昨今のハイブランドのSUVブームが止まらない。端を発したのはポルシェカイエンかと思うが、現在ではジャガー、マセラッティ、ベントレーなどあらゆるハイブランドからSUVがデビューしている。そんななか、ついにというべきかランボルギーニにもSUVが登場した。その名も「URUS(ウルス)」。実はランボルギーニのオフロードビークルは過去にも存在していたのだが、今回のウルスの性能にはとてもじゃないが適わない。なんせ0-100km/h加速は3.6秒、最高速度は300km/hオーバー。「この世にウルスより速いSUVは存在しない」とまでランボルギーニがいうスーパーSUVが、ついにこの2月に日本へ上陸した。お値段2574万円(税別)の価値はあるのか!?
文;大音安弘/写真:塩川雅人、ランボルギーニ、アウディ
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■650psの加速はまさにランボルギーニの"それ"だろう
2017年12月、イタリア・ランボルギーニ本社で世界初披露されたランボルギーニのSUV、「ウルス」が、早くも日本上陸を果たした。スーパーカーブランドとしてランボルギーニが他社に先駆けて開発した、全く新しいカテゴリーのSUVについて解説したい。
ウルスはランボルギーニの新たな一面を魅せてくれそうだ
受け取り方は様々だが、事実上、これが初SUVといえる。ランボルギーニは、過去に一度LM002というオフローダーを投入している。ただこちらは、軍用車向けに開発が進んでいたLM001チーターという試作車をベースに様々な変更を行い市販化したもので、立ち位置としては、ハマーH1やトヨタ・メガクルーザーに近い。現代のSUVとは少々キャラクターが異なるのだ。
LM002の出自は軍用車になる。ちなみにエンジンはカウンタックの5.2LのV12がベース。ウルスより普通ではないのもたしか
さて、ウルスについて見ていこう。全長5112mm×全幅2016mm×全高1580mm~2480mmとボディサイズはかなり大きいが、SUVらしい重厚感よりもスポーティさが際立つ、かなりアグレッシブなスタイルだ。一目でランボと感じさせる秘密は、ランボルギーニの共通のデザイン比率であるボディを3分の2、ウィンドウ3分の1とし、さらに六角形をモチーフとしたディテールやY字形を取り入れたライトユニットなどランボ独自のアイコンを取り入れることにある。このため、SUVながら見事にランボルギーニが成立しているのだ。
ウルスのデザインは現代のランボルギーニの「カクカク」っとした意匠をしっかり引き継いでいる
パワートレインは、4.0LV8ツインターボに8速ATを搭載。これがランボ初のターボエンジンとなる。ターボの採用理由は、幅広い領域でのフラットトルクを得たかったからという。最高出力650ps/6800rpm、最大トルク850Nm/2250-4500rpmを発揮。その実力は、スーパーSUVと名乗るだけあって、加速性能は0-100km/hが3.6秒で、0-200km/hは12.8秒を記録。
SUVとしては最速となる305km/hの最高速度を誇る。そのパワーを受け止める足元には、市販車最大サイズとなるカーボンセラミックブレーキシステムと専用開発のピレリタイヤが奢られる。タイヤについては、スポーツ、オフロード、さらにスタッドレスまで全6種類があり、ウルスの多用途性を支える。
■メカニズムはアヴェンタドールなどの技術も満載
メカニズムのハイライトは、やはり様々な機構を備える足回りとAWDシステムだろう。AWDシステムは、前後の駆動配分を40:60が基本とするが、可変トルク配分式で、路面状況に合わせて前後の比率を高める。さらに後輪に、アクティブ・トルク・ベクタリングを備えることで、常に最適なトランクションを実現させた。さらに電気機械式アクティブロールアクティブ・ロール・スタビライゼーション・システムをランボとして初搭載することで、安定した姿勢制御を可能とした。
モードセレクトも豊富だ。この内装類も男の子の「秘密基地感」が満載で興奮する
さらに4WSシステム「リヤホイールステアリング」を搭載。これはアヴェンタドールSに搭載される機構で、ウルスの3003mmというロングホイールベースを後輪制御により疑似的に最大600mmのホイールベースの延長と短縮ができるのがポイント。これらの機構は、オンオフを選ばず、さらにスポーツ走行まで実現させる、スーパーSUVの武器となっている。
インテリアは、他モデルより広々しているものの、スポーツシートの着座位置を低めとし、最新ランボ同様のインターフェイスを与えることで、ランボの世界観を表現している。もちろん、実用性はかなり高く、最新のインフォテイメントシステム、ADAS、広大なラゲッジスペースを備え、この点は他の高級SUVにも劣らぬ内容となっている。
■ウルスにアウディ傘下車種との大きな差はあるのか!?
気になるのは、ウルスの独自性だろう。サイズや装備、メカニズムは、アウディグループ内のハイエンドSUV、ベントレー・ベンテイガを連想させる。この点について、来日したランボルギーニ開発部門のトップであるマウリツィオ・レッジャーニ氏に問うと、「エンジンは、エンジンサウンドなど独自性の強いもの。それだけにブロックから手を入れている」とし、ほぼオリジナルであることを強調。
またプラットフォームについても、基本とするものがあることは認めながら、かなり独自の設計を行っているとした。つまり、走りに関する部分は、ほぼオリジナルに近いものに仕上げているということだ。実際、ベンテイガともホイールベースさえ異なる。
ベントレーベンテイガはアウディQ7との共通性もあるモデル。VWやアウディとの関係は傘下のランボルギーニにも少なからず影響する
気になるウルスのユーザー層だが、その雰囲気などから、やはりドバイなどの厳しい環境ながら豊かな国を連想するが、ランボルギーニは、徹底した市場調査の元に開発した自信があり、日本を含めどの市場でも受け入れられるだろうとした。
想像するに実際のオーナー像は、世界共通で、既にアヴェンタドールやウラカン、カウンタックなど、他のランボルギーニを所有し、その脇にウルスを並べたいと考える人物だろう。税抜き価格は、2574万円と超高価だが、既に爆発的な人気となっており、今からのオーダーでは、手元にやってくるのは2年後。ただ日本でも春から納車が開始される予定なので、運が良ければ、近いうちにその雄姿を街角で拝めるかもしれない。
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