4月20日、イタリアのイモラ・サーキットでWEC世界耐久選手権第2戦『イモラ6時間』レースの公式予選が行われ、フェラーリAFコルセの50号車フェラーリ499P(アントニオ・フォコ/ミゲル・モリーナ/ニクラス・ニールセン)がポールポジションを獲得。さらに2、3番手にもフェラーリ勢が続き、地元・イタリアでフェラーリ499Pの3台が予選上位を独占した。
LMGT3クラスでは、マンタイ・ピュアレクシングの92号車ポルシェ911 GT3 R(アレクサンダー・マリキン/ジョエル・シュトーム/クラウス・バハラー)が最速タイムをマークしている。
3月の開幕戦カタール1812kmから7週間。WECはヨーロッパラウンドの開幕を迎えた。今季8戦へとイベント数が増えたWECは、ここからベルギーのスパ・フランコルシャン、フランスのル・マンと、欧州3連戦を迎えている。
このラウンドではハイパーカークラスに出場するプジョー・トタルエナジーズが、リヤウイングを採用した改良型の9X8を投入。また、開幕戦カタールとは性格の異なるコースレイアウト、さらにはBoP(性能調整)も大きく変更されたとあって、注目ポイントの多いイベントとなった。
19日金曜から始まった3回のフリープラクティスでは、いずれもフェラーリ499P勢がセッショントップタイムを奪うなか、土曜午後に予選を迎えた。
各クラス『予選』でのトップ10車両が『ハイパーポール』と呼ばれる最終予選に進出して上位グリッドを争うという、2段階式の予選フォーマットが新たに採用された2024年。第1戦カタールでは、LMGT3予選、ハイパーカー予選、LMGT3ハイパーポール、ハイパーカー・ハイパーポールという順でセッションが行われたが、この第2戦ではLMGT3の2セッションを先に行い、その後にハイパーカーの2セッションを続けて行うスケジュールへと改められた。
■LMGT3の日本勢は厳しい予選に
晴れ、気温17/23度というコンディションのもと、14時45分に12分間のLMGT3予選が始まる。9車種/18台が争うこのクラスでは、ブロンズドライバーがアタックを担当しなければならない。したがって、TFスポーツの82号車シボレー・コルベットZ06 GT3.Rで小泉洋史、アコーディスASPチームの87号車レクサスRC F GT3で木村武史というふたりの日本人ドライバーも出走している。
序盤の一連のアタックで46号車BMW M4 GT3のアハマド・アル・ハーティがトップに立ち、27号車アストンマーティン・バンテージGT3のイアン・ジェームスが続く。さらに85号車ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evoのサラ・ボビーが好タイムをマークするが、このタイムはトラックリミット違反があり、のちに削除に。さらに46号車の暫定トップタイムも削除となる。
残り4分を切り、92号車ポルシェのマリキン、91号車のヤセル・シャヒンというマンタイのポルシェ911 GT3 R勢が上位に浮上。さらにトーマス・フローの54号車フェラーリ296 GT3や85号車ボビーもタイムを縮めた。
Dステーション・レーシングの777号車アストンマーティンはラストアタックでトップ10入りがかかる状況となったが届かず、ハイパーポール進出はならず。日本勢では82号車小泉が13番手、87号車木村が17番手と、いずれも予選第1ステージで敗退を喫することとなった。佐藤万璃音が加わる95号車マクラーレンはジョシュ・ケイギルがアタックし、15番手とこちらもハイパーポールへ駒を進めることはできなかった。
予選セッション首位は92号車ポルシェに。以下、85号車ランボルギーニ、91号車ポルシェ、55号車フェラーリ、54号車フェラーリ、46号車BMW、31号車BMW、88号車フォード、27号車アストンマーティン、59号車マクラーレンという10台がハイパーポール進出を決めた。
15時05分から10分間で行われたLMGT3のハイパーポールでは、27号車アストンマーティンのジェームスがまずは首位に立つが、予選で最速だった92号車マリキンが1分42秒365と0.6秒ほどのギャップをつけ全体ベストを塗り替える。チームWRTの2台のBMWが3~4番手へと浮上し、これに85号車のボビーが続く形に。
