ロータスは8月18日、創業者コーリン・チャップマンの息子であるクライブ・チャップマンとともに、アメリカ・カリフォルニア州で開催されたモントレー・カー・ウイークの一環であるThe Quail, AMotorsport Gathering(ザ・クエイル・モータースポーツ・ギャザリング)において『ロータス・タイプ66』を世界初公開した。
ロータスの75周年という記念すべき年に発表された『Type 66(タイプ66)』は、カンナム・シリーズへの参戦プロジェクトを念頭に、ジェフ・フェリスによって1960年代後半にデザインされた後、53年の時を経てこの2023年に“再構築”されたサーキット専用モデルだ。
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この“失われたロータス”の復活にはクライブ・チャップマンが大きな役割を果たしている。彼が4分の1スケールと10分の1スケールの図面を英国車ブランドに提供しなければ、ロータスのデザイン・チームは『タイプ66』に命を吹き込むことができなかった。
同氏はタイプ66の再構築に際し、次のように語った。「このクルマは、同じ時代に開発され、もっとも成功したF1シャシーである『ロータス・タイプ72』と多くの革新的な特徴を共有している」
「これらには、フロントウイング用のスペースを確保したサイドマウントラジエーターが含まれており、1970年シーズンのCan-Am(カンナム)ではユニークなことだっただろう。さらに、クルマのリヤは非常に特徴的で、当時のル・マンカーに似ている。これらの機能によりライバルと比較してダウンフォースが高く、高速安定性が向上し最終的にはラップタイムが向上したと考えられる」
またチャップマンは、当時このクルマが作られていれば、ロータスF1のレジェンドであるエマーソン・フィッティパルディがドライブしていた可能性が高いことを認めた。
そんなロータス・タイプ66のパフォーマンスは、現代のGT3カーに肩を並べるという。現代用に最適化されたエアロダイナミクスは、1000時間を超える数値流体力学(CFD)作業が費やされ、時速150マイル(約240km/h)で800kgを超えるダウンフォースを生み出す。
また、その後の車両開発では、ラグナ・セカ、シルバーストン、富士スピードウェイ、スパ・フランコルシャンなど世界各地のサーキットで先進のドライバー・イン・ザ・ループ技術を駆使したシミュレーションテストが行われた結果、現代のエンジニアリングと創意工夫により『タイプ66』のラップタイムはGT3レースカーのそれに匹敵するものとなった。
なお、ラグナ・セカのようないくつかのサーキットでは、シミュレーターの結果より速く走れることが示唆されている。
ミッドシップマウントに収まるマシンの心臓部は、このクルマの設計当時の時代を象徴するV8プッシュロッドだ。ロータスによってチューニングされたエンジンは、850hp(約861ps)以上の最高出力と746Nm以上のトルクを発生する。エンジン上部には、カンナムを象徴するエアインテーク“トランペット”が装備されているが、これは吸気をスムーズにして層流を作るだけでなく、体積効率を向上させ、より大きな燃焼とパワーを可能にするものだ。
エンジンだけでなくシャシーもまた、押し出し成型アルミニウム・セクション、接着ジョイント、アルミニウム・ハニカムパネルなど、当時を彷彿させるものとなっている。一方でサーキット走行時にドライバーが最大限のパフォーマンスを発揮できるよう、現代的なパッケージも備える。その中にはパワーステアリング、リバース付きシーケンシャル・レーシング・ギアボックス、レース用アンチロックブレーキシステム、アンチストール・マルチプレート・クラッチ、固定式ロールオーバー・バーなどが含まれている。
ロータスが1970年代初頭にレースで使用していた、レッド、ホワイト、ゴールドのカラーを反映したかたちでワールドプレミアされた『タイプ66』。このサーキット専用モデルが製造されるのは世界でわずか10台。価格は100万ポンド(約1億8500万円)以上と発表されている。
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