11月25日、愛知県名古屋市にあるトヨタ自動車オフィスにてTOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)の2025年WRC世界ラリー選手権への体制発表記者会見が行われ、WRC2チャンピオンに輝いたばかりのサミ・パヤリがレギュラードライバーとしてのチームに加わることが決まった。
パヤリは、来たる12月1日に23歳になるフィンランド出身のドライバー。2021年ジュニアWRC選手権で史上最年少チャンピオンとなり、2023年にWRC2初優勝、2024年はデビューイヤーのトヨタGRヤリス・ラリー2に乗り換え、3勝を挙げてタイトルを手にした。
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その活躍が認められたパヤリは、WRC2で王座を争いながらもフィンランド、チリ、中央ヨーロッパでTGR-WRTとともに最高峰クラスに挑戦している。
体制発表記者会見に出席したパヤリは、「まずWRC2チャンピオンを獲れていい気分だ。そして、多くの優勝も経験することができた」とし、来季への抱負を語っている。
「さらに今年は3戦をラリー1で出走することができ、非常に楽しく走ることができた。来年は、まずこの経験をしっかり活かしていこうと思うよ」
「もちろん、まだまだ多く学ばないといけないこともたくさんある。ただ、チームメイトやメカニックたち、チームの全員が非常に楽しい雰囲気で迎えてくれているので、楽しみにしている」
そして来季のコドライバーについて、WRC2ではエンニ・マルコネンと組んでタイトルを獲ったが、今回の体制発表会では未定とされた。
このことについては、「コドライバーの変更はラリージャパン前には決まっていた」とコメントし、次の内容にとどめていた。
「だから、彼女にとって突然の知らせになっていたわけではないんだ。多くのことを達成したと思っているが、これで一度袂を分かつことになるね。彼女とは良い数シーズンを送ることができたよ」
■「新しい血が流れる」。“先輩”勝田が認めるパヤリの速さ
今季WRC2での走りがヤリ-マティ・ラトバラ代表に認められ、タイトルを獲る前にラリー1デビューを果たしたパヤリ。
来季からはチームメイトであり、ラリー1ですでに4年間を戦っている先輩でもある勝田貴元は、「彼はもちろん速いです」とその実力を認め、彼についての印象を話した。
「今の時点でもすごくポテンシャルがあるうえに、これからもどんどん伸びる選手だと思います」
「4年ぐらい前になりますが、僕の元々のコドライバーであったマルコ・サルミネン選手が彼のコドライバーを務めたこともあるというところで繋がりがあったので、よく話したりもしていました」
「そのころから、とても落ち着いていましたし、『この子は絶対に来る』と感じていました。そうしたら、本当にポンポンっとすんなり上がってきたので、僕としてはそういった選手がちゃんと目指せる場所がある環境が嬉しいです」
自身も育成プログラムの出身である勝田にとって、若手の登用は希望を感じさせるいい采配だと言葉にした。しかし、2025年のシートがかかったラリージャパンの翌日であることもあり、彼に対するライバル意識も語る。
「ただ、かといって僕としてはライバルでもあるので、負けないようにしなくちゃいけないのはもちろんです」
「ただ、蹴落とすみたいなことは絶対にありませんし、間違いなく僕だけでなくチーム全員にとっていい刺激になると思います」
「チームに新しい血が流れるようなもので、自分に足りないところは彼から見つけて吸収していきたいですし、さらに自分も強くしていけたらなと思います」
パヤリはこの発表会の場や、王座のかかるラリージャパンのサービスパーク内において、他の選手と比べてもひと際冷静な振る舞いを見せていた。さらに、TGR WRCチャレンジプログラムの2期生であり、2024年WRC2でライバルとしても戦った山本雄紀は、とあるテストの際にパヤリの助手席で走りを体験したそうで、「スーパースムーズ」なその走りが参考になったと語っている。
そんなパヤリの来季はコドライバーが変更になるということで、ステージフィニッシュ後に笑顔のマルコネンがパヤリの腕を優しくたたく名物ルーティン『腕ポンポン』が見られなくなるのは少し寂しいところだが、冷静さを武器とするパヤリが最高峰クラス1年目をどう戦うのか、まずは1月のラリー・モンテカルロでの走りを楽しみに待ちたいところだ。
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みんなのコメント
ヌービルが要した時間を考えると、勝田にもチャンスがあるかも知れませんが、先ずはもっと勝たないと