ポルシェにとって2017年以来、6年ぶりとなったル・マン24時間レースへの挑戦は、最上位がレース後にペナルティを受けた5号車ポルシェ963の総合16位/ハイパーカークラス9位と、通算19回のル・マン優勝を誇る“耐久王”らしからぬ厳しい結果となってしまった。
ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツが走らせる5号車、6号車、75号車は、いずれも決勝レース序盤の段階ではリードラップを走行していたが、5号車と75号車が技術的な問題に直面。この内IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のクルーが乗り込んだ75号車は燃圧の問題により8時間目にリタイアとなった。
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一方の6号車はケビン・エストーレのドライブ中に発生したポルシェカーブでのアクシデントの後、フロアを交換するためにガレージに入れられた。その後再出走を果たしたものの、19時間目には高電圧の問題も発生した。こうしたなか、冷却水漏れの修理で30分ほどガレージに収まっていた5号車ポルシェがチーム最上位となる。
ところが、その5号車も5番手を走行していたタイミングでメカニカルトラブルに見舞われ、最後の1時間でガレージに戻ることを余儀なくされた。
その後は、どうにか修復作業を施しラストラップにはマシンをコースへと送り出すことができたものの、マシンは最大許容時間内に最終ラップを完了できず。その結果、レース後にスチュワードから4周の周回数減算を言い渡され、チェッカーを受けた総合9位から順位を下げ最終的に総合16位でのフィニッシュとなっている。
ポルシェLMDhファクトリーディレクターのウルス・クラトレは「ポルシェが963での最初のル・マンを通じて多くの教訓を学んだ」とSportscar365に語った。
「かなり早い段階でパンクなどのトラブルが発生し、その後は技術的な問題に直面した。以前にも経験したトラブルのほかに、新たに見つかった故障も発生していた」とクラトレは説明した。
「そしてトラブルは残り20~30分というところになっても止まず、5号車にハイブリッドの問題が発生した。つまり、レース中にファクトリーチームから参戦した3台のポルシェ963にあらゆる種類の問題が発生したのだ」
■ペースは「キャデラックよりも上か同等」と主張
しかしクラトレは、「3台のペースは心強いものであり、問題がなければキャデラック・レーシングのキャデラックVシリーズ.Rとの3位争いには勝機があったと信じている」と述べた。
「我々は間違いなくキャデラックにとって強力な競争相手であり、おそらくキャデラックよりも上か同等だっただろう」
「レース序盤にハイパーカーがパックになっているのを見るのは嬉しいことであったし、最後には他のマシンたちが戦っているのを見たが、彼らのラップタイムは我々とほとんど同等だった」
「我々のペースは良かった。それだけにトラブルが痛かった。本当に競争力があっただろうと予想していたのでね」
「我々はかなり早い段階でトップ争いからは脱落していため、フェラーリやトヨタと戦えたかどうかは決して分からない。だが今回は我々のレースではなかった、間違いなくそうではなかった。しかし、来年はもっと強くなって戻ってくる」
ポルシェ963が実戦デビューを飾った今年1月のIMSA開幕戦デイトナ24時間と比較して、ル・マンのレースがどうだったか尋ねると、クラトレは後者が結果的にさらに厳しいレースであったと認めた。
「基本的に私たちは今回のル・マン24時間であらゆることを学んだ。技術的なこと、操作的なこと、それらを我々はデイトナよりも多く学んだのだ。ル・マンではデイトナよりも単純に起きた問題の数が多かったのだから」
「そういった意味では、デイトナでのレースはル・マンよりも簡単だった。しかしル・マンには3台のマシンでエントリーし、すべてに問題が起きたため、チームに持ち帰って多くを学ぶ必要がある」
「IMSAのワトキンス・グレンで行われる次のレースまでには少し時間があるが、だからといってそこで言い訳はできない。私たちはそれを詳細に分析する必要があり、それを最大限(改善のため)に活用するつもりだ」
■「残念。もっと期待していた」とポルシェ・モータースポーツ代表
また、ポルシェ・モータースポーツの代表であるトーマス・ローデンバッハは、ドイツのメーカーにとって残念な結果だったと認めたが、我々はまた立ち直ると誓った。
「今年のル・マンは残念だった。私たちはもっとできると期待していたからだ」とローデンバッハは振り返る。
「このプロジェクトには膨大な量の作業が行われている。今回は満足のいく結果ではなかったが、ヴァイザッハ、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ、そしてチームパートナーなどすべての人々に感謝したいと思う」
「今回私たちは成功を収めることができなかったが、それにはさまざまは理由があるはずだ。私たちはこれらの問題をよく検討し、さらなる改善を行っていく。我々はすでに、将来に対して前向きな気持ちになっているよ」
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