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オンでもオフでも「クラス最高峰」! ランドローバー・レンジローバーへ試乗 推しはSWBのD350

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オンでもオフでも「クラス最高峰」! ランドローバー・レンジローバーへ試乗 推しはSWBのD350

SWBにLWB 多様な仕様を擁するレンジローバー

半世紀以上の進化を重ねてきた、ランドローバー・レンジローバー。広大な領地の確認や、子供の学校への送迎、週末の買い物やオペラ鑑賞など、すべてをこなせる高級オフローダーとして、多くの人を豊かにしてきた。

【画像】オンでもオフでも「クラス最高峰」 ランドローバー・レンジローバー 競合の上級SUVたち 全195枚

現在のランドローバーは、130か国以上でレンジローバーを提供している。それぞれの需要に合わせるべく、複数の仕様を用意して。

ボディの長さは2種類。スタンダード・ホイールベース(SWB)と、ロング・ホイールベース(LWD)には7シーター版もある。トリムグレードは、それぞれ4種類から2種類をラインナップ。特注のスペシャルビークル・オペレーションズ(SVO)も擁する。

全長は、SWBが5052mmで、LWDは5252mm。全幅は共通で1990mmある。パワートレインは、ガソリンとディーゼルのエンジンに加えて、プラグイン・ハイブリッドも選べる。ただし、LWDでは選択肢が限られる。

これだけ多様な仕様があるだけに、レンジローバーの真のライバルを決めるのは、簡単ではない。悪路性能や歴史の長さで比較すれば、メルセデス・ベンツのGクラスだろう。

スポーティなオンロード性能では、BMW X7かもしれない。上流階級的な雰囲気では、ベントレー・ベンテイガが当てはまりそうだ。

プラットフォームは、80%がアルミニウム製のMLAフレックス。他のランドローバーと、多くの部品を共有している。CピラーやDピラー、フロントドア周辺には、スチール製の補強材が仕込まれ、ねじり剛性は先代から50%上昇。1度当たり、3.3tだという。

エアサスが標準 上品でクラシックな車内

サスペンションは、前がダブルウィッシュボーン式で、後ろが5リンク式。車高調整可能なエアスプリングが、全車標準となる。悪路に備えて135mm高くできるほか、乗降性を良くするため50mm落とすこともできる。

地形に合わせてドライブトレインやサスペンション、トラクション・コントロールなどを統合制御する、テレインレスポンスIIも実装。電圧48Vで動作するアクティブ・アンチロールバーは、カーナビのデータを元にコーナーを予想し姿勢を制御する。

アクティブ後輪操舵システムも備わる。低速時には最大7.3度、フロントタイヤと逆位相にリアタイヤが向きを変える。トルクベクタリング機能や電子制御リミテッドスリップ・デフも、標準装備だ。

トランスミッションはZF社製の8速オートマティック。ローレンジ付きの四輪駆動だが、気温が3度以上で速度が160km/h以下など、条件次第では自動的に前輪駆動へ切り替わる。これにより、CO2の排出量を抑えている。

インテリアは、2002年のL322型へ通じる雰囲気。ダッシュボードは水平基調で、中央に13.1インチのタッチモニターが据えられる。上品でクラシックな雰囲気が好ましい。

アルミ風のパネルが、太陽の角度で眩しく感じることはあったが、内装の設えや素材は、10万ポンド(約1900万円)以上の英国価格にふさわしい。インフォテインメント用に独立したコントローラーがあれば、なお良い。

上下分割式のテールゲート オススメはD350

フロントシートはサイズが大きく、調整域が広い。運転姿勢は直立気味。ステアリングホイールやペダルは大きめで、シフトセレクターはモーターボートのスロットルのよう。その横に、テレインレスポンスIIのダイヤルがある。

メーターパネルはモニター式。クリアで見やすい。ステアリングホイールには、タッチセンサーが並ぶ。

後席側の空間は広々。SWBでは5シーターが標準だが、SVO仕様なら4シーターも指定できる。リアシートは、分割して折りたためる。テールゲートは上下分割式で、下側を倒してベンチにし、上側はひさしにできる。

インフォテインメント・システムは、ランドローバー独自のピヴィプロ。反応が素早く、メニューはタップしやすく、構造も理解しやすい。

カーナビや各種の車両設定、車内の照明まで、タッチモニターを介して操作する。音声操作機能や、アップル・カープレイとアンドロイド・オートにも対応する。

試乗車のエンジンは、直列6気筒ディーゼルターボ。D350の場合、350psと71.2kg-mを発揮する。マイルド・ハイブリッドで、静かで滑らかに回転し、鋭い加速を望んでも会話を邪魔することはない。

