南半球を代表する人気ツーリングカー選手権、VASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーでホールデン・ブランドのコモドアZBを走らせているGM(ゼネラル・モータース)は、同国での市販ロードカーが販売終了となった後も、2021年末まで現行モデルで参戦を継続すると発表。近日中の投入がアナウンスされていたシボレー・カマロ・スーパーカーの登場は先送りされる見通しとなった。
2017年からVASCシリーズに導入されたGen2規定は、これまでの4ドアサルーンのみという伝統を打ち破り、5ドアハッチバックや2ドアクーペにも広く門戸が開かれた。エンジン規定にも時代の波が押し寄せ、オーストラリアの魂とも言えるV8自然吸気OHVのみならず、V型6気筒や直列4気筒直噴ターボの搭載も認められている。
オーストラリアスーパーカー:2020年に向けてトップチームが体制発表
この規定に則り、2019年からいち早く2ドアスポーツカーのフォード・マスタング・スーパーカーを投入したフォード陣営は、DJRチーム・ペンスキーのエース、スコット・マクローリンが圧倒的な強さと速さでシリーズを連覇。ワンメイクのパイプフレームを使用しながら、重心位置や空力面での優位性が見過ごせない状況となっていた。
これに前後して、マスタング登場が正式発表された2018年後半には、GM陣営としても2ドアモデルの導入を検討中であることを明言しており、同社を代表するシボレー・カマロ・スーパーカーをシリーズで走らせることで、アメリカン“ポニーカー”の代表的ライバル車種2モデルが、豪州大陸で代理戦争を繰り広げることが期待されてきた。
しかし、GMホールデンのコミュニケーション・ジェネラルマネージャーを務めるダニエル・コッタリルは、12月第2週に入ってからシリーズへの参戦継続を確約すると同時に「現在、シリーズに公認されているZB型コモドアを継続使用する」ことを明かした。
「ホールデン・ブランドとして、つい先日に2021年末までVASCシリーズへの参戦継続することを確認した」と語ったコッタリル。
「レーシング・スピリットはホールデンの重要なブランド・アイデンティティであり、スーパーカーの運営部門が現在2022年導入予定としているNext-Genの車両規則を更新させ続けている状況を鑑み、我々としてもあらゆる選択肢を再評価する必要があると判断した」
GMが当時の傘下に置いていたオペル・ブランドのインシグニアとベースを共有して開発されたコモドアZBは、グループPSA(PSAプジョーシトロエン)によるオペルの買収や、コモドアZB自体がモデル末期に差し掛かっていることも受け、2020年初頭にも豪州での販売を終了することが決まっている。
2018年の段階で、すでにカマロ・スーパーカーの投入に意欲をみせていたGM陣営は、そのシーズン序盤には初期のフィジビリティスタディ(実現可能性調査)を終えており、プロジェクトは“第二段階”に入ったと明かしていた。
その時点で、カマロをGen2規定モデルにスケーリングするべく画面上でのデザインやCFDの解析が進められ、初期のデザイン作業を終えてCFD(数値流体力学)が動いている段階だったという。
また、前述のとおり2019年のマスタング登場以降はコモドアの戦闘力が相対的に低下しており、シーズン中に3度のエアロ・ホモロゲーション改訂が認められるなど、苦しい戦いが続いていた。
同時に7月にはVASCでのファクトリー指定チームであるトリプルエイト・レースエンジニアリングとの契約延長も発表しており、2022年以降のカマロ・スーパーカー投入に向け、開発作業は継続される見通しだ。
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