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BMW M1000R試乗レポート「ビーエムのM」にバイクなら265万円~で乗れる! しかも街乗りできるくらい乗りやすいだって!?

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BMW M1000R試乗レポート「ビーエムのM」にバイクなら265万円~で乗れる! しかも街乗りできるくらい乗りやすいだって!?

バイクにもあるBMW「M」シリーズ

最高出力210psの1000cc4気筒エンジンを搭載したネイキッドモデル、BMW M1000R。車重は200kgと軽量で、パワーウエイトレシオ0.95と1000ccスーパースポーツ並!
そうした数値を見ると、普通のライダーにとってはいささか特殊な存在に映るかもしれません。ライディングテクニックのあるユーザーがサーキットなど限定的な場所でハイパフォーマンスを楽しむバイク……そう思われても仕方ないほど「研ぎ澄まされた感」に満ち溢れています。

【画像14点】バイクにもある「ビーエムのM」! BMW M1000Rの装備、全バリエーションを写真で解説

しかし、いたずらにハイパワーを追求しただけのバイクではないのです。
というのも、BMWにおける「M」とは特別な意味を持ちます。驚異的なパワーを有しながらも、その素性は「良く出来たバイク」をはるかに超越して、普通のライダーも高性能を心置きなく楽しめる究極のマシンに仕上がっていたのです。

そもそもクルマでおなじみのBMW「M」とは、BMWが1972年に設立されたレース部門「BMW モータースポーツ社」(現在はBMW M社)に由来し、「M」はモータースポーツを意味しています。

最初はヨーロッパツーリングカー選手権でBMW 3.0CSLを勝たせるためのチューニングから始まり、F2やF1エンジンの供給をしつつ、ランボルギーニと協業したM1というコンプリートカーをリリース。その後は3シリーズをベースとしたM3、5シリーズをベースとしたM5など、BMW市販車のハイパフォーマンスバージョンを次々と送り出していきます。

そんなBMW伝統の「M」が冠されたバイクは意外にも最近まで無く、2021年にリリースされたスーパースポーツ・M1000RRが初。そして、2023年モデルで「M」第二弾となるネイキッドモデル・M1000Rが登場しました。

ネイキッドながら、スーパースポーツ並みの装備・性能を誇るM1000R

M1000Rはスーパースポーツ・M1000RRのネイキッドバージョンというコンセプトですが、単純にカウルを外して、セパハンをバーハンドルに変更して……というものではありません。

M1000Rは既存のネイキッドモデル・S1000Rのハイパフォーマンスバージョンという位置づけでもあります。そのS1000Rにしても最高出力は165psで、1000ccクラスのネイキッドモデルとしては目をみはるようなパフォーマンスですが、「M」を名乗る以上はそれを凌駕することが必須。一方、ネイキッドとしてリリースするにあたり、乗りやすさを犠牲にすることは許さなかったのではないかと。

高さ830mmというシートにまたがった瞬間から……といったらオーバーですが、走り出しから臆することなく「あ、これ楽しそう」と感じられるとは思ってもみませんでした。

エンジンは拍子抜けするほどあっけなく目覚め、またBMWの4気筒エンジンらしくスムーズなアイドリング。ギヤを入れて、軽く、節度のあるクラッチレバーをリリースすると、ごく低回転でもギクシャクするような気配はありません。むしろ自然なトルクでスルスルと走り出す様子はいたって普通。
ただし、アクラポビッチマフラーが奏でる低音のエキゾーストは音圧も高く、そこに関しては「タダモノでない感」が凄まじいです。

試乗車は超軽量なMカーボンホイールを装着したMコンペティションパッケージだったので、動き出しの軽さにも驚きました。
半面、軽量なホイールはそのジャイロ効果が小さくなるため、手応えが希薄になるかとも思ったのですが、少なくとも公道を走らせる速度域でそのようなニュアンスは感じられませんでした。
むしろ、走り出しだけでなく、ちょっとしたきっかけ、倒しこみといった日常的なシーンでこの軽快感は大きなメリットになると感じました。
これは、ベースとなったS1000Rのシャシーの良さ、マルゾッキ製の電子制御サスペンションといったファクターがうまくバランスしているもあるでしょう。

