6月14日、ACOフランス西部自動車クラブはル・マンで行われた年次記者会見において、新しいLMP2レギュレーションの導入が2026年からさらに2年延び、2028年になることを明らかにした。
当社は2024年に施行される予定だった新レギュレーションは、計画から1年延期され、さらにもう1年延長されたあと、今回3度目の延期を経験することとなる。
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現行のLMP2マシンは、引き続きELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズとAsLMSアジアン・ル・マン・シリーズ、そしてル・マン24時間レースに出場することが可能だ。また、北米のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権についても2025年シーズン末まで出場資格があることが確認されている。
ACOによると今回の動きは、当該クラスの「人気が続いている」ことが理由だという。
昨年、ギブソン・テクノロジーが少なくとも2030年までは次世代ルールに対応するパワープラント・サプライヤーとして発表された。また、LMDhのコンストラクターであるオレカ、ダラーラ、マルチマチック、リジェがマシンを製造する資格があると理解されている。
ふたたび遠のいた新規定は、現行のLMP2ルールよりもエンジンが小型化されるほか、車両も軽量化される予定だ。
■チームの財政面では助かる
LMP2のチームオーナーとコンストラクターは、今回の遅れに複雑な想いを抱いている。
ユナイテッド・オートスポーツのCEOであるリチャード・ディーンはSportscar365に次のように語った。「(現在の)マシンを延長するというこの決断は、財政的なプレッシャーから解放するものだ。とくに我々はELMSとIMSAのプログラムを持つ数少ないチームのひとつだからね」
「そのレベルに戻るためにマシンを全面的に変更するのは大きな投資だ。現在、我々のチームは6台のマシンを所有している」
「レーシングチームは大金を稼いでいるというのが一般的な見方だが、そんな大金はない。もしも新しいマシンを買わなければならなくなったとしたら、その資金をどう調達するかという課題がある。そのプレッシャーがなくなるのはいいことだ」
「しかし、新型車を導入することは技術的な挑戦という意味で興味深いものになるだろう。新車からパフォーマンスを引き出すための設備は充分に整っていると思う」
「私はどちらかの決断をして解決策を見つけ出していただろう。それが現実だ。彼らがなぜそうしたのかは理解できる」
■決定を支持するが「競争がしたい」とダラーラ
TFスポーツのチーム代表であるトム・フェリエは、今回の件に関してはさまざまな意見があると語った。
「現在のチームの多くは、『壊れていないなら直さなくていい』というアプローチをとっていると思う」とフェリエはSportscar365に語った。
「クルマは素晴らしいし、みんなキットをすべて揃えている。レースは本当にいいし、クルマのパフォーマンスもいい。新らしいクルマが必要だろうか」
「しかし、どこか(のタイミング)で新型車を手に入れなければならない。だから、私たちはある時点で我慢しなければならないんだ」
「正直なところ、私はそれについて少し迷っている。ほとんど言われたとおりにするがね」
イタリアのダラーラ社は、新レギュレーションの早期導入に賛成していたシャシーコンストラクターのひとつであると目されている。
「私たちは最初から自分たちの立場を明確にしていた」と同社のマックス・アンジェレッリはSportscar365に語った。
「第一に、我々は委員会(の決定)を支持する。私たちは自分たちが行ったすべての技術的作業を支持し、ACOとFIA国際自動車連盟に協力する」
「我々としては(新しい)LMP2レギュレーションの確定を望んでいた。しかし、彼らは(導入をふたたび延期することを)決めた。それでも我々は彼らの決定を尊重する」
「(オレカなど他社との)競争は延期されるが、レースは行われる。今がどうであれ私たちはレースを愛しているので、競争する機会を失ったように感じている」
「私たちは競争がしたいんだ」
現行規定において、すべてのLMP2チームは、オレカ、ダラーラ、リジェ、マルチマチックの各社からシャシーを購入してレースに参加することができる。しかしながら4社から現行車がデビューした2017年以降、各シリーズでパフォーマンスや総合的なコストパフォーマンスに優れる『オレカ07・ギブソン』パッケージへの収束が年々進み、いまやLMP2カテゴリーは事実上のワンメイクとなっている。
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