究極のオフローダー「ランクル」300系へ
text:Takahiro Kudo(工藤貴宏)
【画像】唯「車」独尊?【ランクル300系 ライバル比較】 全170枚
editor:Taro Ueno(上野太朗)
究極のオフローダーとしてトヨタを代表するブランドの1つとなっている「ランドクルーザー」。
その生誕70周年となる今年、ステーションワゴン系モデルがフルモデルチェンジを実施し、最新の「300系」がデビューした。
今回は、そんな300系のライバルについて考察してみよう。
オフローダーの頂点として考えると、まず思い浮かぶライバルは「レンジローバー」だ。
英国のSUVブランドである「ランドローバー」の上位モデルであり、レンジローバーはシリーズを展開するブランド名であると同時に、最高峰モデルとして「レンジローバー」という車種も展開している。
英国王室御用達の認定を受け、上質な仕立てとオフローダーとしての能力の高さをあわせ持つことから、「砂漠のロールスロイス」という異名を持っていたほどのモデルだ(ロールスロイス自体がSUVを展開することになった今ではそう呼ばれることはないが)。
思想が違う? 高級志向のレンジローバー比較
そんなレンジローバーとランドクルーザーの最大の違いは、「プレミアムカーか否か」ということだろう。
たしかにランドクルーザーも200系や300系は高価で上質なモデルである。
しかし、その根底にあるのは「実用的なオフローダー」ということ。オフローダーであることよりも高級車であることが前提となっているレンジローバーとは思想が違うのだ。
具体的にいえば、ランドクルーザーの200系はネクスコなど高速道路管理会社のパトロールカーとしても使われている。
実務にも用いられているのだ。そのため装備が控えめなグレードも展開している。
一方レンジローバーでそういった例は聞かない。
あくまで富裕層が優雅に乗るためのクルマで、開発の前提はプレミアムサルーンと同等の快適性を持つこと。
間違っても作業着で乗るようなクルマではない。
ランドクルーザーはワークホースにもなるけれど、レンジローバーはなり得ないのである。
共通点が多い? メルセデスGクラスと比較
ランドクルーザーのルーツは、自衛隊の前身である「警察予備隊」への制式採用を狙って開発された「トヨタ・ジープBJ型」だ。試作車が完成したのは1951年のことである。
世界的なオフローダーのなかには、同様の出自を持つモデルが多い。
たとえば「ジープ・ラングラー」は、第二次世界大戦時に小型万能の軍用車として開発されたことからスタート。
何を隠そう、高級SUVとしてセレブの愛車の定番になっている「メルセデス・ベンツGクラス」も、その起源となる「ゲレンデヴァーゲン」はもともとNATO軍の制式採用車として企画/開発された軍用車両だ。
こちらは前出のレンジローバーとは異なり、かつては装備を簡略した業務向け仕様も用意されていた。
また、機能面をみてもフロント、リア、そしてセンターと充実したデフロック機構など卓越した悪路走破性のための本格ギミックはランドクルーザーと同じ志を感じる。
しかし、Gクラスとランドクルーザーには大きな違いがある。
それは、ランドクルーザーにはない超高出力エンジン搭載車が、Gクラスには存在することだ。
たとえば日本でも購入できる「メルセデスAMG G63」は、排気量4.0LのV8ターボエンジンを搭載し、最高出力は585psとスーパーカー並み。かつては630psを誇る、排気量6.0L V12ツインターボエンジンを搭載していたこともあったほどだ。
オフロード走行性能だけを考えれば、そんなパワートレインは過剰としかいいようがない。
しかし、Gクラスにはそんな仕様を求める大きなニーズがあり、それを用意することがランドクルーザーとGクラスの決定的な違いなのである。
野性味が濃さがウリ ラングラーと比較
世界を代表するオフローダーといえば、先にも触れたジープ・ラングラーと比べないわけにはいかないだろう。
軍用車両にルーツを持ち、「ラングラー」としてのデビューは1987年。
意外に歴史が浅いと感じるのは、それまでは前身であり第二次世界大戦時に開発された軍用車から基本設計を継承していた「CJシリーズ」が長らく作り続けられていたから。
フルモデルチェンジを機に「ラングラー」と改名されたからである。
現行モデルの「JL」は、ラングラーとしては4世代目で2018年にデビュー。
快適性は大幅に高まり、衝突被害軽減ブレーキをはじめとする先進安全機能が組み込まれたのも、その歴史としては大きな出来事だ。
もちろん、悪路走破性が卓越しているのは言うまでもない。
しかし、現在販売しているランドクルーザー(最新の300系だけでなく70などが海外向けモデルも含めて)と大きく違うのは「野性味」だろう。
ラングラーは最新モデルであっても、ルーフを取り外してフルオープンにできる。
ドアも簡単に外せるし、その気になればフロントウインドウだって前へ倒すことができる。かつての特徴を、今なおしっかりと受け継いでいるのだ。
もちろん、日常的にルーフを外し、ましてやドアを外してフロントウインドウを畳んでいるユーザーなどほぼいないだろう。
しかしながら「やろうと思えばそれができる」ということがエモーショナルで、ファンを喜ばせる機能であることは否定できない。
そこが、ランドクルーザーと違うところだ。
意外な好敵手? 同門アルファードと比較
最後に、異種比較も展開しておこう。「トヨタ・アルファード」である。
アルファードは大型のミニバンで、価格帯は360万円~760万円ほど。
この記事で登場したクルマに比べると安く感じてしまうのだが、一般的にいえば十分に高額車だ。
にもかかわらず日本では毎月約1万台も販売されている、驚くべき超人気モデルである。
そんなアルファードは「ミニバンだからランドクルーザーのライバルにはなり得ない」と反応する人もいるかもしれない。
しかし「トヨタで売っている高額車で、3列シーターもある」と考えれば、意外にも同じ選択肢に入ってくるのである。
端的に言ってしまえば、違いは「快適性か、それとも走行性能か?」ということ。
乗り降りしやすくて3列目が広くて乗員全員が快適なのはアルファード。
一方ランドクルーザーはエンジンがハイパワーでオフロードを走ることができる。
それはちょっと強引なキャラ分けではあるものの、根本となるそれを理解してからでないと、トヨタ同門対決において冷静なクルマ選びはできないだろう。
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