スーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankook第5戦『SUZUKA S耐』は9月19日、三重県の鈴鹿サーキットで5時間の決勝レースが行われ、暑さのなか各所で接触が発生。ST-Xクラスは予選3番手からスタートした星野敏/藤井誠暢/近藤翼組D'station Vantage GT3が優勝を飾った。ST-Zクラスでも星野辰也/織戸学/篠原拓郎/浜健二組D'station Vantage GT4が優勝を飾り、D'station Racingがダブルウインを飾った。この結果ST-XクラスはD'station Vantage GT3がチャンピオンを決め、ST-TCRクラス、ST-1、ST-2、ST-3の各クラスで2021年のチャンピオンが決まっている。
台風一過の爽やかな青空が広がり、気温29度ほどと晩夏の暑さのなか迎えたスーパー耐久第5戦の決勝。11時30分にスタートした5時間の決勝レースは、フルコースイエローやセーフティカーが一度も出ない展開ながら、各クラスで波乱が起きるレースとなった。
予選は台風一過の晴天に。スーパー耐久第5戦鈴鹿はFloral UEMATSU FG 720S GT3がポール獲得
■ST-X
5台の争いとなったST-Xは、ポルシェセンター岡崎 911GT3R以外の車両でプロドライバーがスタートを担当。スタート直後からD'station Vantage GT3の藤井誠暢がアグレッシブな走りで一気にトップに浮上し、小高一斗のLEXUS RCF GT3が続くも、小高はジャンプスタートでペナルティが課されてしまう。一方ポールポジションスタートのFloral UEMATSU FG 720S GT3は少しずつ順位を落とし、DAISHIN GT3 GT-Rの青木孝行がD'station Vantage GT3に続いていった。
D'station Vantage GT3の藤井は大きくリードを広げ近藤翼に交代、さらにDAISHIN GT3 GT-Rは青木から藤波清斗に交代し僅差の争いを展開していったが、近藤はST-5クラスのヒロマツデミオマツダ2と接触したことでドライブスルーペナルティを課され、DAISHIN GT3 GT-Rがトップに浮上した。
しかしDAISHIN GT3 GT-Rは、レースが3時間を過ぎたあたりでST-3クラスのHELM MOTORSPORTS RC350と接触。右リヤの足回りにダメージを負ってしまった。これでふたたびトップに立ったのは、近藤から星野敏に交代したD'station Vantage GT3。Floral UEMATSU FG 720S GT3はピット作業違反のドライブスルーペナルティもあり順位を落とし、ポルシェセンター岡崎 911GT3Rが2番手へ浮上した。
D'station Vantage GT3は星野からふたたび近藤に交代したが、すぐ背後にポルシェセンター岡崎 911GT3Rの上村優太が迫る展開となる。ポルシェカレラカップでも競り合うふたりの攻防だったが、D'station Vantage GT3の近藤が、最後にスプラッシュを行った上村を振り切り今季2勝目を飾った。2位はポルシェセンター岡崎 911GT3R、3位争いはFloral UEMATSU FG 720S GT3の川端伸太朗とLEXUS RCF GT3の小高の息詰まる争いとなったが、小高が残り8分で川端をパス。LEXUS RCF GT3が3位となった。
この結果、最終戦岡山を待たずして星野敏/藤井誠暢/近藤翼組D'station Vantage GT3が2021年のチャンピオンを決めた。星野、近藤にとっては嬉しい初タイトルだ。
■ST-Z/ST-TCR/ST-Q
今季、最も僅差の争いとなっているST-Zは、序盤から白熱した展開となった。クラスポールポジションのFABULOUS GRMI GRSupraGT4は佐藤公哉がスタートを担当したが、大きく上がった路面温度のなかタイヤの内圧に苦しむ。これをかわしトップに立ったD'station Vantage GT4の織戸学がリードを築き、FABULOUS GRMI GRSupraGT4の佐藤とアスラーダ Ver.Supraの松本武士のバトルが続いていった。
一方、多くのチームが4スティント作戦を採るなか、5スティント作戦を採り元嶋佑弥と高木真一が繋ぎ順位を上げてきたのは、クラス8番手スタートのTKRI 松永建設 AMG GT4。さらに中盤は織戸から星野辰也、篠原拓朗と繋いだD'station Vantage GT4、ピットイン時に時間を要するものの速さで追い上げるFABULOUS GRMI GRSupraGT4、そしてジワジワとポジションを上げてきたランキング首位のENDLESS AMG GT4、そしてTKRI 松永建設 AMG GT4による上位争いとなった。
