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地元レースとなる9月のWEC第6戦富士へ木村武史が自信「手ごたえ、きてますよ」

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地元レースとなる9月のWEC第6戦富士へ木村武史が自信「手ごたえ、きてますよ」

 2023年、ケッセル・レーシングからWEC世界耐久選手権に挑戦している木村武史。シーズンはいよいよ9月8~10日に第6戦富士6時間を迎えることになるが、木村にとってはまさに凱旋レース。第5戦モンツァでは惜しいレースを展開しながらもトラブルで結果には残らなかったが、第6戦富士に向けて確実な手ごたえを感じているようだ。

 2022年はGTワールドチャレンジ・アジアでタイトルを獲得し、世界を目指し今季からWECに挑戦を開始した木村。ダニエル・セラ、スコット・ハフェイカーと組んでのトリオで第1戦セブリングで表彰台を獲得したが、第4戦ル・マン24時間ではトップを走るもアクシデントでストップを喫した。

“世界”への次なるステップへ。WEC第6戦富士に小泉洋史とケイ・コッツォリーノがスポット参戦

 7月7~9日に行われた第5戦モンツァでは、セラに代わって頼れるパートナーであるケイ・コッツォリーノを起用。予選9番手からスタートした決勝は、荒れた序盤に木村が接触で姿勢を乱すシーンがあったものの、追い上げをみせ69周の第1スティントをこなし、上位進出の手ごたえを得ていた。

 ところが、木村からハフェイカーに交代し、ジャッキダウンされた瞬間、エンジンとラジエターの接続部から大量の水漏れが起きてしまう。原因不明のアクシデントだったが、エンジンのダメージが心配されたことから、レースを止めざるを得なくなってしまった。

「モンツァは惜しかったです。私のスティントでは2時間20分走ったので、その時点でスプラッシュの必要がなくなり、トップと30秒差だったんです。首位のクルマはまだブロンズドライバーが乗る必要がありましたし、スプラッシュも必要だったので『これはいける』と思いましたね」と木村は振り返った。

 第5戦は悔しいレースとなってしまったが、ここまでシーズンでWECを戦ってきた木村は「けっこう手ごたえ、きてますよ」と笑顔をみせる。来たる9月のWEC富士に向けては「自信、ありますね」と語った。GTEとGT3の乗り換えもスムーズにできているという。

「(自分が)確実に速くなりましたね。タイムとしても出ていますし、覚醒しはじめたかもしれません(笑)」

「優勝できるかどうかは分かりませんが、昨年の富士ではフェラーリが良かったですよね。これは推測ですが、路面が良いのでタイヤがダメになりやすいと思うんです。コルベットは分かりませんが、ポルシェはタイヤがタレやすいのではないかと思うんです。一方フェラーリはダウンフォースがあるので、タイヤがタレづらいと思います。だから良い結果が出るのではないかと思います」

■『ドライバーのデグラデーション』を減らせ
 また木村は、今季WECとともにヨーロピアン・ル・マン・シリーズ(ELMS)にも継続して参戦しているが、ヨーロッパでの戦いを通じて非常に興味深いことを教えてくれた。

「イタリアでは気温35度のなか、私はエアコンがなくても2時間20分走ったんです。それというのも、私はクールスーツを着てるから。でも他のドライバーは着ていないので、バテてしまうんです。ELMSなんかでも、私がロングをかけるのでまわりもかけるようになりました(笑)」

 木村によれば、ヨーロッパではクールスーツをあまり着ないのだという。ここ数年は気温上昇があり、ヨーロッパでもこれまでになかったような気温が観測されているが、そのなかでレースを戦うにあたり、自ら日本と同様にクールスーツを着込んで戦っている木村にメリットがあるのかもしれない。

「みんな30分くらいすると、走りにキレがなくなってくるんです。たぶん暑さだと思うんですよね。それがちょっとずつ分かってきたんです。いくら欧米人でも、熱は熱ですから」

「最近レースのやり方を変えてきて、スティント前半はあまりプッシュしないんです。自分のエナジーをホールドしておいて、無理しないで前についていく。そうすると、まわりのドライバーの“デグラデーション”が始まるんです(笑)。自分はクールスーツで大丈夫なので、そこでプッシュします」

「まわりの皆さんは予選でも自分より速いんですが、プッシュするからジェントルマンは30分で“タレ”ますね。富士もまだ9月で残暑が厳しいですよね。クールスーツをガンガン使っていきますよ」

 ここまでのWECでの経験、そして富士の特性と日本の気候を味方につけ、表彰台獲得を目指す木村。今季のLM-GTE Amクラスは日本人ドライバーの多数の参戦で盛り上がりをみせそうだが、その戦いをぜひ注目していただきたい。

文:AUTOSPORT web
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