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【新シーズンF1読本(後編)】正念場を迎える角田裕毅。真のマニュファクチャラー参入への期待と史上最多開催の課題

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【新シーズンF1読本(後編)】正念場を迎える角田裕毅。真のマニュファクチャラー参入への期待と史上最多開催の課題

 2023年F1始動が近づきつつあるなか、ベテランモータースポーツジャーナリスト、ピーター・ナイガード氏が、来るシーズンに注目する10の項目を挙げた。前編「フェラーリに黄金期以来のフランス人代表。アロンソのハネムーン時代の限界点とハミルトンの去就」 に続く後編では「重要な一年を迎える角田裕毅」「時間切れが迫るウイリアムズ」「新ラスベガスGPのビジネスプラン」「新たなマニュファクチャラー参入への期待」「史上最多開催数のシーズン」について紹介する。

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【新シーズンF1読本(前編)】フェラーリに黄金期以来のフランス人代表。アロンソのハネムーン時代の限界点とハミルトンの去就

■重要なシーズンに臨む角田裕毅

 2023年は角田裕毅にとって極めて重要な年になる。彼はこれまで順調に進歩し続け、F1で3年目を迎える。今年はこれまで以上のものが求められるだろう。

 ドライバーにとってF1での3年目は、大きく成長しなければならない時期だ。最初の2シーズンのチームメイトは経験のあるピエール・ガスリーで、今年はガスリーに代わってF1ルーキーのニック・デ・フリースが加入した。

 デ・フリースはメルセデス傘下のドライバーで、リザーブも務めてきたことから、同チームで何度もテストをした経験を持つ。2022年イタリアGPでは病欠したアレクサンダー・アルボンの代役を急きょ務め、見事な走りを見せた。

 F1は非常に厳しく無常な環境だ。角田がF1に残るためには、2023年にデ・フリースよりも圧倒的に優れた結果を出す必要がある。時折感情を爆発させることがある角田だが、まず感情をコントロールしなければ、好結果を安定して出し続けることはできない。さらに、調子の良いときと悪いときの差を縮めることも重要だ。良いときの角田は非常に優れたパフォーマンスを見せて、F1シートにふさわしいドライバーであり、アルファタウリより良いチームに行くべきだとすら思わせる。だが時には、本当にこの週末に走っていたのかどうか、エントリーリストを見直したくなるような日もあるのだ。

■ウイリアムズは浮上できるのか

 2023年にウイリアムズが向上するかどうかに注目すべきだ。1990年代に大きな成功を収めた名門チームでありながら、この数年、低迷から抜け出せずにいる。過去5年のうち4シーズン、コンストラクターズ選手権最下位に沈んでいるのだ。唯一、2021年には8位に浮上、希望が見えたが、2022年に再び10位に戻ってしまった。

 2020年8月にウイリアムズファミリーからチームを買収したドリルトン・キャピタルの忍耐が永遠に続くとは限らない。昨年12月には、チーム代表ヨースト・カピートとテクニカルディレクターのフランソワ-グザビエ・ドゥメゾンがチームを離脱し、さらに多くのチームメンバーが去るといううわさもあった。後にメルセデスF1チームで戦略責任者を務めたジェームズ・ボウルズが新チーム代表に就任。新体制となったウイリアムズが2023年をどのように乗り切るのかを見ていきたい。

■ラスベガスGPの新しいビジネスプラン

 今年カレンダーに加わったラスベガスGPは非常に興味深い。まず、新しいサーキットを見るのが楽しみだ。有名なラスベガス・ストリップの一部が含まれるコースでF1マシンが走る光景は壮観だろう。

 しかしサーキット以上に興味深いのは、ラスベガスGPのビジネスプランが、他のグランプリとはかなり異なっていることだ。まず、F1自体が地元プロモーターと密接に連携し、サーキットのインフラに多額の投資を行っている。F1のオーナー、リバティ・メディアは、サーキットに隣接する土地に新しいピット&パドックビルディングを建てるために、2億5000万ドル(約326億円)を支払ったと言われている。

 さらに、ラスベガスGPが主に対象としているファンは、一般的なF1ファンではなさそうだ。チケット料金の最低価格は500ドル(約65000円)で、市内の高級ホテルが数千ドル(数十万円)のパッケージを用意している。ラスベガスGPのグランドスタンドには、熱狂的なF1ファンというよりも、大金持ちが並ぶことになるだろう。

 ラスベガスGPのビジネスプランは、F1がこれから目指していく方向なのか、このグランプリのみの特徴になるのかを見ていくことも面白い。


■新たなF1参戦計画が明らかになるか

 F1に前回新しいマニュファクチャラーが参入したのは遠い昔のことだ。アルファロメオ、アストンマーティン、アルピーヌは既存のチームと提携しただけだ。真の意味での新たなマニュファクチャラー登場としては、2015年のホンダまで遡ることになる。

 2026年から参入するアウディは、ザウバーを買収するわけだが、アルファロメオ、アストンマーティンとは異なり、自身でエンジンを製造する計画であり、はるかに本格的で予算のかかるプロジェクトだ。

 2026年の新エンジンレギュレーションと、F1の最近の成功により、自動車メーカーにとってF1は非常に魅力的なものになっている。ホンダが再び参戦するのか、フォードやヒョンデなどに動きがあるのか。2023年に新しい発表があるのかどうか、楽しみだ。

■史上最多開催数のシーズンにおける課題

 2023年は23戦で開催され、F1史上最長のシーズンとなる。F1で働く人々のなかには、このハードスケジュールによって疲労し、燃え尽きてしまう者もいるだろう。それを防ぐために、チームはスタッフをローテーションする計画を立て、すでに実行に移しているチームもある。

 この数年、チーム代表が一部グランプリを欠席するケースも見られるようになってきたが、当然のことながら、ドライバーは全戦参加しなければならない。ファーストクラスやプライベートジェットで移動することが多少の助けにはなるものの、それでもマックス・フェルスタッペンやケビン・マグヌッセンは、最初に計画されていた24戦は多すぎると主張していた。

 しかし真の問題は、テレビ視聴者がこれだけの開催数をどう受け止めるか、ということだ。それはF1の収入において非常に重要だ。視聴者はレース数増加にどう反応するだろう。3月から7月末までの5カ月のなかで13戦、夏休みをはさんで、8月末から11月末までに10戦だ。後半戦の3カ月には、グランプリのない週末は4回しかない。これだけ頻繁にレースを行っても、ファンを惹きつけられるほど、F1の魅力は大きいのかどうか、試される年にもなるだろう。

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みんなのコメント

1件
  • まあダメならEVレースに行くか、
    小林可夢偉と同じく国内レースで一生楽に暮らすか
    F1 レーサーの夢は叶ったし、もういいんじゃない?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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