この数年間、F1にリバースグリッドの予選レースを導入することについて、様々な議論が行なわれてきた。しかしこれまではチームの反対に遭い、実際に導入されることはなかった。
しかしシーズン開幕が大きく遅れている2020年シーズンに、この予選レースを投入する案が再燃。先週金曜日(5月29日)に行われたチーム代表とF1首脳陣、そしてFIAによって行なわれたオンライン会議において議題に挙げられた。
■イギリス政府、F1も検疫免除の対象に。イギリスGPの2週連続開催実現に向け前進
先日行なわれた世界モータースポーツ評議会(WMSC)で、レギュレーション変更に関しては承認された。そのため今回の会議は、7月にオーストリアで開幕する、欧州での8レースの開催カレンダーの調整、無観客イベントをどのように機能させるかという部分に焦点が当てられた。
そんな中で浮上したのが、リバースグリッドの予選レース開催案だ。2週連続で同じサーキットでレースを行った場合、2週目のレースの魅力は当然1レース目よりも薄れてしまう。そんな中でも関心を引きつけるため、リバティ・メディアとFIAは、予選レース開催を提案したのだ。これが成功した場合には、2022年以降さらに広範囲で実施することを目指すとしている。
金曜日の会議では、様々なレースフォーマットが議論されたが、最終的な案がFIAによってまとめられるべきだという結論に至った。そしてさらなる評価を行うため、土曜日にそれがチーム代表たちに渡されることになった。
このアイデアは、2回目の週末には、通常の予選に代わって、30分の予選レースを行なうというモノである。そのスターティンググリッドはチャンピオンシップのランキング順となり、レース後マシンはパルクフェルメに保管されることになる。その他、週末のセッションはFP1からFP3までは通常通り行なわれる。
現在開幕戦の舞台はオーストリアになる予定であり、7月5日に実施されるのが決定的な情勢だ。そしてその翌週には、同じオーストリアで2レース目が開催されることになる。つまり、予選レースが実現すれば、そのスターティンググリッドは開幕戦の決勝順位に基づいて決められるため、最初のレースの早い段階でリタイアしたトップチームのドライバーは、大きなメリットを手にできるということになる。
現時点で2週連続開催が決定的なのは、オーストリアとイギリスのみ。ただ、11月もしくは12月に開催が予定されているバーレーン戦も2週連続開催にすることが議論されている。
FIAは、新型コロナウイルスの危機に対応するため、緊急のルール変更が必要な場合には60%のチームが賛成すれば良いという形に規定を変更した。しかしリバースグリッドの予選レース実施については、緊急の変更とはみなされないため、これまで通り全会一致することが必要だ。
フェラーリを含む大多数のチームは、予選レース導入について賛成の姿勢を示したようだが、メルセデスは明確に反対したという。そして、検討に向けてもっと時間が必要だと主張したチームもあったようだ。
今週の水曜日にはF1のスポーティング・ワーキング・グループの会合が予定されているため、もし予選レースを導入するならば、早急に決定することが必要となる。ルールの詳細については、チームマネージャーが話し合いを行なっている。
メルセデスは、それまでの成績がレース結果を左右することを危惧すると共に、F1にギミック的な要素を取り入れることに疑問視しているため、リバースグリッドの予選レース実施に反対していると見られている。
チームはすでに、チャンピオンシップの順位によって、開発の時間が左右される”空力開発ハンデキャップ”については受け入れており、これによりリバースグリッドを導入せずとも、チーム間の差を縮めることになると考えているのだ。
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