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新型レンジローバーと比較 メルセデス・ベンツSクラス S 580e(3) 長期テスト

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新型レンジローバーと比較 メルセデス・ベンツSクラス S 580e(3) 長期テスト

積算9287km 新型レンジローバーと比較

先日、新型ランドローバー・レンジローバーへ試乗する機会があったのだが、その会場まで長期テスト車のメルセデス・ベンツSクラスで向かった。あまり適切な移動手段ではなかったようだ。

【画像】メルセデスのフラグシップ 新型Sクラス 最上級リムジンのマイバッハとBEVのEQSも 全99枚

ランドローバーにとって、レンジローバーはフラッグシップとなる最上級モデル。そのドライビング体験は素晴らしいものだが、世界最高峰のラグジュアリー・サルーンの1台から直接乗り変えてしまうと、公平な印象の評価が難しいことも事実だからだ。

レンジローバーはぬかるんだ斜面を難なく登り、砂漠を走り抜け、岩が露出した河川敷をものともしない。世界最高峰のラグジュアリー・オフローダーとして、まったく不足ない能力を備えている。

もちろん、サルーンのSクラスにはそんな条件は求めない。だとしても、同じ速度でアスファルトを走るレンジローバーがSクラスより静かではなく、快適ではないとしたら、指摘しないわけにはいかない。ラグジュアリー・モデルとして。

同時に小さな疑問も抱いてしまう。オフロード性能を極めた最高級モデルを、本当に作る必要性はあるのだろうか。殆どのオーナーは、恐らく舗装路から外れることはないと思う。せいぜい、草の生えた自らの敷地程度だろう。

驚くほど優秀なSクラスのPHEV

考えを逆転させ、新しいレンジローバーの印象からSクラスの体験を考察してみると、興味深いことも見えてくる。長期テスト車のS 580eと試乗したレンジローバーには、どちらも3.0L直列6気筒エンジンが載っている。英国価格も大差はない。

だが、S 580eはガソリン・ターボエンジンのプラグイン・ハイブリッド(PHEV)。レンジローバーは、マイルド・ハイブリッドのディテール・ターボだ。

筆者はこれまで、アウトドア・ライフの相棒としてディーゼル・エンジンのSUVを選んできた。だが、新しいレンジローバーの価格は縁遠くなるほど上昇してしまった。

Sクラスのパワートレインは間違いなく優秀。エンジンが稼働状態でも静かだ。トルクの太さにも驚かされる。最高出力はレンジローバーが350psであるのに対し、S 580eは510psもある。車重はどちらも約2tで近い。

燃費はレンジローバーが12.6km/Lと、このクラスとしては悪くない。一方のS 580eは、駆動用バッテリーが空の状態でも14.2km/L前後走れてしまう。満充電時でのカタログ値は100km/Lを超え、少々現実味があるものではないだろう。

実際の利用環境では、自宅で常に充電を繰り返した状態で、燃費は18.4km/L。エンジンを始動することなく、現実的に駆動用モーターで95km以上走れる能力も備えている。

実用的でクルマとして好ましいレンジ

レンジローバーの方が実用的で、クルマというモノとしても好ましい。インテリアの雰囲気も好きだし、乗り心地や洗練性にも優れている。Sクラスでは7シーターが選べない。その気になれば、未踏のジャングルに挑むこともできる。

だが筆者の場合、オフロードを走る場面は仕事での試乗企画くらい。高いガソリン代を自ら工面する必要があることを考えると、Sクラスの方が懸命な選択だといえそうだ。

積算9287km 狭い立体駐車場は苦手な「L」

ボディサイズの大きいメルセデス・ベンツSクラスと一緒の暮らしには、多少の試練も含まれる。狭い立体駐車場は、その最たる1つ。

先日も、ロンドンのガトウィック飛行場でその事実に直面した。多くの人は、ボディのワイドさを憂慮するだろう。だが、通常より長い全長は更にドライバーを手こずらせる。ホイールにガリ傷を付けてしまった。

もっとも、ロングボディのLを選んだのは筆者。悪いのは自分ではある。

テストデータ

気に入っているトコロ

PHEV:ディーゼルターボよりすべての面で優れたハイブリッドが、遂に登場した。

気に入らないトコロ

車線維持支援システム:Sクラスの場合、車線維持支援システムはデフォルトでオン。必要ない場合、メニューを探して毎回オフにする必要がある。

テスト車について

モデル名:メルセデス・ベンツSクラス S 580e L AMGライン・プレミアム・プラス・エグゼクティブ(英国仕様)
新車価格:11万3880ポンド(約1913万円)
テスト車の価格:11万3880ポンド(約1913万円)

テストの記録

燃費:19.9km/L
故障:なし
出費:なし

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