F1チームには多数の人々が関わり、さまざまな職種が存在する。この連載では、普段は注目を浴びる機会が少ないチームメンバーに焦点を当て、その人物の果たす役割と人となりを紹介していく。今回は、今年からマックス・フェルスタッペンのパフォーマンスコーチを務めているルパート・マンウォリングに焦点を当てた。
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【F1チームを支える人々/マクラーレン】ノリス担当から若手育成に転属。ドライバーが全幅の信頼を置くJ.M.ロペス
F1ドライバーは、自分のポテンシャルを最大限に引き出すため、周囲の人々の助けを借りている。今のF1の複雑さにより、さまざまな側面で依存する必要があり、トラックサイドで働く人々、ファクトリーやシミュレーターで働く人々など、さまざまなポジションがあるが、そのなかでもほぼ24時間、週7日間にわたって、重要な役割を果たしているのが、パフォーマンスコーチだ。
正式な肩書は、パートナーシップの具体的な条件によって変わってくる。ドライバーコーチ、トレーナー、フィジオセラピストなどであるが、いずれの場合も、彼らはトラック内外でドライバーと最も多くの時間を過ごす。その仕事は、常にドライバーのそばにいて、能力を最大限に発揮できるようにするために必要なサポートを提供することだ。
今回取り上げるのは、レッドブルのマックス・フェルスタッペンのパフォーマンスコーチを務めるルパート・マンウォリングだ。彼は以前はカルロス・サインツを担当していた。
マンウォリングの父親(シニアもルパート・マンウォリングという名前)は、F1関連の仕事をしていた。サーティース、ブラバム、ハース、ローラ、そして長期にわたり、チーム・ロータスで働いた後、ロータス、ティレル、ミナルディのチームマネージャーになった。彼のキャリアが息子の現在の仕事に影響したのは間違いない。
マンウォリングJr.は、父親とは別の分野の仕事に就いた。スポーツおよびエクササイズ生理学の修士号を取得した後、彼は客員講師として働き、その後、過小評価されていると自分が感じた分野に焦点を当てた。
レーシングカーを運転する際のストレス反応を研究した結果、マンウォリングはドライバーがマシンに乗っている時に何を経験しているかをより深く理解することができた。それに基づいて、ドライバーが最良のパフォーマンスを発揮できるようにするためのトレーニングプログラムとスケジュールを考案した。
これがきっかけで彼はモータースポーツの仕事に携わり、最初はル・マン24時間レースを活動の場とした。有名なヒンツァ・パフォーマンスに所属したマンウォリングは、2015年にトロロッソでルーキーシーズンを過ごしていたカルロス・サインツのパフォーマンスコーチに就任した。
ふたりのパートナーシップは約10年にわたって継続。マンウォリングは、サインツがトロロッソからルノー、マクラーレン、フェラーリへと移籍するなかで常に同行した。サインツはルーキー時代から、有名な名前を持つグランプリウイナーへと成長する課程で、常にマンウォリングの力を借り、その契約は2023年シーズン末まで続いた。
2024年を前にフェルスタッペンのパフォーマンスコーチ、ブラッドリー・スキャンズがその役割から離れ、後任としてマンウォリングの名前が挙がった。ヘルムート・マルコ&レッドブルとの交渉の後に、マンウォリングはイギリスの家族と過ごす時間を増やせることを理由のひとつとして、サインツのもとを離れてフェルスタッペンのサポートにつくことを決めた。
パフォーマンスコーチが担当する仕事は基本的に同じであっても、ドライバーごとに要求が異なっている。マンウォリングの仕事は、フェルスタッペンの身体トレーニングだけでなく、メンタル面の準備、栄養計画、レッドブルチームのさまざまな側面とのスケジュール調整が含まれており、これらすべてがスムーズに統合されるようにし、ドライバーが可能な限り運転に集中できるようにすることだ。
サインツの担当だった時には、マンウォリングは緊密なサポートグループの一員として、定期的にサインツとともにトレーニングキャンプに行ったり、他のスポーツに出場したりしていたが、フェルスタッペンはそのような要求はしていない。彼は、自分が求めることを正確に伝え、効果的にサポートしてもらうために必要なことを明確に提示している。
マンウォリングはスムーズにサポート役として溶け込み、フェルスタッペンが今後も大きな成功を収め続けることができるよう、日々、自分の仕事に取り組んでいる。
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