11月29日(土)、中東サウジアラビアで2025年WRC世界ラリー選手権の第14戦『ラリー・サウジアラビア』の最終日が行われ、ヒョンデ・シェル・モービスWRTのティエリー・ヌービル/マルティン・ウィダグ組(ヒョンデi20 Nラリー1)が総合優勝を飾った。そして3名のドライバーによって争われたドライバーズタイトルはTOYOTA GAZOO Racing WRTのセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が獲得。今季はパートタイム参戦で14戦中3戦欠場しながらも計6勝を含む10度の表彰台獲得となったオジエは、これで自身9度目のWRCタイトルを手にして過去最多タイの記録を達成した。
なお、大会最終日のみのタイムで競われる“スーパーサンデー”はオジエが最速となり、最終パワーステージはエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)がトップタイムを刻んだ。また日本の勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)はスペシャルステージ(SS)16で横転を喫するシーンも見られたが最終的に5位完走を果たした。そんな第14戦を終えた各陣営より、ドライバーたちのコメントが届いている。
9度目王座のオジエは「やっぱり強い!」と豊田章男会長。14戦中12勝のチームもねぎらい/第14戦後コメント全文
■Mスポーツ・フォードWRT
●グレゴワール・ミュンスター(#13 フォード・プーマ・ラリー1)/総合8位
「サウジは僕たちにとって新しい経験だった。暑く、苛酷で、さまざまな地形に挑戦する必要があった」
「非常に高速なセクションからテクニカルなステージ、そしてまったく異なるドライビングスタイルを必要とする深い砂や轍のあるステージまで、あらゆるものがあった。大きな問題もなく乗り越えることができてうれしい」
「ペースは期待していたほどではなかったが、総合8位でフィニッシュし、ポイントを獲得できたのだから着実な結果だ。チーム全員の努力に心から感謝している。長く厳しいシーズンだったが、良いこともたくさんあったので、そうしたことを振り返ることができるのはいいことだ」
●ジョシュ・マッカーリーン(#55 フォード・プーマ・ラリー1)/総合9位
「僕たちにとって難しいラリーだった。最初のステージでパンクがあったので、次の日に道路の掃除役をやることになってしまったのは、理想的なことではなかった」
「しかし、サウジアラビア初のWRCイベントに参加し、素晴らしい砂漠のステージを見ることができたのは信じられないような経験だった。パンクが多発したにもかかわらず、トップ10でフィニッシュできたことで、チームの力量が証明された」
「モータースポーツ・アイルランド・ラリー・アカデミー、ペースノートを担当したエオイン(・トレイシー)を含む関係者全員の大きな功績だ。今は、次に何が起こるか楽しみにしている」
●マルティン・セスクス(#22 フォード・プーマ・ラリー1)/リタイア
「ペースは出ていたし、正しいやり方で物事を進めることができているので、僕とレナール(フランシス・レナール/コドライバー)は少し安心している」
「これまでの懸命な努力の後で、チームとともに示すことができたことに満足している。WRCに戻って来られてうれしかったよ」
●ナッサー・アル-アティヤ(#20 フォード・プーマ・ラリー1)/総合15位
「ラリー1のクルマでここで競争できることを本当にうれしく思う。これを可能にしてくれたMスポーツに心から感謝したい。クルマを見つけるのは簡単ではなかったが、マルコム(・ウィルソン)に1本電話をかけたら、すぐにクルマが用意された」
「このレベルで競争できるのは素晴らしいことだ。普段はラリー2のクルマで競技に出ているが、ラリー1でこれらのステージを経験するのはまったく違うことだ。この経験に本当に満足している。来年も必ずまた出場したいと思っている」
■ヒョンデ・シェル・モービスWRT
●ティエリー・ヌービル(#1 ヒョンデi20 Nラリー1)/総合優勝
「前回の勝利から長い時間が経ったが、厳しい一年を経てシーズン終盤にトップの座に戻ることができてうれしい。僕たちはとても満足している」
「もちろんワン・ツー・フィニッシュを獲得することはチームにとって非常に重要なことで、全員が懸命に取り組んできた。今後数週間は、僕たちが2026年にふたたび勝利候補になるために、もっとも重要な時期になる。マシンにさらなるアップグレードと改良を加えるとともに、チーム内の体制も強化する必要がある」
「最近、僕たちはクルマの進化について多くのことを学んだ。そして今、それらの学びをパフォーマンスに活かすべくプッシュしていく必要がある」
●オィット・タナック(#8 ヒョンデi20 Nラリー1)/総合11位
「今日は出走順一番になるのに最高の日ではなかった。厳しい状況ではあったが、それでも僕たちは良いリズムとドライビングを維持するよう努めたよ」
「これらのクルマは現時点のモータースポーツで最高のもののひとつであり、ドライブするのは本当に楽しいし、外から見ていてもとても楽しめるだろう。今日は楽しもうとしていたし、とても楽しめた」
