9月1日にアメリカ・テキサス州のオースティンで行われたWEC世界耐久選手権第6戦『ローンスター・ル・マン』の決勝レースにおいて、BMW MチームWRTが走らせる2台のBMW MハイブリッドV8は、「フェラーリと戦うことのできる、力強いパフォーマンス」を発揮した。
ドリス・ファントールとラファエル・マルチェッロ、マルコ・ウィットマンが乗り込んだ15号車BMWとシェルドン・ファン・デル・リンデ、ロビン・フラインス、レネ・ラストのトリオがシェアする20号車BMWは、とくにレースの前半に表彰台を争うペースを見せていたが、後者はレースの終盤にふたつのペナルティを受けて後退。14番手でフィニッシュした後、ライバルがタイムペナルティを受けたことから最終結果は13位に。
BMW Mハイブリッド V8が初めて2台でハイパーポール進出「キャデラックやアルピーヌと戦うことはおそらく可能」
一方、姉妹車の15号車はBMWのLMDhカーにとって今季ベストリザルトとなる総合8位入賞を果たした。チームのこれまでの最高位は、同じく15号車BMWが前戦サンパウロで記録した9位だった。
この2024年からWECのハイパーカークラスに導入されている2台のBMW MハイブリッドV8は、シーズンの終わりから3番目のラウンドの舞台となったサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で、レースウイークの初日から速さを見せていた。それを裏付けるように翌日の予選日では、前戦まで9つのハイパーカーメーカーがしのぎを削り毎戦激しい競争が繰り広げられているカテゴリーにおいて、予選トップ10マシンが駒を進めることができる二次予選“ハイパーポール”に初めて2台同時に進出したのだ。
そのハイパーポールで4列目の7番グリッドと同8番グリッドを得たBMW勢は、決勝レースがスタートしてまもなくウィットマン駆る15号車と、ラストがドライブする20号車とがそれぞれ4番手と5番手に順位を上げ、序盤にワン・ツー・スリーを形成したフェラーリ499P勢に肉薄。ともに表彰台を狙えるポジションをにつけ、とくに20号車は2回目のスティントの終わりまでにトップに迫る走りを見せた。
しかし、レース後半にフラインスがフルコースイエロー下での速度違反を犯したため、終盤にドライブスルーペナルティを受け、さらにBoP(バンラス・オブ・パフォーマンス=性能調整)で指定されている『スティントあたりの最大エネルギー量』を超過したとして、100秒間のストップ・アンド・ゴー・ペナルティーが科されることとなった。
これにより大きく順位を落とした20号車は総合13位で今大会を終えることに。対して姉妹車の15号車BMWはスピンなどで順位を落としながらも、粘りの走りでベストリザルトを更新する8位入賞を実現している。
■開発陣やチームの努力が報われた週末
「浮き沈みの激しい週末だった」とCOTAの週末を振り返るのは、BMW Mモータースポーツのボスであるアンドレアス・ルースだ。
「レースウイーク最初の練習セッションから、我々のBMW MハイブリッドV8は力強いパフォーマンスを見せていた。また、競争の激しいハイパーポールに初めて2台のクルマが出場できたことも素晴らしかった」
「レースのスタートは、我々のクルマが1ラップだけでなくレース中も安定して速いペースを維持し、(優勝した)フェラーリ499Pと戦うことができることを示したと思う」
「残念ながらレース終盤にミスがあったが、トップを目指すうえではあってはならないことだ。これは分析する必要がある」
「ポジティブな面では、クルマのパフォーマンスが良かったことと、クルマを開発に懸命に取り組んだことが報われたと言えるだろう。パフォーマンスは確実に一歩前進した。これを可能にしたチーム全員のハードワークに感謝したい」
チーム代表のヴァンサン・ボッセも「もちろん、最終的な結果には満足していないが、非常にポジティブに受け取れることもある」とルースに同調したうえで、次のように続けた。
「レースの前半でフェラーリ勢についていくことができたのは我々だけだった」
「これからは最後までミスなく走る方法を学ばなければならない。しかし、いまは前に向き2週間後に富士で開催される次のレースに集中していこう」
20号車のドライバーであるラストは、9月13~15日に静岡県小山町の富士スピードウェイで開催される今季第7戦に向け、「富士でふたたびアタックし、ここでの戦いと同じように競争力を発揮できることを願っている」と抱負を語っている。
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