレッシャーをかけられるところまで行った可能性はあった。

    このチームはデータの分析とそれを戦略に生かす人材不足で幾度もポイント獲得のチャンスを潰している。

    その煽りをもっとも受けているのが角田。
  • ゆっくりしていってね
    角田が前じゃローソンがつっかえて困る
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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