10月23~27日、スペインのバレンシアで開催されたFIAモータースポーツ・ゲームスのF4に、日本のFIA-F4を代表して派遣された森山冬星とHELM MOTORSPORTSの平木湧也代表が、11月3日にスーパーGT第8戦もてぎの決勝日に行われたGTA定例記者会見に先立ち、参戦の報告を行った。
モータースポーツのオリンピックとして2019年から開催されているFIAモータースポーツ・ゲームスは、さまざまなカテゴリーを国別代表のドライバーが争い、上位3名にメダルを授与。各国のメダル数で上位を争う。日本からはJAF日本自動車連盟が各カテゴリー1名のドライバーを選出したが、F4についてはFIA-F4ジャパニーズ・チャンピオンシップを運営するGTアソシエイションに選出の要請があり、実績を考慮し森山が選出されていた。
予選ヒートからペナルティ続発の波乱。勝者失格により南米王者モンテネグロが金メダル獲得/FIA MSG
オートポリスでのFIA-F4が終わり、すぐにスペインに向かった森山とHELM MOTORSPORTSの平木湧也代表は、初めてのコース、初めてのタトゥース製F4、初めてのピレリタイヤと初物尽くしだったが、フリープラクティスではトラブルもあり1回目は15番手、2回目は13番手だったものの、予選では8番手につけてみせた。
予選レースを経て迎えた決勝では6位でフィニッシュし、レースウイークを通じてポジションを上げてきた森山だが、帰国してすぐにFIA-F4もてぎ大会に参戦。11月3日のGTA定例記者会見で、モータースポーツ・ゲームス参加の感想を語った。
「結果は6位で終わりましたが、すごく悔しいものになりました。まだまだ日本でしっかりレベルアップしなければと実感しましたし、もっとヨーロッパでレースしたいと感じました」と森山は振り返った。
また、初めてのことが多いなかだったが、「練習の時間がなかったのがいちばんでした。トップとの差も埋められたと思いますし、常にトップ3に入る速さはあったと思っています。また海外特有の縁石の使い方も、フォーミュラではあまり使ったことがなかったので、それがすごく難しかったです。速さも証明できたので、通用すると思っています」と今後に繋がる参戦になったと語った。
森山の戦いを近くで見守ってきた平木は「僕たちがやっているレースフォーマットとはまったく異なり、予選レースが予選と決勝の間にあったりと、練習時間はかなり少なく、調整することは難しかったです。そのなかでドライバーが頑張ってくれて6位という結果を残せたのは、自信をもてるものになりましたし、日本のレベルの高さを示すことができたと思っています」という。
「車両が日本だけ違いますし、バレンシアを走ったことがあるヨーロッパのドライバーが半分以上でした。そういった経験値は彼らの方がありますが、森山選手は初めてのサーキット、タイヤ、クルマと2セッションしかない中で、しかも予選がいきなり雨のなかで8番手につけることができました。セッションを重ねるごとに順位を上げてくれました」
また、日本でも厳しくペナルティがとられるトラックリミットについても「今年からすごく厳しくて、モニターにも四輪脱輪の回数がリアルタイムに表示される状況でした。四輪脱輪しないようにレースをするのも難しかったですし、FIAの裁定方法も、ドライバーひとりひとりに話を聞きながら判定したりと、すごく刺激的な大会だったと思います」と振り返っている。
そんなふたりの報告を横で聞いたGTアソシエイション坂東正明代表は現地にも訪れていたが、このモータースポーツ・ゲームスへの参加に対し、日本チームとして「統制がとれていなかったし、チームジャパンとして参戦するなら最大限の努力をして、ドライバーの力を発揮できるようなもの」にすべきだと次回に向けて語った。今回のモータースポーツ・ゲームスでは、日本勢のメダル獲得はゼロだった。
また「向こうが優れているものがあれば採り入れて、ステップを踏んでいかなければ。環境の違いもあるけれど、ステップアップして海外にいくときに、“井の中の蛙”になっては困ってしまう」と今回のモータースポーツ・ゲームス参加で得たものを、日本のFIA-F4にもしっかり採り入れて欲しいと要望を語った。
「反省もあるけど、良かった点もあるので、これが2年後の開催に繋がるようにしたい。『チームジャパン』がひとつでやれるようにしたい」
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