10月13日、静岡県の富士スピードウェイで全日本スーパーフォーミュラ第7戦の決勝が行われ、VANTELIN TEAM TOM’Sの坪井翔が前日の第6戦から続く2連勝を飾った。
ここでは決勝後、全ドライバーが参加して行われる取材セッション“ミックスゾーン”から、ドライバーたちが決勝レースについて語った内容を2回に分けてお届けする。
“富士マイスター”坪井がポール・トゥ・ウインで完勝。3度のSCも追い風に【第7戦決勝】
■太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
予選14番手/決勝4位
予選ではQ1Aグループで7番手となり、約1年ぶりにQ2進出を逃した太田。前日の第6戦では2番グリッドを獲得していただけに、大会2日目は予想外の幕開けとなった。
「ポールへの期待は高まっていたと思うのですけど、全体的にグリップが感じられなくて、タイムが出なかったです。その原因の究明は今しているところです。昨日もレースペースが悪かったので、かなり厳しいレースになるかなと思っていました」と太田。
その予想とは裏腹に、決勝が始まると1周目から順位を上げ、3周目の時点でトップ10圏内に入る好調ぶり。その後も着実にポジションアップして5位でチェッカーを受けたが、前の佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)にタイムペナルティが出たことで順位がひとつ繰り上がり、最終結果は4位となった。
「昨日もあれだけ悪かったですし、今後のためにもいろいろと変えて臨んでみた結果、最終的に4位となって、10ポジションアップができました。みんな自力で抜いていったし、内容としては非常に良かったレースだったと思います」
またレース中に「(牧野)任祐の邪魔はしたくないからさぁ、仕掛けるなら早めに仕掛けて。多分今俺の方がペースあるから」という無線が公式映像に流れた。その意図については、このように語った。
「やっぱりチームで戦っているので、僕たちが今ここでやり合うべきではないなと。バトルというのは必要な時もあれば、少し我慢をしてお互いのポジションを守らないといけない時もあります」
「昨日もそうですけど、バトルをすると(コース内の)ダストを拾ってしまって次の周にタイムが出なくなるところもあったので、ペースはあったのですけど、簡単に抜きに行けるほどでもなかったです。できれば無理に仕掛けたくない相手だったから、早めにいってほしいというコメントをしました」
残るは最終大会の鈴鹿2連戦のみとなったが、「鈴鹿は開幕戦のデータもあるし、昨年も勝っているので、そんなに心配はしていないです。最後2つとも勝って終わりたいなと思います」と意気込みを語った。
■小林可夢偉(Kids com Team KCMG)
予選9番手/決勝5位
土曜の第6戦で印象的なスピードを見せ、予選11番手から3位表彰台を獲得した可夢偉にとって、週末ダブルヘッダーの後半戦となる第7戦の展開は期待どおりに進めることができなかったようだ。
「スタートもうまくいきましたし、もうちょっといいレースを期待していたのですけど、正直あまりうまくかなかったです」と可夢偉は語った。前日と同様に早めのピットストップを選択し、ミニマムの10周でタイヤ交換に戻ったが、12周目に導入されたセーフティカー(SC)によって、アンダーカットを狙うプランは水泡に帰してしまう。
「SCが入って全部チャラになってしまいました。それによってきつい展開になったなというのが本音です。そのあとはなんとか意地で順位を上げていったのですけど、直線が伸びなくて結構苦労しました」
決勝でのストレートスピードの伸び悩みに直面していた可夢偉は、最終コーナーの進入で野尻智紀(TEAM MUGEN)にオーバーテイクを仕掛けるなど、ワザを駆使した戦いを演じていた。「結構苦戦していて、抜くにしても意外なところで抜きに行くしかない。正当なラインで抜けないというのが今日の一番の難しいところでした」と可夢偉。