混沌としていたST-Zの上位争いだが、各陣営が最後のストップを終えると篠原からふたたび織戸へ繋いだD'station Vantage GT4がリード。そのままチェッカーまで首位を守り、第4戦オートポリスに次ぐ連勝。ST-Xとともにダブルウインを飾った。
2位はスピードで順位を戻したFABULOUS GRMI GRSupraGT4。3位はENDLESS AMG GT4という結果に。TKRI 松永建設 AMG GT4は4位でチェッカー。5位はSS/YZ Studie BMWという結果となった。
ST-TCRは、Racer Honda カーズ桶川 CIVICが激しい同車バトルを制し優勝。おとぎの国 CIVIC TCRが2位という結果に。おとぎの国 CIVIC TCRの芳賀邦行/蘇武喜和/霜野誠友/和田慎吾はこれで2021年のチャンピオンを決めた。
ST-QクラスのROOKIE Racingの2台は、前戦オートポリスに比べ波乱が多い展開となった。ORC ROOKIE Racing GR SUPRAは豊田大輔がスタートを担い、序盤デグナーでコースアウトするシーンも。その後山下健太に交代したが、SS/YZ Studie BMWと接触し、日立Astemoシケインでストップ。軽度な接触だったものの左フロントの足回りを痛め、長い修復を強いられたが、修復後チェッカーまで走りきった。
水素エンジン搭載のORC ROOKIE Corolla H2 conceptは、序盤からST-4車両を追う走りをみせながら佐々木雅弘、モリゾウと交代。着実に走りを続けていたが、終盤佐々木の走行中に電気系のアラートがつき、すぐに修復。それでもしっかりとチェッカーを受け、2分28秒646というベストタイムをマークし、最後はモリゾウがチェッカーを受けた。
■ST-1/2/3/4/5
ST-1クラスは、シンティアム アップル KTMが序盤から大きなリードを築いていたものの、中盤高橋一穂のドライブ中、燃料残量が残っていたものの、ポンプが燃料を吸わないトラブルが起きスローダウンを喫してしまう。これでCSダイワN通商アキランドポルシェがトップに浮上するが、その後は燃料を十分残し走りきる作戦に切り替えたシンティアム アップル KTMに吉本大樹が乗り込むと逆転。トップでチェッカーを受け、今季4勝目を飾るとともに、クラスチャンピオンを決めた。
ST-2は序盤、新菱オートの2台のランサーとDAMD MOTUL ED WRX STIというランサー対WRXの争いが展開されるが、DAMD MOTUL ED WRX STIに次ぐ2位に浮上してきたのは、ランキング首位浮上を狙うKTMS GR YARIS。平良響から翁長実希に交代し前を追ったが、スプーンで前走車の早いブレーキングに巻き込まれ接触。車両前部を壊してしまった。
そんななか、好ペースで走りきり優勝を飾ったのはDAMD MOTUL ED WRX STIで、今季初優勝。7号車新菱オート☆VARIS☆DXL☆EVO10が2位、6号車新菱オート☆NEOGLOBE☆DXL☆EVO10が3位でフィニッシュした。KTMS GR YARISが完走できなかったことから、富士で優勝し大量ポイントを獲得した7号車の藤井芳樹/成澤正人/安斎景介/今井慎吾組がチャンピオンを決めている。
ST-3は序盤からQUEEN EYES 34Z、エアバスター Winmax RC350 TWS、HELM MOTORSPORTS RC350の三つ巴の争いが続いたが、最後にトップに立っていたのはHELM MOTORSPORTS RC350。しかしチェッカー間際になって、エアバスター Winmax RC350 TWSの大島和也とQUEEN EYES 34Zの三宅淳詞が猛追。この2台がHELM MOTORSPORTS RC350に追いつき、残り5分で3台のテール・トゥ・ノーズの争いとなった。
チェッカー間際、このバトルを制して優勝を飾ったのは39号車エアバスター Winmax RC350 TWS。冨林/大島/石井宏尚組がチャンピオンを獲得した。
ST-4クラスは、GRGarage水戸インター GR86が逃げ切り。林テレンプ SHADERACING 86が2位となった。ST-5クラスはこちらも終盤接戦となったが、odula TONE MOTULロードスターが優勝。odula Star5 Roadsterが僅差の2位で、OVER DRIVEがワン・ツーを飾った。
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