2024年F1シーズンに向けて、各チームが新車発表会を行う時期を迎えた。プレシーズンテスト前のため、ニューマシンのカラーリング披露にとどまる場合もあるが、発表会において明かされる事実、首脳陣のビジョンなどから、見えてくるものは多い。この連載では、各チームの2024年発表会で披露されたニューマシンとチーム体制についてまとめる。今回はアストンマーティンとその新車『AMR24』を特集する。
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【2024年F1全チーム展望:レーシング・ブルズ】さらにレッドブル化が進んだVCARB 01。新技術体制が浮上のカギか
2月も3週目に入り、12日にアストンマーティンが6チーム目となる新車の発表を行った。
1週目の2日にハースが行った発表は昨年同様、カラーリングだけのもので、しかも発表会は行わず、メディアにはリリースを流し、一般のファンにはチームの公式ホームページやSNSを通してのお披露目だった。
2週目に入るとウイリアムズ、ステーク、アルピーヌ、レーシング・ブルズが発表会を催した。さらにその中の数チームは実際の新車を登壇させていた。
それが3週目に入ると、趣向が変わった。昨年、新しいファクトリーで発表会を催したアストンマーティンの今年の新車発表は、リリースだけだった。
その理由は、リリース発表から数時間後にわかる。アストンマーティンの2024年の新車『AMR24』は、ファクトリーからシルバーストン・サーキットへ運ばれ、その日のうちにシェイクダウンが行われたからだった。
プレシーズンテストが21日から開始される関係で、チームとしては今週末には新車をバーレーンへ運搬するため、サーキットから送り出さなければならない。そうなると、新車をチェックするための初めて実走となるシェイクダウンは2月の第3週の前半に行いたい。
ギリギリまで開発と製造を行いつつ、テストにも間に合わせるためには、新車の発表とシェイクダウンは2月の第3週しかない。それを物語っているのが、この3週目には、アストンマーティンのほか、フェラーリ、マクラーレン、メルセデス、レッドブルとトップ5チームが相次いで新車を発表することでもわかる。
アストンマーティンが発表会を行わなかったもうひとつの理由は、テストが始まるまで新車のディテールを明かしたくなかったからだろう。見せたくなかったもののひとつが、リヤサスペンションだ。シルバーストンでランス・ストロールとフェルナンド・アロンソによってシェイクダウンされた『AMR24』のリヤサスペンションは、昨年までのプルロッド方式ではなく、プッシュロッドに変更されていた。
かつてはリヤブレーキダクトの周辺にさまざまな空力パーツを装着できたため、リヤタイヤの内側の下流に多くの空気を通したかったため、リヤサスペンションにプルロッドを採用するチームが多かった。しかし、2022年からブレーキ周辺に関するレギュレーションが大幅に変更されたため、リヤへ流れる空気については、リヤタイヤの内側下流よりもボディワーク下流に注目が集まり、リヤのプッシュロッドをいち早く採用してコンストラクターズ選手権2連覇を果たしたレッドブルの成功で、今年は多くのチームがこれを採り入れている。
ただし、アストンマーティンは『AMR24』のフロントサスペンションに関しては、レッドブル同様のプルロッドに変更することなく、昨年同様プッシュロッドを採用した。これは、2025年に最終形態に変身する前の第二形態なのか。それとも、レッドブルとは異なる空力コンセプトを採用した進化版なのか。
その答えは、プレシーズンテストまで待つとしよう。
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