「この先がどうなるか見ていくことにしよう。物事がどれほど変化するかはわからないが、スポーツがどうなって、どこへ向かうのか見ていこう。僕はラリーに背を向けるつもりはない。ラリーは僕に多くのものを与えてくれたので、心から感謝している」
●アドリアン・フルモー(#16 ヒョンデi20 Nラリー1)/総合2位
「ペナルティを除けば、今回のラリーをうまくやり遂げられたことに本当に満足している。他のクルーとは反対に、僕たちは最初からソフトを選ぶ決断をしたが、それは正しい選択だった」
「僕たちは他のドライバーたちが追いついてくるプレッシャーに対処していたし、走行中も自制心を保つことができて本当に良かったと思う。非公式の勝者は僕たちだ!」
「スピードがあり、マネジメントができ、信頼性もある。こうしたことは来年へのモチベーションを維持するために必要なことだ。今年僕たちが前進したことを疑う理由は何もない」
■TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)
●エルフィン・エバンス(#33 トヨタGRヤリス・ラリー1)/総合6位
「この週末、自分たちにできることはすべてやったと思う。金曜日のタイヤ交換はプラスにならなかったが、それは今週の戦いの要素のひとつであり、誰もが公平に問題を抱えていた」
「今日2本目のステージではあまり良い走りができず、今週末は砂の多いセクションで少し苦労した。そして他の多くのドライバーも問題を抱えていた状況で、セブが上位に躍り出た。私たちにとっては残念な結果だが、セブとヴァンサンは年間を通して素晴らしい戦いをしてきたので、タイトルを獲得するに相応しいと思う」
「僕はコンペティターとしてつねに上を目指しているが、素晴らしいチームに支えられ、最後まで後押ししてもらえたことで、良いシーズンを過ごすことができたと思う。素晴らしい仕事をしてくれたチームの皆に感謝する」
●カッレ・ロバンペラ(#69 トヨタGRヤリス・ラリー1)/総合7位
「セブとヴァンサンのタイトル獲得を祝福する。彼らは今年素晴らしい戦いを続けてきたので、間違いなくチャンピオンに相応しいと思う」
「自分たちが望んでいたような最後のラリーにはならなかったが、タフな戦いになることは最初から分かっていた。それでも今は良い気分だ」
「もちろん、人生の大きな部分を占めてきたこのスポーツと仲間たちから離れるのは悲しいが、それと同時に自分たちが成し遂げたことに誇りを感じている。本当に素晴らしい経験だった」
「感謝すべき人は多数いるが、何よりもまず、素晴らしい時間を共に過ごし、輝かしい結果を残し、多くの楽しい瞬間を共有してきたヨンネに感謝する。そして、この素晴らしい年月を共に過ごしてきたトヨタとチームの皆にも感謝する」
●セバスチャン・オジエ(#17 トヨタGRヤリス・ラリー1)/総合3位
「エルフィンとスコットとの戦いは本当に壮絶だった。偉大なチャンピオンには偉大な対戦相手が必要で、彼らは最後まで非常に強く、我々は今年最後のステージまで追い詰められた」
「彼らふたり、カッレとヨンネ、そしてチーム全員におめでとうと言いたい。とても成功したシーズンで、このファミリーの一員であることを誇りに思い、幸せを感じている」
「家族と過ごす時間を増やすためラリーへの取り組みかたを変えると決めた後、9度目のタイトル獲得という瞬間が訪れるとは夢にも思わなかった」
「この素晴らしいチームと共に仕事ができる機会に恵まれたこと、そして私の横で驚くべき仕事ぶりを見せ、私を鼓舞し、若返らせてくれた若いコドライバーに出会えたことに感謝する。共に素晴らしい仕事を成し遂げてきたので、今日はヴァンサンの勝利を喜ぶ気持ちの方が強いが、もちろん自分にもおめでとうと言いたい」
●勝田貴元(#18 トヨタGRヤリス・ラリー1)/総合5位
「このラリーを完走することができたのは良かったですが、今日はより良い結果を得られたはずです。最終ステージの1本前で、少し楽観的なペースノートが原因でコースアウトするまでは表彰台を争っていました」
「コースを外れて戻ろうとした時、非常に柔らかい砂に足をとられ、それが転倒の原因となりました。週末を通して注意深く走っていただけに、こんな小さなミスを犯してしまったのは本当に残念ですが、これもラリーです」
「チームには申し訳ない気持ちですが、今年自分が受けた素晴らしいサポートに感謝していますし、より強くなって戻ってくるために一生懸命努力します」
■TGR-WRT2
●サミ・パヤリ(#5 トヨタGRヤリス・ラリー1)/総合4位
「初優勝を目標に掲げてこのラリーに臨んだが、大半は順調だった。昨日の午後に起きた出来事は残念で、それが原因でより良い結果を得ることができなかったが、初開催の難しいラリーで今週自分たちが発揮したパフォーマンスにはとても満足している」
「ラリージャパンでの表彰台を経て、この最初のシーズンを非常に良いフィーリングで終えることができた。自分たちがより速く、強くなるために素晴らしい仕事で支えてくれたチームに心から感謝する。来年に向けて期待が高まっていて、とても楽しみだ」
[オートスポーツweb 2025年12月01日]
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