長い冬を越え、2024年シーズンのF1がバーレーンで開幕。今年最初の公式セッションとなる開幕戦バーレーンGPフリー走行1回目は、ビザ・キャッシュアップRBのダニエル・リカルドがトップタイムを記録した。
開幕を前に同地ではプレシーズンテストが3日間行なわれたが、そこでのタイムは参考程度。当然走行内容をチーム側が詳しく教えてくれる訳もなく、今年の勢力図は見えてこなかった。各マシンの全開走行は予選まで待つとしても、2024年シーズンを見通す上でこのFP1も重要なセッションとなる。
■レッドブルRB20の”超攻めた”デザインに、ホンダ/HRCが果たした役割。角田哲史LPL「エンジンの熱限界を上げることで、間接的に貢献できているはず」
FP1はまだ日が高い現地14時30分からスタート。気温20度、路面温度36度という状況で、サーキットには風速3m近い風が吹き付けていた。
1時間のセッションが開始されると、各車が待ってましたと言わんばかりに続々とコースイン。チーム代表がギュンター・シュタイナーから小松礼雄へと変わったハースF1、アルファタウリから装いを大きく変えたRBなどもマシンをコースへ送り出した。
このオフシーズン中に様々な変更があったチームのひとつであるキック・ザウバー(旧アルファロメオ)の周冠宇には、セッション開始早々にトラブルが発生。ブレーキが機能していないと訴え、すぐさまガレージにマシンを戻すこととなった。なお、さほど時間をロスすることなく周は走行を再開できた。
そんな中まずトップタイムを立ったのがチャンピオンチームであるレッドブルのセルジオ・ペレス。ミディアムタイヤで1分35秒093をマークした。
その後ペレスのタイムをメルセデスのルイス・ハミルトンやジョージ・ラッセル、フェラーリのシャルル・ルクレールやカルロス・サインツJr.など、レッドブルの対抗馬と目されるチームのドライバーたちが同じタイヤで上回った。
しかし遅れて計測を行なった3度のF1世界チャンピオンであるレッドブルのマックス・フェルスタッペンが1分33秒900でトップへ浮上。一時的にこのタイムをラッセルが0.151秒上回ったが、フェルスタッペンはさらにタイムを削って再びタイムシートのトップに立った。
各チームとも序盤から積極的に走行し、折り返しを前に多くのドライバーが一度ガレージイン。タイムシート上位には昨年同様にレッドブルやメルセデス、アストンマーティン、フェラーリ、マクラーレンなどの名前が並んだ。新生RBのリカルドと角田裕毅はそれらの後ろにつけた。
先陣を切ってソフトタイヤを投入したのはマクラーレン。オスカー・ピアストリとランド・ノリスがグリップの高いタイヤでトップタイムを記録したが、その後にソフトタイヤを履いたRBのリカルドが暫定トップの1分32秒869を記録した。角田もソフトタイヤを履いたが、計測中にマシンの挙動を乱したことが響いたか、マクラーレンのふたりを挟んで4番手だった。
セッション中盤でソフトタイヤを投入するチームも見られたが、レッドブルやメルセデス、フェラーリなど2セット目の新品ミディアムタイヤで走行を再開するチームも少なくなかった。
ミディアムタイヤ勢ではしばらくフェルスタッペンが記録した1分33秒238が最速だったが、それをアストンマーティンのフェルナンド・アロンソが1分33秒193で上回った。
ミディアムタイヤ勢もソフトタイヤ勢もほとんどがタイム出しを終えると、セッション後半はロングランを実施。周回数に違いはあれ、セッション終了までフェルスタッペンやフェラーリの2台は1分37秒台をキープして走行した。
タイムシートはセッション中盤以降大きく変動せず、ソフトタイヤを使用したRBとマクラーレンが上位に。リカルドがトップタイムでノリスとピアストリを挟んで角田が4番手となった。まだ時期尚早かもしれないが、マクラーレンが昨年上位を争っていたことから今年のRBは上々な滑り出しを果たすことができたと言える。
その後ろにミディアムタイヤのみを使用したアロンソやフェルスタッペン、ラッセルやルクレール、ハミルトンなどが続いた。マシンからパフォーマンスを最大限に引き出しての走行はFP2以降にお預けだ。ザウバーもソフトタイヤを投入したもののボッタスが10番手止まり。序盤にトラブルがあった周は15番手だった。
なお、後方にはアルピーヌとハースの4台が沈んだ。自己ベストタイムでは上位と大きな差があるが、レースを意識してのセッションだったのか、それともパフォーマンスに苦しんでいるのだろうか。
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