「スポーツ性能特化」と思いきや、走行モード選択&電子制御で快適にも走れる

走行モードは「レイン」「ロード」「ダイナミック」「レース」「レースプロ」の5種があり、テスト中は「ロード」を選択していたのですが、一般道を走っている限り210psもあるエンジンとは思えないほどの柔軟性、スムーズさには感心するばかりでした。

走行モードはエンジンパワーだけでなく、スロットルレスポンスやエンジンブレーキ、トラクションコントロールなどあらゆる特性、電子デバイスをコントロールしてくれるため「総合的にスムーズで乗りやすい」という表現がふさわしいでしょう。なので、勇気を振り絞ってワイドオープンを試みたとしても、リヤタイヤはスリップの気配すらみせず、もちろん予期せぬウィリーだってしません。
電子制御の介入に不自然さを感じることも一切なく、200kgという車重とあいまって、安全かつ、気持ちよくバイクを操る実感が得られます。

また、エンジンにはBMWが「シフトカム」と呼ぶ可変バルブタイミング機構が採用されています(吸気側バルブタイミングとリフト量が変化)。低中回転で扱いやすく、9000rpmを境にプロファイルが切り替わり、高回転域ではハイパフォーマンスを存分に発揮……というもの。とはいえ、残念ながらといいますか当然といいますか、公道をツーリングペースで走る分には9000回転など回す機会もなく、試乗中に真価を味わうことは叶いませんでした。

それでいうとM1000Rの注目ポイント、「Mウイングレット」も公道では効果を体感できませんでした。これは高速走行時にダウンフォースを発生させることで車体を安定させるもので、100km/hで2.2kg、160km/hで5.7kg、280km/hでは17.4kgものダウンフォースが得られるといいますが、サーキット走行やアウトバーンではさぞ有効でしょう。こちらは夢の広がる装備ということで。

これほどのハイパフォーマンスモデルにもかかわらず……といっていいのかわかりませんが、M1000Rの乗りやすさは特筆に値します。
例えば、700馬力を誇るスーパーカーは超高速域でこそ真価を発揮するもので、「ちょっとそこまで」といった場面で乗れないことはないものの、積極的に使おうという気にはなりづらいもの。

M1000RRにしても、ネイキッドモデルとはいえ1000ccの大型バイク。乗りやすいと言ったって「ちょい乗り」はさすがに厳しいのでは? と思われるかもしれません。ですが、「M1000Rでちょっとコンビニまで」といった気になれるんです。車重は軽くて取り回しもいいうえに、ネイキッドなのでライディングポジションも特に苦しくない。

そして、安全面にも効く数々の電子制御デバイス。電子制御サスペンションにおいては快適な乗り心地も提供してくれます。
これこそ「M」の凄さ。超高性能でありながら、普段のアシや、通勤にだって余裕で使えるという稀有な存在。

現在販売されている「M」はスーパースポーツのM1000RRとネイキッドのM1000Rとなりますが、クロスオーバーのM1000XRもデビュー予定といいます。Mのイニシャルを持つバイクの存在感はますます高まっていくはず。
機会があれば、ぜひ試乗してみてください。これまでのバイク観が一新されること請け合いです。

レポート●石橋 寛 写真●石橋 寛/BMW 編集●上野茂岐

BMW M1000R主要諸元

【エンジン・性能】
種類:水冷4サイクル4気筒DOHC4バルブ ボア・ストローク:80mm×49.7mm 総排気量:999cc 最高出力:154kw(210ps)/1万3750rpm 最大トルク:113Nm(11.5kgm)/1万1000rpm 変速機:6段リターン

【寸法・重量】
全長:2085 全幅:850 全高:1110 ホイールベース:1455 シート高:830(各mm) タイヤサイズ:F120/70ZR17 R200/55ZR17 車両重量:200kg(燃料満タン時) 燃料タンク容量:16.5L

【価格】
スタンダード:265万2000円
Mコンペティションパッケージ:332万8000円

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みんなのコメント

5件
  • 排熱がね。日本は今や亜熱帯的で6月から10月くらいまではエンジン熱が熱くて大変そう
  • ちょっと無理すれば買える値段
    MでもETC・クルコン・グリップヒーター等の快適装備が標準というのはBMWらしい
    サスもモード切替に応じて設定変わりますよね
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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