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印象的に心地良い走り フェラーリ・ローマ・スパイダーへ試乗 輝かしいスポーツ・グランドツアラー(2)

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印象的に心地良い走り フェラーリ・ローマ・スパイダーへ試乗 輝かしいスポーツ・グランドツアラー(2)

印象的なほど心地良い走り

モダン・スーパーカーと呼ぶに相応しい動力性能を備えていても、フェラーリ・ローマ・スパイダーは印象的なほど心地良い。インテリアはクーペと変わらず、細部まで上質な素材で仕立てられている。

【画像】輝かしいスポーツ・グランドツアラー フェラーリ・ローマ・スパイダー 競合の2+2 オープンは? 全155枚

センターコンソールがなだらかに立ち上がり、ダッシュボードと結ばれている。高い位置にインフォテインメント用のタッチモニターが据えられ、システムの使い勝手は悪くない。アップル・カープレイとアンドロイド・オートに対応する点もうれしい。

フロントシートは調整域が広いものの、座り心地は硬め。最初は少ししっくり来ない印象だったが、終日運転してみた結果、想像より疲れが少ないことがわかった。

乗り心地も快適。サスペンションのハードウェアは、すべてクーペのローマと共通しているそうだ。マグネティック・ダンパーの設定が、固定ルーフのないボディに合わせて、僅かにソフト方向へ調整を受けた程度だという。

試乗したスペイン・サルデーニャ島の一般道は、平滑な舗装だったとはいえ、サスペンションへ不満を抱くことはなかった。長距離を走っても気になる部分がなかったということは、終始しなやかに路面をいなしていた証拠だろう。

ボディ剛性の変化へ気づくことは難しい。フェラーリの技術者によると、クーペより30%ほど静止剛性で劣るそうだが、それは尋常ではない負荷をシャシーへ加えた時に現れるに過ぎないという。

公道で興奮を味わえるレース・モード

実際、極僅かに落ち着きが弱まり、酷く荒れた路面ではボディが微細に震える素振りはある。それでも、相当なハイペースで攻め立てても、シャシーの緩さを匂わせることは最後までなかった。

トランスミッションは、8速デュアルクラッチ・オートマティック。オート・モードは、キックダウンに少々消極的な設定だが、シフトパドルを弾けば瞬時に反応。小気味よく次のギアが選ばれる。

意欲的にコーナーを巡り出せば、コンフォート・モードでは安全志向のトラクション・コントロールが比較的すぐに介入する。スポーツ・モードへダイヤルアップすると、サスペンションが僅かに硬くなり、エグゾーストノートが増す。

ただし、基本的な特性は期待ほど変わらない。跳ね馬らしいエキサイティングさを求めるなら、レース・モードがベストだ。放たれるノイズが大きくなり、8速ATは容赦なくシフトアップし始める。

さらに、フェラーリ・ダイナミック・エンハンサー(FDE)と呼ばれる、シャシーの電子制御システムが稼働する。ブレーキによるトルクベクタリング機能と、スタビリティ・コントロールが協調して働き、一層ダイナミックな走りを許してくれる。

一部の高性能フェラーリへ実装される、CTオフ・モードは備わらない。それでも、レース・モードはワインディングでまくし立てるのに最適。ボディを路上へ留めておくのに手を焼くほどは暴れず、アクセルペダルの加減でコーナリングラインを絞っていける。

少しだけソフトなローマ 増額分の魅力も獲得

ステアリングのレシオもクーペと同じ。しかし、サスペンションとボディが僅かにソフト寄りなため、実際には反応が若干スローに転じているとのこと。

フェラーリだからクイックなことに変わりはないが、クーペで感じたように、慣れが必要なほど鋭いわけではない。手のひらへは、繊細なフィードバックまでは伝わってこないものの、満足できる感触はある。

極めて高次元なフロントタイヤのグリップ力と、最小限のボディロールとが組み合わさり、ローマ・スパイダーの挙動を手に取るように感じ取れる。ドライバーは、自然と大きな自信を抱ける。

マネッティーノのダイヤルを最後まで回し切ると、ESCが完全にオフになる。ローマ・スパイダーの白眉のバランスが、すべて堪能できるようになる。

トラクションは巨大で、それを超えると途端にテールが流れ始める。だが、クイックなステアリングを活かし、オーバーステア状態を維持しやすい。充分に広い道なら、恐怖感を感じることなく、エキサイティングなドライブへ興じれるだろう。

フェラーリ・ローマ・スパイダーは、快適性や動的能力など、クーペに対し犠牲を払っている部分は皆無といえる。輝かしいスポーツ・グランドツアラーだと思う。

英国価格は、クーペから数万ポンド(数100万円)高くなる。とはいえ、ほんの少しだけソフトになったローマは、増額分の魅力も獲得したようだ。

フェラーリ・ローマ・スパイダー(欧州仕様)のスペック

英国価格:21万313ポンド(約3806万円)
全長:4656mm
全幅:1974mm
全高:1306mm
最高速度:320km/h
0-97km/h加速:3.4秒
燃費:8.8km/L
CO2排出量:258g/km
車両重量:1556kg(軽量化パッケージ)
パワートレイン:V型8気筒3855ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:620ps/5750-7500rpm
最大トルク:77.4kg-m/3000-5750rpm
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック(後輪駆動)

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