長年F1を取材しているベテランジャーナリスト、ルイス・バスコンセロス氏が、毎戦全20人のドライバーのグランプリウイークエンドの戦いを詳細にチェック、独自の視点でそれぞれを10段階で評価してきた。今回は、2023年シーズンの総合評価として、22戦で与えたポイントをドライバー別に集計し、合計点順に並べてランク付けした。
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【全ドライバー独自採点/F1第23戦】速さでも振る舞いでも一流のルクレール。並外れたパフォーマンスを見せた角田裕毅
2023年F1の22戦にわたり、全F1ドライバーの評価を行ってきた。シーズン通しての評価をまとめる最も公平な方法は、各ドライバーごとに全戦の評価を合計することだと考えた。その上で、誰が2位に来るのかを知るのは、興味深い仕事だった。なぜ2位かというと、1位がマックス・フェルスタッペン(レッドブル)であることに疑いの余地がなかったからだ。
■1位 マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
マックス・フェルスタッペン(201ポイント)は、シーズンを通して別格だった。22戦中、10点満点を8回取り、最低点も7ポイントだった(シンガポール)。並外れたドライバーによる並外れたシーズンだったといえよう。
■2位 ルイス・ハミルトン(メルセデス)
2位と3位は非常に僅差だった。ルイス・ハミルトン(175ポイント)は、満点はメキシコの1回だったが、最低点はカタールでの5点で、シーズン通して非常に安定したパフォーマンスを見せたことで、2位に入った。
■3位 シャルル・ルクレール(フェラーリ)
シャルル・ルクレール(174ポイント)は、シーズン終盤に素晴らしいパフォーマンスを見せた。バクーを含む3戦で満点を獲得、イタリアGP以降、8点を下回る評価はなかった。しかしスペインとオランダで4点にとどまり、オーストラリアとマイアミでは5点といった、一貫性のなさにより、シーズン全体では3位という結果になった。
■4位 フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)
フェルナンド・アロンソ(171ポイント)は最初の8戦に関しては、フェルスタッペンに対抗できる唯一の存在だった。カナダ以降、彼の挑戦に陰りが見え、シーズン終盤の評価が落ち込みがちだった。例外としては、ブラジルでの満点で、前半戦のオーストラリア、マイアミ、モナコとともに4回にわたり10点を獲得。しかし後半戦のシンガポールとメキシコでは5点にとどまったため、シーズン総合では4位に終わった。
■5位 ランド・ノリス(マクラーレン)
シーズン後半のセンセーションのひとつはランド・ノリス(168ポイント)だった。その素晴らしい走りで、シルバーストン、鈴鹿、インテルラゴスで満点10点を獲得。一方で、ジェッダとラスベガスでは4点に終わった。予選よりもレースペースでのパフォーマンスが素晴らしく、今後の注目すべきドライバーであることを証明した。
■6位 カルロス・サインツ(フェラーリ)
シンガポールで優勝したカルロス・サインツ(161ポイント)は、マリーナベイに加えてモンツァでも満点で、最低点は最終戦の4点だった。ルクレールよりもパフォーマンスに一貫性があったものの、チームメイトほどパフォーマンスのピークが高くなかったことで、この位置となった。
■7位 ジョージ・ラッセル(メルセデス)
シーズン終盤は、予選で強さを発揮したことで、ハミルトンとほぼ同等の評価だったジョージ・ラッセル(156ポイント)だが、全体的にレースペースではチームメイトに明らかにおよばず、それが全体の評価に影響した。サウジアラビアとオーストラリアで満点をマークした後は、高得点を得ることができず、5点が3回続いたことで、上位に食い込むことができなかった。
■8位 アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)
アレクサンダー・アルボン(153ポイント)がトップ10に入っていることに驚きはない。彼は2023年シーズンのスターのひとりだったからだ。彼にはチームメイトからの挑戦が全くなかったのは確かだが、多くの場面でマシンの力を上回るような結果を出し、カナダとイギリスで満点、低得点は驚くほど少なく、最低点はサウジアラビアでの5点だった。
■9位 オスカー・ピアストリ(マクラーレン)
ルーキーのオスカー・ピアストリ(149ポイント)は、シーズン初めは多少苦労した。この時期、マシンが非常に遅く、そのうえ、彼が走ったことがないサーキットが続いたからだ。バーレーンとマイアミで5点だったことから、彼がどれだけ苦戦していたかが分かる。しかしマシンが改善すると、ピアストリは飛躍を遂げ、シルバーストンとロサイルで満点となった。終盤、調子が低下してアメリカとメキシコが5点に終わったが、それでも全体的に見て新人としてはかなり優れた結果といえるだろう。
■10位 角田裕毅(アルファタウリ)
終盤にパフォーマンスが大幅に向上したことによって、角田裕毅(147ポイント)は、11位とは僅差とはいえ、トップ10に入った。最も低調だったのはカナダとシンガポールだったが、8ポイントを4回獲得し、F1での最初の2シーズンよりもはるかに優れた一貫性を見せた。
■11位 エステバン・オコン(アルピーヌ)
■11位 ピエール・ガスリー(アルピーヌ)
