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【カーシェアサービスに注力】スマートEQ フォーツーに試乗 純EVに一本化

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【カーシェアサービスに注力】スマートEQ フォーツーに試乗 純EVに一本化

EVのみとなった現代のスマート

text:Richard Lane(リチャード・レーン)

【画像】スマートEQとライバル小型EV 全94枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


スマート・フォーツーのボディデザインは相変わらずチャーミングながら、取り巻く市場は変化している。

ダイムラー社は、スマート・ブランドの半分を、中国のジーリー・ホールディング・グループへと売却した。ジーリーといえば、ボルボやロータスの親会社であり、窮地にあるアストン マーティンも傘下しようかという巨大企業。

スマートも次世代モデルは、2022年までに中国へ生産拠点を移す計画がある。Bセグメントのクロスオーバーが登場する可能性も聞こえてくる。

現行のスマートにも大きな変更がもたらされ、販売されるモデルは純EVのみとなった。だが、2019年に述べ11万8000台を販売していたスマートだが、ゼロ・エミッション版は1万8000台程度に留まっている。

大胆なモデルラインナップの変更ながら、正しく、唯一の方向でもあるのだろう。とにかく2022年までは、このスマートと呼ばれるクルマは存続する。今回のフォーツー・クーペのほか、カブリオとフォーフォーも、大きな手直しは加えられていないけれど。

昨年までの3気筒エンジンは消滅。LEDヘッドライトと大きなフロントグリルを獲得しているが、ボディデザインに大きな違いはない。すべてのスマートのドライブトレインは、81psを発生する活発な電気モーターと、容量17.6kWhのバッテリーで構成される。

内容は従来のEV版スマートと同じ。現行モデルに対しては、今後のアップデートも期待できなさそうだ。

今も個性的で興味が湧く存在

1994年にダイムラーに買収され、未来のパーソナル・トランスポートの実験場的な立ち位置だったスマート。今でも未来を見据えたブランドであることには変わりないが、デザインやメカニズムより、現在はデジタル技術の開発に注力している。

2020年版のスマートには、「レディ・トゥ」と呼ばれるアプリ・サービスを採用。スマートのオーナーが希望すれば、他者へスマートを利用することを許可し、乗ったぶんだけ課金できるシステムも内蔵される。

それ以外の大部分は従来どおりだが、均質化が進むような現代にあって、スマートはまだ個性的で興味が湧く存在ではある。フォーツーは発進時から好感触だ。

運転席に座ると、シートはエネルギー利用の少ない都市部向けに合わせた形状であることがわかる。かなり肉厚のAピラーが左右にせり立つが、着座位置は高めで前方視界はかなり広い。

車内には、ネットやトレイなど、いくつか小物入れが追加されている。前衛的なデザインに感じられる一方で、部分的に肉薄なパネルや安っぽいプラスティック製部品が目に付く。ハンドブレーキなどは特に、雰囲気を壊していると思う。

スマートEQ フォーツーのラインナップはかなりシンプル。15インチのアルミホイールにハロゲンのヘッドライト、7インチのインフォテインメント・モニターを装備するパッションがエントリー・トリムグレード。

その上のパルス・プレミアムには16インチのアルミホイールにパノラミックルーフなどが付く。トップ・トリムグレードのプライム・エクスクルーシブは2300ポンド(32万円)増しだが、LEDヘッドライトにヒーター内臓のレザー張りシート、アンビエントライトが追加される。

大きな課題が17.6kWhのバッテリー

限定仕様として英国ではエディション・ワンも用意。ブラバス製の追加パーツと合わせて、艶のある赤と黒のボディトリムが身を飾る。英国政府の補助金、3500ポンド(50万円)を引いても、価格は2万3065ポンド(329万円)だから、さほど多くが英国の道を走るとは思えないが。

テスト車両が装備していたパノラミックルーフは、爽快な雰囲気を車内に与えてくれる。ブレーキのサーボが強すぎる傾向があったが、全般的にはとても気軽に都市部を走り回れるはず。

インフォテインメント・システムの仕上がりは、正直悪い。アップル・カープレイが4月から利用できるようになるから、待ちたいところ。

スマートで最も大きな課題が17.6kWhという容量のバッテリー。容量はかなり小さい部類に入り、数字が甘いNEDC値での航続距離ですら、160kmに届かない。

都市部での利用前提の小さなEVとして、かつては短い航続距離でも許されていたかもしれない。だが、同カテゴリーのスコダ・シティゴーの場合、より現実に近いWLTP値で257kmも走る。とても心もとない航続距離に見える。

スマートEQ フォーツーは、このカテゴリーの中で最もキビキビ走る、コンパクトな選択肢ではある。だが、4シーターのスコダ・シティゴーが備える、より実用的な航続距離と40kWという急速充電にも対応したバッテリーが、魅力的に映らない人はいないだろう。

スマートの受電容量は22kWで、104km程度の充電をするのに40分も掛かる。加えて価格差は小さい。

モビリティ・サービスで牽引できるのか

スマートというブランドを古くから支持する人にとって、リアモーター・リアドライブのスマートは、惹かれるパッケージングであるはず。最小回転半径はとても小さく、小回りも効く。

16インチ・ホイールを履く限り、英国より状態の悪いスペイン・バレンシア地方の道では、乗り心地は硬めだったが、過剰過ぎるほどではなかった。軽く動くステアリングホイールは、直感的に操れ感覚もしっかり伝わる。

2ドアのフォーツーの場合、ドアパネルが大きく、狭い駐車場では乗り降りがしにくい。4ドアのフォーフォーなら、Bピラーでドアが短く来られているから、同じ不便は感じないだろう。

総じて、個性的なデザインと小さなボディは、スマートEQ フォーツーを補完するには充分ではない。カーシェアといったモビリティ・サービスの開発に中期的に注力するという方針は、成功する可能性はある。だが、クルマの中身には、少々時代遅れ感が隠せないのだった。

スマートEQ フォーツーのスペック

価格:1万6850ポンド(240万円)
全長:2695mm
全幅:1663mm
全高:1555mm
最高速度:130km/h
0-100km/h加速:11.6秒
航続距離:146-157km(NEDC)
CO2排出量:0g/km
乾燥重量:-
パワートレイン:同期モーター
バッテリー:17.6kWh
最高出力:81ps
最大トルク:16.2kg-m
ギアボックス:シングルスピード

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