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伝統を受け継ぎながら現代性をも確保。フライングスパーに搭載されるV型8気筒エンジンの妙技にフォーカス!

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伝統を受け継ぎながら現代性をも確保。フライングスパーに搭載されるV型8気筒エンジンの妙技にフォーカス!

Bentley Flying Spur V8

ベントレー フライングスパー V8

2020 ロータス カップ ジャパン最終戦で奮闘!:後編【太田哲也の「ジェントルマンレーサーのすゝめ」:第7話】

求められるパフォーマンスと環境性能の両立

ベントレー フライングスパーに搭載されるV型8気筒ツインターボは、60年以上にわたってクロスプレーンV8エンジンを搭載してきたベントレーの伝統を受け継いでいる。フライングスパーはV8エンジンを搭載したことで息を呑むようなパフォーマンスを手にしながら、個性的なエンジンサウンド、燃料停止による航続距離の拡大、CO2排出量の削減を実現した。

ベントレー製4.0リッターV型8気筒は、高強度アルミニウムから鋳造されたブロックに、ツインスクロールターボチャージャーとプライマリー触媒コンバーターをエンジンのVバンク内に配置した、近代的なエンジンとなる。

燃料噴射装置とスパークプラグは、最適な噴射パターンと燃焼経路を確保するために各燃焼室内に集中配置。カムシャフトは最大50度まで可変し、エンジンの負荷が少ないときにはシリンダーの半分を休止させることによって完全にバランスのとれたV4となる。

現代的で高効率なV8パワートレイン

V8エンジンの設計コンセプトは、低排出ガスと最高の効率を実現しながらも高レベルのパワーとトルクを実現することにあった。

コンパクトなV型エンジンは、軽量ピストンからの動力を利用した5ベアリングクランクシャフトを採用。摩擦によるパワーロスを最小限に抑えるため、中間シャフトを介してウォーターポンプとタイミングチェーンを直接駆動し効率を向上させている。

86mmのシリンダーボアにストローク長を合わせた正四角形のエンジンは、パワーとトルクのベストバランスを実現。ツインスクロールターボチャージャーの採用により、リッターあたり135ps以上を発生させている。それによりフライングスパーV8の最高速度は318km/hを達成した。

レスポンスとトルクを実現したツインスクロールターボ

最高出力は550ps、2000rpmで最大トルク770Nmを発生。これを4500rpmまで安定して維持する。搭載されるツインスクロールターボチャージャー最大の特徴は、タービンハウジング内の2基の独立した平行な流路が排気ガスをタービンホイールのベーンに誘導すること。その結果、低速域でも高トルクを得られるようになった。

このターボチャージャーはエンジンのVバンクの間に配置されており、エンジンからの排気ガスの移動距離を最小限に抑えて1760rpmで作動し、最大1.6barの ブースト圧を発生することができる。その結果、瞬時に出力されるトルクによって0-60mph加速は4.0秒(0-100km/hで4.1秒)を実現した。

8気筒エンジンのもうひとつの設計上の特徴となるのが、触媒コンバーターがVバンク内部のシリンダーに近接していること。この構成により、エミッションコントロールシステムを迅速に最適な運転温度まで上昇させることができる。触媒コンバーターの加熱も、エンジン始動時にターボチャージャーのウェイストゲートを開くことで速くなる。

カムシャフトによって直接駆動される2つの高圧燃料ポンプが8つのソレノイド駆動インジェクターに最高250barの圧力で燃料を供給。それは60トンの蒸気機関車を動かすのに必要なボイラー圧力の14倍にも相当する。

インジェクターは、点火プラグに隣接する燃焼室の中央に取り付けられており、点火前に最適なスプレーパターン(空気と燃料の混合比率)を達成するために、7つのノズルから各シリンダーに燃料のジェットを生成する。空気入口ポートの設計はシリンダーに入る空気の流れの乱れを増やし、この乱流がシリンダー全体に燃料を分散させ、よりクリーンな燃焼プロセスと排出量の削減に貢献している。

高応力とボア摩耗に耐えるため、シリンダーボアは大気プラズマ溶射プロセスを使用して鉄合金でコーティング。このコーティングは堅牢でありながら紙一枚分の厚さに匹敵する150ミクロンの厚さで施されている。

気筒休止システムにより航続距離を拡大

燃費を最大化するため、軽負荷状態でトルクが250Nm以下、エンジン回転数が3500rpm以下のときに、8つのシリンダーのうち4つを停止させることができる。この変化はパッセンジャーには感知できないレベルとなり、作動停止時間は約20ミリ秒(まばたきにかかる時間の10分の1)に留められている。

吸排気バルブを介し必要に応じて2、3、5、8シリンダーをオフに切り替える2ステージスライドカムシステムが採用され、エンジンの負荷と回転数に応じて最大30%の燃費向上を果たした。航続距離の拡大、環境への影響の低減、燃料停止間の走行時間の延長を実現したエンジンに仕上がっている。

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