アルピーヌのふたりはほぼ互角に見え、実際集計の結果、エステバン・オコンとピエール・ガスリーは146ポイントで同点だった。オコンは、予想外の表彰台を獲得したモナコで満点、他にサウジアラビア、シンガポール、ラスベガスの3つのストリートサーキットで8点、最低スコアはオーストラリア、イギリス、イタリア、アメリカの5点だった。ガスリーは、シーズンを通して安定した成績を残し、最高点はベルギー、オランダ、アメリカ、ブラジルでの8点、最低点はカナダ、ハンガリー、イタリア、カタールでの5点だった。
■13位 ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)
13位以降は、それより上とのギャップが大きかった。ニコ・ヒュルケンベルグ(132ポイント)は何度か素晴らしい予選パフォーマンスを見せたことでこの位置に来た。オーストリアでは完璧な週末を過ごして9点、オーストラリアでは8点と高得点を挙げ、他に数回7点を獲得したものの、ほとんどのグランプリで5点か6点の評価が続いた。大きな低調がなかった一方で、目立ったハイライトもあまりなかった。
■14位 バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)
バルテリ・ボッタス(131ポイント)は、チームが期待どおりのパフォーマンスを示さず、不本意なシーズンを送った。だが、チーム側にしてみれば、今年のボッタスが期待外れだったということもできる。10回の優勝経験があるボッタスは、今年のバーレーンとカタールでは良い仕事をして、評価は8点だった。一方、サウジアラビア、オーストリア、アメリカという、かつて好成績を残した地ではぱっとせず、4点にとどまった。シーズンのなかで圧倒的な高評価を得る機会がなかったことで、総合14位に沈むこととなった。
■15位 セルジオ・ペレス(レッドブル)
ドライバーズ選手権2位のセルジオ・ペレス(127ポイント)が15位というのは、厳しすぎる評価であるようにもみえるが、シーズン後半の不振により、この位置となった。サウジアラビアで10点、アゼルバイジャンで9点だったものの、モナコと日本に関しては屈辱的な1点。さらに、3点や4点のグランプリも何度かあった。最高のマシンに乗っているドライバーには、シーズンを通して最高のパフォーマンスを発揮する責任があるが、ペレスはそれを果たさなかった。
■16位 周冠宇(アルファロメオ)
チームメイト同様、周冠宇(123ポイント)は期待に届かないシーズンを送った。スペインでは印象的な走りをして8点の評価で、それに続く7点をサウジアラビア、オーストラリア、カタールで得たものの、それ以外のグランプリでは5点か6点が続いた。しかし少なくとも彼は、極端に悲惨な週末を過ごすことはなかった。
■17位 ケビン・マグヌッセン(ハース)
2023年はケビン・マグヌッセン(112ポイント)にとって、長くて辛い、失望にあふれたシーズンだった。ほぼ一貫してチームメイトより劣り、カナダからハンガリーの4戦を含む合計8戦において、3点か4点の評価しかつけることができない、どうしようもない状況だった。ポジティブな週末は4回あり、マイアミでは8点、サウジアラビア、シンガポール、ラスベガスという、勇気が必要なストリートサーキットで7点を得たが、他の大部分のレースが悪すぎた。
■18位 ローガン・サージェント(ウイリアムズ)
ローガン・サージェント(111ポイント)は厳しいF1デビューシーズンを送った。ほぼ毎戦、週末のなかで1度か2度は能力を発揮したが、一貫性を発揮してして良い週末を組み立てることができなかった。予選セッションだけを見ても、一貫性が乏しく、避けられるミスによって大きなダメージを受けた。バーレーン、オーストリア、イギリス、アメリカの4戦で7点の評価だったが、日本では自己最低の1点だった。
■19位 ランス・ストロール(アストンマーティン)
シーズンを通して参戦したドライバーにおいて評価で最下位は、ランス・ストロール(106ポイント)だった。ペレス同様、絶好調のチームメイトとの比較で、どうしても評価が低くなった。ストロールは相変わらず一貫性に欠けていた。しかしマシンの競争力が非常に高かったこともあって、素晴らしい仕事をしたグランプリもあり、バーレーンでは8点、スペインとラスベガスでは7点の評価だったが、悲惨な週末が多く、シンガポールでは1点、モナコとイタリアは2点、その他にも6戦において良くない評価をつけざるを得なかった。
【番外:フル参戦しなかったドライバー】
■ダニエル・リカルド(アルファタウリ)
アルファタウリ2台目をシェアしたドライバーのなかで、評価合計点が最も多かったのはダニエル・リカルド(47ポイント/7戦)だったが、1戦あたりの平均は6.7ポイントにとどまった。メキシコで満点10点、復帰戦ハンガリーで8点。一方、その他の5戦では6点3回、5点2回に終わった。
■ニック・デ・フリース(アルファタウリ)
ニック・デ・フリース(46ポイント/10戦)は2台目のアルファタウリで最も多くのレースに出場したにもかかわらず、リカルドより合計ポイントが少なかった。サウジアラビアとモナコでの6ポイントの評価が最高で、バクーでは最低の1ポイント。デ・フリースがF1でいかに苦しんだかが分かる。
■リアム・ローソン(アルファタウリ)
リアム・ローソン(36ポイント/5戦)は、1戦平均7.2ポイントと、リカルドとデ・フリースより良い評価を得た。ただ、デビュー直後の新人にはどうしても評価が甘くなりがちだということも考慮に入れる必要がある。経験がないにもかかわらず、週末の途中から急きょ抜擢された状況で、素晴らしいパフォーマンスを見せたため、最初の3戦で8ポイントの評価を与えた。最後のカタールでは5ポイントにとどまったが、平均としては、他のベテランふたりよりも、評価点ははるかに高かった。
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