満タンのガソリンに大人が2名乗った状態で、0-100km/h加速は6.3秒。カタログ値には届かなかったが、不満なく速い。アクセルペダルのストロークが長く、加速時のキックダウンを引き出しやすく感じた。シフトパドルで、任意にギアも選べる。

リラックスして走らせれば、変速は殆ど感知できない。110km/h巡航時の回転数は、8速で1550rpm。これが1番のオススメ・ユニットだ。

ステアリングやペダルの正確で一貫した反応

プラグイン・ハイブリッドも軽く試乗したが、レスポンスは良好。3.0Lガソリンエンジンが静かに回転し、ディーゼルよりスポーティといえる。

BMW由来のV8エンジンも、レンジローバーにはぴったり。低速域では唸りをかすかに奏で、高回転域では洗練された響きを楽しめる。ただし、アクセルペダルの反応は少し予測が難しい。オーナーが望むような、洗練された加速感は引き出しにくいかも。

ブレーキは、もう少し強力でも良いだろう。計測時は路面が軽く濡れた状態だったが、110km/hから停止するまで66.2mが必要だった。

小柄とはいえないレンジローバーだが、GクラスやX7などより、車幅感覚は掴みやすい印象。大きなガラスエリアが、広い視界を生むためだろう。ボンネットの先端や、ボディ側面の位置を把握しやすく、ドアミラーも大きい。

ステアリングやペダルの正確で一貫した反応も、運転のしやすさへ貢献している。停止線に合わせて、スッと静かに止められる。狭いカーブで対向車とすれ違う場面でも、狙い通りに歩道側へ寄せられる。

これらは、車重を感じさせない敏捷性も生んでいる。有能なアクティブ・アンチロールバーとエアサスペンションの効果で、カーブでのボディの傾きは最小限。気持ち良く回頭していく。

住宅地の交差点では、後輪操舵システムが威力を発揮。都市部での取り回しに、大きな違いを生んでいる。

想像以上の悪路性能 クラス最高峰の快適性

悪路の走破性は、多くのユーザーの想像を超えるもの。これ以上を求めるのは、よほど冒険好きな人に限られるはず。むしろ、本来の能力を発揮させることのないオーナーもいらっしゃるはず。

エアサスペンションを持ち上げれば、最低地上高は295mmに。現行のGクラスより55mmも高い。渡河水深は900mmまで対応し、ボディが路面と接する角度、アプローチやデパーチャー・アングルもライバルへ並ぶ。

テレインレスポンスIIの処理能力も優秀。短いSWBのD350でも2430kgに及ぶ車重が、唯一の足かせだ。

燃費は、試乗車のD350で12.0km/L前後。高速巡航時は12.5km/Lへ迫る。V8エンジンを積んだP615になると、平均でも9.0km/Lを切る。排気量とサイズを考えれば、妥当といえるけれど。

多様な仕様から選べる、現行のレンジローバー。SWBで22インチ・ホイールのD350 が、最も望ましい組み合わせといえるだろう。とはいえ、乗り心地と車内の静寂性は、仕様を問わずクラス最高峰。インテリアも、高めの価格を納得させるものだ。

ランドローバーがレンジローバーへ投じた、膨大な技術には感服せざるを得ない。オンロードでもオフロードでも、能力は群を抜く水準にある。大型車が好まれる大陸市場を前提にしながら、島国でも乗りやすいという事実も、偉業の1つといっていい。

◯:並外れた洗練性と上質感 圧倒的なオフロード性能 素晴らしい車内空間
△:お高めな英国価格 D350でも2.5tある車重 もっと縮めたい制動距離

ランドローバー・レンジローバー D350 HSE(英国仕様)のスペック

英国価格:12万4245ポンド(約2361万円)
全長:5052mm
全幅:1990mm
全高:1870mm
最高速度:233km/h
0-100km/h加速:6.1秒
燃費:12.6km/L
CO2排出量:207g/km
車両重量:2430kg
パワートレイン:直列6気筒2997cc ターボチャージャー+ISG
使用燃料:軽油
最高出力:350ps/4000rpm
最大トルク:71.2kg-m/1500-3000rpm
ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)

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