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元王者ジロラミ完勝。新型クプラ・レオンVZが2戦連続のワン・ツーデビュー/TCRヨーロッパ開幕戦

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元王者ジロラミ完勝。新型クプラ・レオンVZが2戦連続のワン・ツーデビュー/TCRヨーロッパ開幕戦

 新生『FIA TCRワールドツアー』の開幕戦にも指定された4月20~21日のイタリアのヴァレルンガにて、2024年のTCRヨーロッパ・シリーズも幕を開け、今季より本格デリバリーが開始された新型クプラ・レオンVZ TCRが躍動した。

 2022年のチャンピオンでもあるフランコ・ジロラミ(モンラウ・モータースポーツ)が、シリーズ復帰初戦をポール・トゥ・ウインで飾ると、同ヒートで2位に入ったオーレリアン・コンテ(SPコンペティション/クプラ・レオンVZ TCR)が日曜にポジションを入れ替えて勝利を挙げるなど、クプラの新型モデルがヨーロッパ・デビュー戦で2戦連続のワン・ツーフィニッシュを決めている。

王者ミケリスが貫禄のポール・トゥ・ウイン。新たな僚友ジロラミも初勝利/TCRワールドツアー開幕戦

 ヴィクトル・ダビドフスキーやエリック・ジェネと並び、モンラウ・モータースポーツで3台目のクプラ・レオンVZ TCRをドライブすることが決まった“ネストールの弟”に加え、SPコンペティションからはオーレリアン・コンテとジョヴァンニ・スカマルディの2台がエントリー。都合5台の新型クプラが今季の欧州シリーズを追うこととなった。

 その勢力に対抗する筆頭候補となるのが総勢6台を擁するホンダ陣営で、世界戦も経験するALMモータースポーツは、昨季のTCRサウスアメリカ王者で今季より欧州武者修行を開始するイグナシオ・モンテネグロをエースに、レベンテ・ロソンツィ、ルベン・ボルトの3名を起用する。

 さらにぺぺ・オリオラがチームマネージャーを務める新興ゴート・レーシングからは、ルベンとフェリペのフェルナンデス・ペアに加え、セルビア出身のドゥサン・ボルコヴィッチが最新のFL5型ホンダ・シビック・タイプR TCRのステアリングを握る。

 そのほか、昨季までアウディRS3 LMS 2の大所帯でシリーズを牛耳ってきたコムトゥユー・レーシングは、今季シングルカー体制に縮小。TCRイタリア“3冠”のニコラ・バルダンとジョイントしてバルダン・グループ・バイ・コムトゥユーとして参戦し、北欧発のMA:GPは、引き続きヴィクトル・アンダーソン(リンク&コー03 TCR)を擁して2年目の欧州最高峰シリーズへの挑戦を発表している。

 これで昨季王者トム・コロネルの離脱が確定した寂しいグリッドとはなったものの、実力者たちの勝負はセパレートで併催されるFIA TCRワールドツアーに劣らないハイレベルなものに。

 トラックリミット違反の影響を大きく受けた予選セッションでは、ダビドフスキー、ボルコヴィッチ、ボルトらを含む数名のドライバーがベスト抹消の憂き目に遭うも、ジロラミがティーンエイジャーのモンテネグロを0.189秒差でリードし、南米出身ドライバーが並ぶフロントロウを完成させた。

■レース2ではポールのシビックが失速。クプラ艦隊の牙城は崩れず
「2月に行った最初のテストのときから、このクルマが気に入っていた」と明かしたジロラミ。「新しいクプラは正しい方法で生まれた。もちろん開発は現在も続けているが、クルマはすでに非常に優れているよ」

 迎えた土曜18時過ぎのレース1は、ジロラミがポールポジションからホールショットを奪うと、その背後ではモンテネグロがコンテとバルダンに飲み込まれる展開に。これでクプラのトップドライバー2名がレースを支配し、最後はペナルティ裁定を受けたバルダンが4位に降格するかたちで欧州デビューのTCRサウスアメリカ王者が3位表彰台を獲得。2024年のTCRヨーロッパ最初のレースで、新型クプラ・レオンVZ TCRがワン・ツーフィニッシュの華々しいデビューを飾った。

「僕らは素晴らしいラップをした。モンラウとクプラには感謝しなければならない。なぜなら僕はそれを運転しただけだからね。それほど、クルマは本当に素晴らしかった」と勝者ジロラミ。

「今日は難しいレースになると思っていたから、良いスタートを切ることが非常に重要だったし、それを実行した。全開で行ってギャップを築き、後半はタイヤマネジメントに集中した。そこが大きなポイントだったからね」

 明けた日曜のレース2は、リバースポール発進の好機だったボルコヴィッチのFL5型ホンダ・シビック・タイプR TCRがスタートで失速。代わってフェリペ・フェルナンデス(ゴート・レーシング/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)がリードを奪い、その背後には早くもコンテのクプラが浮上してくる。

 そのコンテは3周目で首位浮上に成功すると、レベンテ・ロソンツィ(ALMモータースポーツ/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)やボルコヴィッチらと3番手争いを展開していたジロラミも、ライバルのバトルによる接触でドアが開き、労せずして2番手のポジションを手にいれる。

 その後、アクシデントによる車両改修でセーフティカーが導入されたものの、ギャップがリセットされたリスタートでもクプラ艦隊の牙城は崩れず。コンテ、ジロラミのオーダーで週末完全制覇のワン・ツーをリピートした。

 この週末に先んじて世界デビューを飾っていたTCRサウスアメリカでの勝利により、TCR規定を統括するWSCグループの技術部門より最低重量1265kg、車高80mmのバランス・オブ・パフォーマンス(BoP/性能調整)適用を受けていた新型クプラ・レオンVZ TCRだが、先代モデル比で重量10kgと車高10mmの増加(エンジン出力は100%を維持)となっていた数値が、このTCRヨーロッパ開幕戦を直前にして「車高10mmダウンを許可」と基準値に戻されていたことも、この結果を後押しするかたちとなった。

 続くTCRヨーロッパの第2戦は、5月17~19日にベルギーのゾルダーで開催され、以降の5戦はすべてスタンドアローンの勝負が予定されている。

文:AUTOSPORT web
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