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アストンマーティンがF1へ本格参戦! その理由と目標に小川フミオが迫る

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アストンマーティンがF1へ本格参戦! その理由と目標に小川フミオが迫る

2021年シーズンへ挑む新チーム

アストンマーティンがF1に参戦する、というニュースがモータースポーツ界に驚きを与えたのが、2021年初頭だった。その後、新チーム名、ドライバ−体制、マシンの概要、と段階を追って明らかにされ、3月にはマシンが公開された。

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アストンマーティンは、読者には説明の必要はまったくないだろう。昨今では、スーパースポーツに加え、SUVのDBXが人気の、英国のスポーツカーブランドだ。これまでル・マン24時間レースをはじめとする耐久レースや、GTレースには熱心だった。

レーシングポイントとタッグ

それがここにきて、F1なのだ。ご存知のように、2017年から20年にかけて「アストンマーティン・レッドブルレーシング」はあった。ただしあくまでもタイトルスポンサー。今回、「アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム Aston Martin Cognizant Formula One Team」の名の下に、2021年シーズンから参戦することが決定している。

母体となるのは、「レーシングポイント」チーム。20年シーズンは総合4位と、成績もよい。同チームとアストンマーティンには、じつは共通点がある。ともにオーナーが、カナダ人の実業家ローレンス・ストロール氏ということだ。

F1へ本格参入する理由

「アストンマーティンはこれまでWEC(世界耐久選手権)で名を上げてきました。たしかに、ル・マン24時間レースは、25万人以上の集客数を誇るぐらいで、ここでいい成績を上げれば人口にも膾炙(かいしゃ)するというものです」

そう語るのは、アストンマーティン ラゴンダでエグゼクティブバイスプレジント及びチーフクリエイティブオフィサーを務めるマレク・ライヒマン氏だ。2月下旬にジャーナリスト向けに実施されたオンラインでの記者発表の場に登場して、背景を説明してくれた。

「それに対してF1を観るひとの数は20倍ともいわれています。シーズンになると、毎週末のように家庭でも放映されますから、アピール力は桁違い。とりわけ、中国をはじめとする新しい市場でブランドイメージを構築するには、F1に如くものはないと考えました」

車体はブリティッシュレーシンググリーン

そこで、アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチームは、マシンの車体色も、メインカラーはアストンマーティンのシンボルともいえるブリティッシュレーシンググリーンを採用。

従来、レーシングポイントといえば、飲料ブランド「BWT」のスポンサーカラーであるピンクで知られてきたが、メインスポンサーを米のIT企業コグニザントとするとともに、大胆なイメージチェンジを敢行したのだ。BWTカラーはストライプとして美しいアクセントを添えている。

シルバーストンに新ファクトリーを開設

「F1マシンについての開発は、当面、これまでのマシンに(レギュレーションに合わせて)改良を加えていくことになる」。チームプリンシパル兼CEOのオトマー・サフナウアー氏は話す。ただしエンジンは、アストンマーティン ラゴンダの株主でもあるメルセデスAMGの「M12 Eパフォーマンス」となる。

マシン名は「AMR21」。2022年なかばまでには、英シルバーストンにあるアストンマーティンのファクトリーをさらに1万8000平米強も増強した施設が完成するそうだ。

英国スポーツカーブランド対決も見どころ

「20年シーズン(のレーシングポイントチーム)は残念なことに、後半エンジントラブルに見舞われることが多く、最終的にメルセデス、レッドブル、マクラーレンにつぐ4位に甘んじたが、今期はつねに表彰台をめざす」とサフナウアー氏は鼻息あらく語る。

「どのチームもドライバ−体制をふくめて布陣を一新するので、戦闘力も上がるでしょうが、マクラーレンの上には行きたいと思っています」。同じ英国のスポーツカーブランドが上位を競り合うことになれば、レースのおもしろさが一層増しそうだ。

ベッテルとストロールのケミストリーは

アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチームのドライバーは、ひとりはランス・ストロール。レーシングポイントから残留する。もうひとりは、フェラーリに乗っていたセバスチャン・ベッテルだ。ベッテルは20年シーズンにフェラーリから戦力外通告を受けているものの、過去には、2010年、2011年、2012年、2013年と連続してF1ワールドチャンピオンに輝くなど、注目すべき成績を残している。

ひとりはフェラーリをクビになったドライバ−で、もうひとりはチームオーナー(ローレンス・ストロール氏)の息子で、ふたりはうまくやっていけるだろうか、と、オンラインでの記者会見でジャーナリストから質問が出た。

「セバスチャン(ベッテル)には教えてもらうことがまだまだたくさんあるだろうし、チームとしてドライバーに優先順位をつけるようなことはなく、ふたりを対等に扱いつつ、いい成績を出すために力を借りていきたい」。サフナウアー氏はこう語った。

次世代ミッドシップ製品群に繋がる技術

F1に積極的にかかわることは、じつは、もうひとつメリットがある、とはアストンマーティン ラゴンダでエグゼクティブバイスプレジント及びチーフクリエイティブオフィサーを務めるマレク・ライヒマン氏の言葉だ。

「これからのアストンマーティン車はミッドシップ。しかも、(開発中のスーパースポーツカー)ヴァルキリーのように、積極的にF1の技術をフィードバックしていこうというモデルが、これからのアストンマーティンを支えていくことなります」。ライヒマン氏は言葉を続ける。

「レッドブルと共同開発してきたヴァルキリーValkyrieは(レッドブルとの関係が契約上終了していても)九分九厘出来上がったようなステージです。さらにこのあとアストンマーティンでは、ヴァルハラValhallaやあたらしいヴァンキッシュVanquishなど、ミッドシップになるスーパースポーツの開発計画が進行中で、F1マシンのような超スムーズな変速ができるギヤボックスや、同様のハイブリッドシステムなどを市販車に盛り込んでいく可能性もあります」

表彰台でもっとも美しいマシンに

オーガニック(有機体)とも評される独自のエレガンスを感じさせるアストンマーティン車と共通のデザインランゲージが、フォーミュラマシンに採用されることになるだろうか。

この質問についてライヒマン氏は、「さすがに機能が最優先されるF1の世界で、アストンマーティンのスポーツカーに近いスタイリングの実現は難しいものの、ペイントを観ていただければわかるように最大限の努力をして、表彰台でもっとも美しいマシンを実現することに心を砕いています」とした。

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