6月12日、フランスのサルト・サーキットでWEC世界耐久選手権第4戦ル・マン24時間レースの『予選』のセッションが行われ、BMW MチームWRTの15号車BMW MハイブリッドV8(ドリス・ファントール/ラファエル・マルチェッロ/マルコ・ウィットマン)が、ファントールのアタックにより最速タイムをマークした。
ル・マンの決勝グリッドを決める公式予選は、『予選』と『ハイパーポール』の2ステージ制。この日の予選セッションで各クラス(ハイパーカー、LMP2、LMGT3)上位8台に入ると、13日の上位グリッド決定セッション、ハイパーポールへと進出できる。
19時、気温19度/路面温度29度というコンディションのなか、1時間の予選セッションが始まる。規則で許されるセッション開始2分前になると、各車が我先にとファストレーンに並んだ。
計測1周目のアタックから、各車はテストデーやFP1までよりも速い3分25秒台へと突入し、アントニオ・フォコの50号車、アレッサンドロ・ピーエル・グイディの51号車、イーフェイ・イェの83号車と、フェラーリ499P勢がワン・ツー・スリーを形成する。
コースインをやや遅らせて最初のアタックを行ったトヨタGR010ハイブリッドの2台は、ブレンドン・ハートレーの8号車が暫定3番手に。そして、小林可夢偉の7号車が3分24秒754で暫定トップに立つ。
直後、2周目のアタックに入った陣営も24秒台に入れ始め、50号車のフォコは3分24秒741、さらに3号車キャデラックVシリーズ.Rのセバスチャン・ブルデーが3分24秒642をマークしてタイミングモニターの最上段に躍り出た。キャデラックは2号車のアレックス・リンも4番手へとポジションを上げるが、35号車アルピーヌA424のポール・ループ・シャタンも24秒台に入れ、リンの前に立つ。
セッション中盤の時点で、暫定首位の3号車キャデラックから、12番手の8号車トヨタまでは1秒以内という僅差の戦いに。いよいよハイパーポール進出をかけた終盤戦へと突入していく。
残り10分、それまで進出圏外だった6号車ポルシェのケビン・エストーレが、6番手へとポジションを上げる。
残り8分、エストーレの浮上によって9番手へと脱落していた15号車BMWのファントールが3分24秒465へと全体ベストを縮め、トップへ。直後、エストーレはミュルサンヌでコースアウトを喫するが、すぐにコースへと復帰。4号車ポルシェ、311号車キャデラックらもラストアタックに出るが、タイム更新はならなかった。
各車が最終アタックを行うなか、7号車トヨタの可夢偉がカーティングでコースオフを喫し、残り2分27秒で赤旗が提示される。すぐさま、「セッション再開はなし」との判断が下され、ここで予選は終了となった。
この時点で7号車トヨタは4番手だったが、赤旗原因となったことで審議対象となっている。
ハイパーカークラスのハイパーポール進出車両は、トップから順に15号車BMW、3号車キャデラック、50号車フェラーリ、7号車トヨタ、35号車アルピーヌ、2号車キャデラック、51号車フェラーリ、6号車ポルシェの8台となった。8号車トヨタは12番手に終わり、ハイパーポール進出を逃している。結局、この8号車までが首位から1秒以内という、僅差の予選となった。今季デビューしここまで苦しんでいたBMW Mハイブリッド V8の速さ、そしてテストデーから好調ぶりを見せていたポルシェ963勢のハイパーポール進出は1台という、驚きにあふれた予選となった。
【追記】
審議対象となっていた7号車トヨタにWEC競技規則10.2.4『赤旗原因車両』に基づき全ラップタイム抹消の処分が下り、可夢偉組は暫定4番手から61番手に降格。これにともない5番手以下の順位がひとつずつ繰り上がり、暫定9番手で予選を終えた12号車ポルシェ963がハイパーポール進出を果たすこととなった。
また、その後発行された審査委員会の決定No.56では、7号車トヨタはハイパーカー・カテゴリーの最後尾からレースをスタートすることになると記されている。
LMP2クラスでは、序盤のアタックでAO・バイ・TFの14号車オレカ07を駆るルイ・デレトラズが暫定トップに立っていたが、セッション中盤にはクール・レーシング37号車での宮田莉朋のチームメイト、マルテ・ヤコブセンが最速タイムをマークした。これがセッション終了まで最速として残り、37号車はトップタイムでハイパーポール進出を決めた。
LMGT3では、プロトン・コンペティションの77号車フォード・マスタングGT3(ライアン・ハードウィック/ザカリー・ロビション/ベン・バーカー)が首位に。70号車マクラーレン720S GT3 Evo(インセプション・レーシング)が2番手となった。
3番手はダニエル・ジュンカデラがアタックした82号車シボレー・コルベットZ06 LMGT3.R(TFスポーツ)。これにより、小泉洋史はハイパーポールへの出走を決めた。さらに日本籍チームの777号車アストンマーティン・バンテージAMR LMGT3(Dステーション・レーシング)もマルコ・ソーレンセンが8番手に入ったことで、星野敏のハイパーポール出走が決定している。
佐藤万璃音がアタックを担当した95号車マクラーレン720S LMGT3エボ(ユナイテッド・オートスポーツ)は19番手。木村武史の87号車レクサスRC F LMGT3(アコーディスASPチーム)ではエステバン・マッソンがアタックし、クラス10番手と惜しくもハイパーポール進出を逃している。
このあと、日没後の現地時刻22時からは、2時間のフリープラクティス2が行われる。
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みんなのコメント
実質的な速さは認め、9番手が 打倒だろう
何れにしても オーガナイザーは、ポルポルがスーパーポールで ポッと…ホッとしているだろう