多くの車両はチェッカー前にピットへと戻り、終盤には目立ったタイム更新はなかった。これで92号車ポルシェ、マリキンのポールポジションが決定。2番手に27号車アストンマーティン、以下46号車BMW、31号車BMW、85号車ランボルギーニ、88号車フォードと続くトップ6の顔ぶれとなった。
■1分57秒を残して赤旗提示
15時25分、サーキット上空に黒い雲が近づきつつあるなか、12分間のハイパーカー予選がスタートすると、ピットレーン出口に並んだ19台の車両がコースへとなだれ込んでいく。トヨタGAZOO Racingは7号車GR010ハイブリッドが小林可夢偉、8号車はブレンドン・ハートレーがステアリングを握っている。
5周目のアタックではトヨタのハートレーが首位に躍り出るが、これを50号車フェラーリのフォコ、83号車フェラーリのロバート・シュワルツマン、51号車フェラーリのアレッサンドロ・ピエール・グイディが上回り、残り3分という時点でフェラーリ499Pの3台がトップ3を形成した。
7号車トヨタの可夢偉は13番手とハイパーポール進出圏外という状況でセッションは終盤へ入るが、ここでハートレー、可夢偉ともにタイムアップを果たし、トヨタ2台は3・4番手につける。5号車ポルシェのマット・キャンベルもタイムを更新し、首位フォコに肉薄する2番手へ。
するとここで15号車BMW Mハイブリッド V8のドリス・ファントールがダートに右サイドを落としてスピンを喫し、1分57秒を残して赤旗が提示される。
数分の中断ののち、セッションが再開されると、赤旗原因となった15号車BMW、そして暫定2番手の5号車ポルシェを除く17台は再びコースへ。先頭の2号車キャデラックは暫定12番手とハイパーポール進出圏外だが、無事にチェッカー提示前にアウトラップを完了させることに成功し、最終アタックへ入る。その背後では多くの車両が、アウトラップ終わりでチェッカーを受ける形となった。
2号車のリンは気迫のアタックで自己ベストを更新するも、トップ10には届かず、予選で敗退となった。
これにより、このセッション最速は50号車フェラーリのフォコ。以下、5号車ポルシェ、8号車トヨタ、7号車トヨタ、83号車フェラーリ、51号車フェラーリ、99号車ポルシェ、20号車BMW、12号車ポルシェ、6号車ポルシェという10台が、ハイパーポールへの進出を決めた。
■ポルシェが善戦するも、フェラーリが再逆転でトップ3独占
太陽がほとんど雲で隠れるなか、当初予定より4分おくれとなる15時49分に10分間のハイパーカー・ハイパーポールがスタート。トヨタの2台が先頭でウォームアップを重ねていく。
序盤、5号車ポルシェはタンブレロへの進入で大きなスモークをあげる。4周目、7号車トヨタの可夢偉が暫定首位に立つが、これを後続の各車が次々と上回り、50号車フェラーリのフォコは1分29秒台に入れて全体最速タイムを奪う。さらに51号車フェラーリのピエール・グイディ、83号車フェラーリのシュワルツマンが続き、またしてもフェラーリがトップ3を形成する。
ここで8号車トヨタのハートレーがターン7へのブレーキングでスピンし、区間イエローが提示される。ときを同じくして7号車トヨタの可夢偉も、ターン14へのブレーキングからコースオフする場面が中継映像には映し出された。なお、2台ともすぐに走行を再開している。
アタックが続くなか、12号車ポルシェのカラム・アイロットが4番手へと浮上し、セッションは最終盤へ。可夢偉は自己ベストを縮め、5番手へと浮上する。
チェッカー目前、2台のポルシェ・ペンスキー勢が一気にタイムを縮め、6号車のケビン・エストーレが2番手、5号車キャンベルが3番手と、フェラーリ勢に割って入るが、後続の83号車フェラーリ、51号車フェラーリも最終アタックでともに1分29秒台に入れ、トップ3ポジションを奪い返した。
さらに暫定トップの50号車フォコが全体ベストを1分29秒466にまで縮めたところで、セッションは終了。50号車、83号車、51号車という順で、フェラーリ499P勢が地元イタリアで予選トップ3を独占することとなった。2台のワークスポルシェ、7号車トヨタが続くというトップ6。スピンもあったハートレーのトヨタ8号車は、8番手でハイパーポールを終えている。
WEC第2戦決勝は4月21日(日)現地時間13時(日本時間20時)に6時間レースのスタートが切られる予定だ。
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