11月24日(日)、愛知・岐阜県を舞台に開催されている2024年WRC世界ラリー選手権の第13戦『フォーラムエイト・ラリージャパン2024』の大会最終日、ヒョンデ・シェル・モービスWRTのティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)は、総合6位/スーパーサンデー首位でラリーを終え、自身初のドライバーズチャンピオンに輝いた。
第12戦セントラル・ヨーロピアン・ラリー終了時点でチームメイトのオット・タナクに対して25ポイントの差をつけていたヌービルは、1度のラリーでの最大獲得ポイント数は『30』となるため、最終戦のラリージャパンまで争いが続くことになった。
トヨタ、最終日に大逆転で4連覇。ヌービルは悲願の初戴冠【ラリージャパン2024レポート】
タナクの順位に関わらず、5ポイント以上の獲得で確定するという有利な条件で始まったが、ラリーはヌービルの思い通りにはならなかった。本格的な走行が始まったデイの3本目、SS(スペシャルステージ)4の途中でヌービルのマシンに技術的な問題が発生し、突如スピードダウンを余儀なくされた。
午後のSS5を前にタイヤフィッティングゾーンでメカニックと対応にあたるも解消できず、さらにデイ2にはミッドデイサービスが設定されていないため、午後のステージ5本をパワーが出ない状態で走り切ることに。結果的にデイ2終了時点で、トップのタナクから7分41秒3という大差の総合15番手となった。
それでも大会3日目には問題も解決し、1ポイントでも多く手にするために猛プッシュで追い上げる。デイ3のSS10~16のうち、SS11とSS14でステージウインを果たし、SS15ではトップから0.1秒差のステージ2番手を記録するなど、鬼神の如き走りで総合7番手まで取り戻し、土曜終了時の暫定ポイントを獲得する見事なダメージコントロールを見せた。これで、デイ4で2ポイント以上の獲得がタイトル獲得の条件となった。
始まったデイ4最初のSS17は、ヌービルは2番目の出走ということもあり、比較的クリーンな路面で走ることができ、好タイムを記録。WRCクラスで最後の出走となった総合首位のタナクは、路面が汚れていたことを鑑みても、好ペースでステージ上位に食い込むと思われた。
しかし、ステージの最終盤にまさかの大クラッシュを喫してしまう。タナクは無事だったものの、マシンは大きくダメージを負ってしまったため、ここでリタイヤとなり土曜の暫定ポイントも剥奪。これによってヌービルは、2012年から始まった最高峰クラスでの13年間のキャリアの集大成となる初のドライバーズタイトルを手にした。
●ティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)
2024年WRC ドライバーズチャンピオン
「ここまで本当に長かった。何度もタイトルに手が届きそうになったけど、ようやく手にすることができた。とにかく応援してくれたみんなに感謝したい」
「初のドライバーズタイトルを獲得するまで、何年も激しい戦いをしてきたけど、今僕たちは成し遂げたんだ。マニュファクチャラーズタイトルは獲れなかったから複雑な気持ちだけど、僕は最後までプッシュしたし、初めてドライバーズチャンピオンを獲得できたことを、誇りに思うよ」
「(マシントラブルのあった)金曜日の朝は、確かに大打撃だった。 あのまま2番手につけていれば、今週末のラリーは優勝か2位でフィニッシュできただろう」
「それでも自分は冷静さを保つために、『私はすでに夢を生きている』ということを考えたんだ。そして、そのチャンスを掴んで夢を実現できる人はほんの一握りなのだから、物事が思い通りにはいかなくとも。夢の恩恵を受けるように努めようと思って切り替えたんだ」
「そうして、日曜日にポイントを得るために一生懸命プッシュした。このようにして今年はパワーステージで勝利をたくさん収めたが、精神的にもっとも強さが活きたのはこの点だと思うよ」
「これまで素晴らしい瞬間、素晴らしい勝利もあったが、このチャンピオンは、毎年何度も挑戦して、あと少しで成功しそうなのに決して成功しないなかでも大変な努力をしてきたことへの大きな報酬だ」
「だからこれはご褒美だ。この喜びを、家族や友人と一緒に分かち合える最高の時間が待っている。家族がここにきてくれていて嬉しいし、これからここと東京で数日間は一緒に祝うつもりだよ」
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