第7戦クロフトに続き、9月25~26日に連戦での開催となったBTCCイギリス・ツーリングカー選手権第8戦シルバーストンは、ロリー・ブッチャー(トヨタ・カローラGR SPORT/TOYOTA GAZOO Racing UK)が土曜公式練習から計時予選、そしてトップ10シュートアウトも制する“パーフェクト・サタデー”を記録すると、日曜のレース1をポール・トゥ・ウイン、サクセスバラスト満載のレース2でも連勝を記録するなど大爆発。
さらに同ラウンドでは、来季本格導入を予定する共通ハイブリッド機構搭載のテストカー『トヨタ・カローラBTCC(現『トヨタ・カローラGR SPORT』)』が、元王者アンドリュー・ジョーダンのドライブで実戦参加を果たすなど、まさにトヨタ一色の週末となった。
伏兵モファットのインフィニティが初のポール・トゥ・ウイン。フォードも今季初勝利/BTCC第7戦
ナショナル・レイアウトが採用された土曜2回の公式練習から、スピードワークス・モータースポーツ(SWM)の6号車をドライブして最速タイムを刻んだブッチャーは、25分間の予選でも古豪ウエスト・サリー・レーシング(WSR)の4冠王者、コリン・ターキントン(BMW330i M-Sport/WSR)を抑えてトップに立った。
そして昨季より1回限りの施策として導入され、2021年はスネッタートン、シルバーストン、ドニントンパークの3つのイベントに拡大された10分間のトップ10シュートアウトに進出すると、ここでは“元トヨタ陣営のエース”として昨季までSWMカローラの熟成に尽力してきたトム・イングラム(ヒュンダイi30 ファストバック Nパフォーマンス/ギンスターズ・エクセラー8・ウィズ・トレードプライズカーズ・ドットコム)と、前戦クロフトでFR初優勝を飾った好調エイデン・モファット(インフィニティQ50BTCC/レーザー・ツールズ・レーシング)を従えて、土曜“クリーンスイープ”を達成した。
「今日のクルマは、1日を通じて本当にドライブするのが楽しかった。シーズンを通じてかなり開発が進んできたし、オールトンパーク以来、本当に大幅で完全な変化を遂げたと思う」と、TGRワークスカラーを纏うトヨタ・カローラGR SPORTで初ポールポジションを獲得したブッチャー。
■レース1はブッチャーが“ライト・トゥ・フラッグ”
「前戦(クロフト)でも最速の可能性を感じてはいたが、わずかなエンジン不調でそれを実現することはできなかった。でも今日は『よし、それを気にしても仕方がない。自分自身を最大限に活用し、クルマの性能を最大限に引き出そう』とだけ考えたんだ。最後は0.016秒差と超接近戦だったけど、ついにやったね!」
一方、2013年王者ジョーダンがステアリングを握ったトヨタ・カローラBTCCハイブリッドは、慎重に計画された継続的テストおよび開発サイクルの一部として、システム向けにレースウイークの“予行演習”として参戦。それでも全体30台中で20番手のタイムを記録して予選を終え、計画どおりピットレーンからスタートを切ることとなった。
明けた日曜のレース1は、直前のサポートレースで路面にオイルが落ちたことや、一部濡れたウエットパッチが残る難コンディションでスタートが切られると、フロントロウに並んだ2番手イングラムのヒュンダイがカローラを捉えてターン1へ。
しかし後方集団でアクシデントが発生し、ブッチャーの僚友サム・スメルト(トヨタ・カローラGR SPORT/TOYOTA GAZOO Racing UK)と、今季BTCC復帰を果たした3冠王者ゴードン・シェドン(FK8型ホンダ・シビック・タイプR/チーム・ダイナミクス)がコースオフからリタイアを喫したことで、イエローフラッグが掲示される。
この一瞬の間隙を突いたブッチャーは、まだ黄旗が振られる3周目のブロックランズ進入でイングラムに並ぶと、早々にリードを奪還。この動きが後に『黄旗中追い越し』の審議対象になったものの、最終的にはお咎めなしの裁定に。
その後、22周のリードを守り切ったブッチャーが“ライト・トゥ・フラッグ”を決め、2位イングラムの背後にはスタートの攻防で5番手から上がってきたダン・ロイド(ヴォクスホール・アストラBTCC/エイドリアン・フラックス・ウィズ・パワーマックスド・レーシング)が続き、ヴォクスホールで初の表彰台を得ている。
■レース2の最速ラップはカローラ・ハイブリッドが記録
続くレース2では暫定ポールからスタートを切ったブッチャーが、60kgものサクセスバラストを搭載しながらも奮闘。イングラムやジョシュ・クック(FK8型ホンダ・シビック・タイプR/BTCレーシング)らを抑え切り連勝を飾ると、2位に入ったクックはレース後の再車検で『最低地上高違反』が発覚しレース除外処分に。
これでイングラムが連続2位となり、選手権リーダーのアシュリー・サットン(インフィニティQ50BTCC/レーザー・ツールズ・レーシング)を最後まで封じたターキントンが最後のポディウムに滑り込んだ。
「今週末は本当にパーフェクトだった。レース1のスタートで首位を維持できないだろうと予測していたが、その後はヒュンダイをパスするペースがあって良かったよ」と、大成功のレースウイークを振り返ったTOYOTA GAZOO Racingのブッチャー。
「レース2ではバラストが満載の状態だったが、チームはなんとかカローラをパフォーマンスウインドウに入れてくれて、そのハンドリングの良さには驚いたよ。実際に重さを感じたが、それほどの害はなかったんだ。SWMメンバー全員の努力に報いる結果が残せて、特別でほぼ完璧な週末になったね」
そしてリバースグリッド採用のレース3は最前列発進のロイドを逆転したジェイク・ヒル(フォード・フォーカスST/MBモータースポーツ・アクセラレーテッド・バイ・ブルー・スクエア)が前戦に続く今季2勝目をマーク。サットンが3位に入り「あまり好きなスタイルではないが、今はすべてのレースでポイントを獲得することが重要」と、36点もの大量アドバンテージを築いている。
一方、デビュー戦を25位完走で終えたジョーダンのカローラ・ハイブリッドは、このレース2で最速ラップを記録するなどデモンストレーションの一環ながら卓越したパフォーマンスを披露。2022年の本格導入に向け貴重なデータを稼いでいる。
これでいよいよ残り2戦となった2021年BTCCは、2週間後の10月9~10日にドニントンパークで最後から2番目のレースウイークエンドを実施。そして10月23~24日にはブランズハッチの“GPレイアウト“戦でチャンピオンの行方が決することとなる。
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