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序盤のワン・ツーから“急降下”のP.MU/CERUMO・INGING「3位で残念と思えるのは、逆に言えば良い状況」/第4戦決勝

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序盤のワン・ツーから“急降下”のP.MU/CERUMO・INGING「3位で残念と思えるのは、逆に言えば良い状況」/第4戦決勝

 2023年全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦オートポリスの予選では、トップ3に2台が入る快進撃をみせたP.MU/CERUMO・INGING。5月21日の決勝スタートでは坪井翔がホールショットを奪い、阪口晴南も好ダッシュをみせて2番手につけ、予選の勢いそのままにトップ2を独占することに。

 ここ数年は苦戦気味だったチームが、復活のワン・ツー・フィニッシュを飾るのかと、一瞬期待も膨らんだが、最終的に彼らにとっては悔しい1戦となってしまった。当事者のコメントとともに、その“敗因”を探る。

2戦連続の接触リタイアに呆然。大湯都史樹が“あのタイミングでいきたかった”背景/第4戦オートポリス

■大湯に対し「あまり抵抗する気はなかった」阪口

「(スタートで2番手に出られたのは)大きかったです。あわや坪井選手まで抜けそうな感じでしたが、もちろんお互い尊重し合って、無理をしませんでした。1周目が終わった時は、チームとしては完璧な体制でワンツーを築くことができました」

 そう語るのは3番手スタートだった阪口。序盤はトップの坪井の背後にピッタリとつけていたが、5周を過ぎたあたりから、その差が開き始め、リアム・ローソン(TEAM MUGEN)に追われる展開となった。

「最初のペースは良かったですけど、6~7周目からグリップダウンを感じました。みんなも感じていたと思いますけど、その中でも大きかったような印象で、前には離されるし、後ろには迫られるというような展開だったの、そこはあまり良くなかったのかなと思います」

 この展開に対して、先に動いたのはローソン。13周目にピットインしアンダーカットを狙うと、その翌周に阪口も合わせてピットに入るが、逆転を許してしまった。その後はペースに苦しみ、展開的にも後手を踏んでいく流れとなった。

「ローソン選手に先行されたのは良くなかったですし、そもそもペースがなかったのが一番大きな問題でした。やっぱりペースがないと戦略の自由度もないので、願わくばワン・ツーで引っ張っていきたかったですけど……」

 苦しいながらもポジション維持に努めた阪口だが、29周目のジェットコースターストレート終わりで、後方から追い抜こうとしてきた大湯都史樹(TGM Grand Prix)と接触。その衝撃で、阪口の左リヤのホイールが割れ、緊急ピットイン。新しいタイヤに交換したが、今度は別の問題が発生したようで、35周目にピットに戻ってリタイアとなった。

 大湯との接触について「ディフェンスせずに、ストレートで(抜きに)来るんだったら、来てくれても全然良いというくらい、ペースの差を感じていました」と阪口。

「大湯選手のペースが明らかに良いのはわかっていて、どちらかというと僕は(その後ろにいた)牧野選手が相手だと思っていたので、あまり抵抗をする気はなかったです。(接触時については)僕の視点からは、コーナーが来る前に切り込んでしまったように見えました」と状況を語った。

「外から見れば、ギリギリだったように見えるかもしれませんけど、自分はワンライン(1台分)残していたつもりだし、あの数メートル後に右に切り込むタイミングだったので、コンマ何秒か大湯選手が切り込むタイミングが速かったのだと思います」

 久しぶりの上位スタートから残念な結果になってしまった阪口だが、“決勝ペースが課題”と改めて強調する。

「(僕たちが)速くなると、速いみんなと競ることになるので。今までは予選があまり速くなかったので、そこからちょっと追い上げるという展開が多かったんですけど、今は逆に予選がすごく速くなった分、決勝では防戦になってしまっています。ただ、速い人と競ったり、いろいろなことが見られたことで、次のステップにつながると思うので、予選(のスピード)が解決できたことが大きいし、これが必ず決勝に活きると思います。また頑張ります」

■「SCがなければ、抜けていたかも」と坪井

 一方、序盤からペース良く周回していた坪井も、アンダーカットで逆転を狙ってきたローソンの先行を許すことになった。それでも25周目にタイヤ交換し、フレッシュタイヤを手に入れて以降はファステストラップも記録し、ローソンに接近。0.3秒後方まで迫り、オーバーテイクシステムを使えば逆転できそうな範囲に来たところで、セーフティカー(SC)が出てしまった。

 仮にSCが導入されずにレースが続いていたら……。そんな仮説を立てて聞いてみると「多分、抜けたかなという感じはありました」と坪井は即答した。

「向こうもだいぶタイヤがタレていて、トラクションがかかっていなかったので、多分抜けたのかなと思います。(ローソンを)抜ければ、莉朋はアウトラップで(ポジションが)下がるので、チャンスがあるなと思っていました。なので……本当に、あのタイミングでSCが入ったのは、残念です」

 レース後は終始悔しい表情をみせていた坪井。阪口同様、「レースペースが足りなかったですね」と、決勝でトップ争いを勝ち抜く上で、自分たちの課題を冷静に分析している様子だった。

■課題のレースペースは「本当に少しのこと」と立川監督

 レース後、立川祐路監督はピットの裏で、一段と悔しそうな表情をみせていた。

「スタートから序盤は、非常に良い展開だったんですけど、その後はロングランのペース、タイヤがキツくなってきた時のペースが、もうひとつ足りなかったのかなという感じでした。それが結果に影響してしまったのかなと思います。その辺はライバル勢の方が、今日は上でしたね」

「(もしSCが出ていなければ)どうなっていたか分からないですけど、リスタートしても、ローソンが早めにタイヤを換えているわりには、ペースがあまり落ちなかったので……速かったですね」

 ただ、昨年までの状況を考えると、チームの状況が好転しているのは確か。立川監督も「スタートのポジションを考えると、残念な結果なんです。でも、3位で残念と思える今のチームは、逆に言えば良い状況だと思います」と、前向きに捉えていた。

「(現状の課題は)やはりレースペースですね。ロングランをもう少し……本当に少しのことなんですけどね。それが響くので、そこを改善しつつ、次に行きたいです。坪井に関しては開幕戦こそ接触されてリタイアでしたけど、その後は表彰台圏内のレースが続いているので、必ずチャンスはあると思っています。次はリベンジですね」

 前日の予選後から一転して、どんよりとした雰囲気となってしまったP.MU/CERUMO・INGINGだが、坪井は首位から11ポイント差のランキング3番手につけるなど、今後もトップ争いの一角として定着していく可能性は充分にありそうだ。

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