「クルマ(の出来)はいいのですが、なぜかレースになると直線が伸びないんです。予選ではちょっとマシなんですけど、予選は予選でタイヤのピークがちょっとつかめなくて、思いっきり走れてなくて悩んでいます」
土曜は可夢偉が、日曜は福住仁嶺が2位となって表彰台に上がり、チームとしては上り調子に見えるKCMG。「すべてのピースはハマらなかったものの、流れとしては良かったと思います」と語った彼が見据える目標は、これまでと変わらない。「とにかく優勝だけを考えて、そのための準備をして鈴鹿に向かいたいと思います」と宣言し富士を去った。
■岩佐歩夢(TEAM MUGEN)
予選12番手/決勝6位
2列目4番手スタートのはずが6列目のスタートに。予選でトラックリミット違反によるタイム抹消を受けた岩佐のスターティンググリッドは、Q2に進出したマシンの最後尾である12番手となった。
コカ・コーラコーナーの出口ではみ出すかたちとなった予選Q2のアタックについて、岩佐は次のように振り返っている。「ポールポジションが狙える感じではなかったので、とにかくもう限界まで攻めて、マシンのポテンシャルを引き出しに行った攻めた結果です」
中団からの巻き返しを図る展開となった決勝へ向けては、ピットインを引っ張る方向や、反対にミニマムの10周で入ることも念頭に戦略の決め打ちはせず、チーム判断で状況ごとに対応するという柔軟な方針をとっていたという岩佐陣営。そして、12周目にセーフティカーが入ったタイミングで他のステイアウト組とともにピットインし、リスタートを前に9番手に順位を上げることに成功した。
チームメイトの野尻智紀とのバトルを含むその後の走りについては「悪くなかったと思います」と語った岩佐。「でも、良いとも言えなくて、昨日と同じように、やっぱり最後は可夢偉さんに普通にやられてしまいました」
週末にクルマを仕上げていく作業の出来について尋ねられた岩佐は、金曜のフリーから土曜日にかけてはあまりポテンシャルを上げられなったと話すも、第6戦と第7戦の間にはステップアップが見られたと語った。「とくに土曜から日曜は、週末の中ではいい方向に進んだステップだったと思います。だた、まだ足りなかったというところですね」
「予選も全然ポールを狙えなかったですし、レースペースはいいにしても今回予選は自分のミスで落としてますけど、上位に行ったからといって優勝できるペースがあったかと言われるとそうでもないですし、その辺を考えるとまだまだ(週末のステップアップが)足りなかった感じですね」
■笹原右京(VANTELIN TEAM TOM’S)
予選15番手/決勝14位
前日の第6戦ではQ2進出を果たし、今までとは違う手応えを掴んだ感があった笹原だが、今日の第7戦は予選から苦戦を強いられる展開となった。
「『(昨日の手応えは)どこへ行ってしまったのだろう?』という感じでした(苦笑)。セクター3が遅かったので、そこを改善しようと思ってやったのですけど、多分コンディションが変わったことが裏目に出てしまったのかなと思います」
15番手から挽回を狙おうとするも流れは良くならず。「スタートでは前回のもてぎ同様に、うまく(クラッチが)つながらないトラブルがありましたし、レース中もギヤが弾かれてしまうことがあって……キツいレースでした」と笹原。
さらに2周目のダンロップコーナーでは三宅淳詞(ThreeBond Racing)の接触・スピンを回避するためにコース外側にいったが、そこで自身がスピンを喫して復帰に時間がかかる場面もあった。
「僕は国本(雄資)選手と争っていて、アウトサイドからオーバーテイクを仕掛けようと思ったら、(三宅選手がスピンして)道を塞がれて外側に避けるしかありませんでした。そうしたら、芝生で突然クルマがスピンしてしまいました」
不運があったにしても、レースペース的には課題は山積みという雰囲気の笹原。「決勝はストレートで遅いというのがキツかったです。中間加速からトップエンドのところで(ライバルとの差が)データ以上にあるのかなと思いました。その原因が何なのかしっかり見つけないといけないと思っています」と終始笑顔がなかった。
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