ライフスタイルを表現する小さなSUV
2022年グッドウッド・フェスティバルのヒルクライム・ステージで、まったく新しいバッテリーEV(BEV)のマクマートリー・スピアリングが、コースレコードを塗り替えた。多くの強敵を超える速さを見せつけた。
【画像】ライフスタイル・クロスオーバー トヨタ・アイゴX 欧州で競合するモデルと比較 全106枚
シリアスにスピードを追い求めてデザインされ、スピアリングには一切の無駄がない。全長は3.2mで、全幅は1.5m。軽自動車とサイズは殆ど変わらない。オリジナルのミニより、僅かに大きいくらい。
ボディに2基のファンを搭載し、路面の砂を後方へ撒き散らしながら、ダウンフォースを効かせて走る。リアルなバットマン・カーといえるようなマシンだ。
それでは、新しいアイゴXはどうだろう。Aセグメントという小さなハッチバック市場でも、トヨタは成功を残せるだろうか。先代までは、シトロエンとプジョーとの共同開発モデルだったが、今回は単独で仕上げられている。
近年は、コンパクトカーから利益を生み出すことが難しい。CO2の排出規制や、NCAPによる安全規制の強化に伴い、求められる水準は高くなっている。無駄は削る必要がる。
初代アイゴから数えて3世代目になるアイゴXだが、先代から価格は上昇した。英国では、一番ベーシックなグレードで1万4805ポンド(約247万円)から。試乗したリミテッド・エディションは、1万9650ポンド(約328万円)に達してしまう。
もはや、お手軽なシティカーとは呼びにくい。そのかわり、スタイリングはSUV風に仕立てられている。トヨタは、市街地で最もホットなクロスオーバーだと表現する。筆者の印象をまとめるなら、ライフスタイルを表現する小さなSUV、といったところ。
バランスが良い好印象なスタイリング
アイゴXの全長は3700mm、全幅は1740mmと小さいためか、アウトドア・ライフを広げるようなイメージをトヨタはWEBサイトで使用していない。ソファーの広告で、身長の高いモデルを登用しないのと同じこと。余裕を感じてもらえなくなる。
先代から245mm長くなったアイゴXだが、まだ充分にコンパクト。だからこそ、AUTOCARではアウトドアに挑んでみることにした。小さなスピアリングのように、想像以上の実力を見せてくれることを期待して。
ランドローバー・ディフェンダー 130の半部程度しかないサイズのクルマで、どれだけアクティブに楽しめるだろうか。車重は、ガソリンを満タンにしても940kg。ディフェンダー 130は、約2.5tもある。
プラスティック製のフェンダーアーチやアンダーガードを追加して、車高を持ち上げて、一般的なシティカーを無骨な雰囲気に仕立てる手法は筆者の好みではない。しかし、アイゴXの場合は最初から意図されている。
ボディの四隅に大きなタイヤが配置された、彫刻的なスタイリングが好印象。フロント下がりのスタンスは、バランスが良い。
サイズが小さいから、175/60サイズの18インチ・タイヤが大きく見える。大きなSUVが履く、22インチより迫力がある。フェンダーアーチの埋まり具合も良い感じだ。
ただし、アイゴXのスペック表にはオフロードの走破性に関する記述はない。フロントのアプローチアングルも、リアのデパーチャーアングルもわからない。水の中を進める、渡河水深の数字も。
余裕のある走破性に充分な車内空間
クロスオーバーで、オフロードを実際に走ろうと思うユーザーが少ないことは事実。さらにアイゴXは四輪駆動ではないし、タイヤはころがり抵抗を意識したパターンのものを履いている。晴れた乾燥した日でも、オフロードをこなせるだろうか。
今回はローマ時代に作られた、グレートブリテン島の中央を貫くフォッシーの道を進むことにした。狭い林道のような旧街道だ。これまで2000年ほど、先人が歩き、走ってきた。過去にもスタックした人はいるだろう。
途中、吸気口がどこにあるのか気になった。ボンネットを開くと高い位置にあり、多少のことで水を吸い込むことはなさそうだ。ドアの下から、水が車内に流れ込んでくる可能性はある。前輪駆動だからトラクションも心配ではある。
とはいえ、それは杞憂だった。途中に流れていた小川は浅く、アイゴXは余裕で走破した。
大きなブロックパターンのタイヤを履けば、グラベルでのグリップ低下は防げる。スタッドレスタイヤを履けば、不足ないスノーリゾート・モビリティになりそうだ。夏が来たら、キャンバストップを思い切り開くこともできる。
車内空間は限定だが、ヒーター内臓のフロントシート側には余裕がある。インフォテインメント・システムも装備されていて、運転中に何か情報不足を感じることはない。
リアシートは確かに狭いが、筆者が快適に感じる運転席のポジションのまま、リアシートにも座ることができた。長距離旅行で、率先して陣取ろうとは思わないけれど。
感触の良いMTを活かした運転を楽しめる
荷室は狭いが、リアシートを折りたためば拡大できる。そうすれば、フロントタイヤを外したマウンテンバイクを簡単に積める。前後のタイヤを外せば、2台も問題ないだろう。
オンロードでの走りも悪くない。乗り心地は硬めだが、落ち着きがあり車内は静か。ボディロールも抑えられており、機敏に身をこなす。運動神経は悪くない。殆どのユーザーが納得できるほど、多くのライフスタイルに対応できるといっていい。
3気筒の1.0Lエンジンは72psを発揮。ルーフにサーフボードを積んで、空気を切り裂いて進むには頼りないことは確か。0-100km/h加速は15.6秒と、はっきりいって遅い。
そのかわり、高速道路の合流では4速で目一杯加速させることができる。感触の良い5速MTを、フルに活かした運転を楽しめる。
燃費は、気にせず運転しても21km/Lを軽く超えた。ガソリンタンクは35L。燃料代が少なく済むほど、別の楽しみにお小遣いを回せるというもの。暮らしを豊かにできる。
大きなSUVは、ライフスタイルを広げてくれるイメージがある。だが、ランニングコストは安くない。トヨタはアイゴXでそれを主張していないが、実際に運転してみると、その巧妙なバランスの良さに心が動かされる。
2万ポンド(約334万円)近く支払えば、ひと回り大きなモデルを英国でも買える。より実用的なモデルも選べる。反面、トヨタ・アイゴXほど楽しいとは限らない。男のための小さなクルマとしてもグッド・チョイスな、ニューモデルが登場したようだ。
トヨタ・アイゴX 1.0VVTi リミテッド・エディション(英国仕様)のスペック
英国価格:1万9650ポンド(約328万円)
全長:3700mm
全幅:1740mm
全高:1510mm
最高速度:157km/h
0-100km/h加速:15.6秒
燃費:20.4km/L
CO2排出量:110g/km
車両重量:940kg
パワートレイン:直列3気筒998cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:72ps/6000rpm
最大トルク:8.8kg-m/4400rpm
ギアボックス:5速マニュアル
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