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GT300優勝にあと一歩まで迫った2号車muta Racing GR86 GT。450km富士戦で“スプラッシュ&ゴー”作戦がバッチリハマった理由

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GT300優勝にあと一歩まで迫った2号車muta Racing GR86 GT。450km富士戦で“スプラッシュ&ゴー”作戦がバッチリハマった理由

 今季初の450kmレースとして開催されたスーパーGT第2戦富士。戦略の幅も広がるこのレースで特に目立ったパフォーマンスを見せたのが、GT300クラスで2位に入った2号車muta Racing GR86 GTだった。

 GT300クラスの5番グリッドからスタートした2号車は、スタートドライバーの堤優威がわずか1周でピットに。短時間の燃料補給だけを行なう“スプラッシュ&ゴー”でコースに戻った。これは昨年から開催されている450kmレースにおいて、一部のGT300チームが採用している戦略のひとつで、今回3位に入った52号車埼玉トヨペットGB GR Supra GTも同様の戦略を採っていた。

■悔しくてしょうがない……24号車リアライズの平手、3番手走行中にGT300と不運な接触。しかしタイヤの進化には猛烈な手応え|スーパーGT第2戦富士

 富士スピードウェイを100周するこの450kmレースでは、レース中に2回の再給油が義務付けられている。言い換えると、最低でも2回はピットに入って給油をする必要があるのだが、タイヤ交換は任意、ドライバー交代もひとりの最大運転可能距離を超えない範囲であれば、必ずしもする必要はないのだ。

 本来であれば、燃費やタイヤライフのことを考えると、2回のピットインのタイミングを均等割りし、3つのスティントをそれぞれ30周~40周とするのが定石のように感じられる。しかし2号車はレース開始直後に早々に1回目の給油義務を消化し、50周近いロングスティントをこなした後に2度目のピットイン。そこで長めの給油とタイヤ交換、ドライバー交代を行なってレース後半を戦う……つまり事実上2スティントで戦うという変則的な戦略で優勝に近付いた。

 確かに、GT500よりは燃費やタイヤライフへの懸念が少ないGT300では、2号車のような作戦を実行することも可能。では、なぜ2号車はこの戦略に優位性を見出したのか? 堤は次のように説明する。

「JAF-GT(GT300規定車両)はストレートでGT3勢に劣るので、彼らが前にいると自分たちのポテンシャルをフルに発揮できないというネガティブな部分がありました。だからこそ、1周目にピットに入って燃料を入れれば、クリーンエアで走ることで自分たちの最大限の走りができると考えました」

 つまり、正攻法でレースを戦った場合、たとえ自分たちのレースペースが良くても、前にストレートの速いGT3車両がいればそこに引っかかってしまい、タイムをロスしてしまうと考えたのだ。

 実際、1周目でピットインしてGT300の集団から少し離れたところでコースに復帰した2号車は、当初トップと50秒近いギャップがあったが、そこから離されることなく、30周を終えた時点では45秒まで差を縮めていた。

 その後46周でピットインして平良響にドライバー交代した2号車は、67周目にレースリーダーの56号車リアライズ日産メカニックチャレンジGT-Rが2度目のピットインを終えた際、56号車の前に立ち、事実上のトップとなった。ただ、様々な戦略のチームが入り乱れるGT300において、2号車にとっても誤算な出来事が。まだ2度目のピットインを終えていない96号車K-tunes RC F GT3の高木真一に引っかかる形となってしまったのだ。

「あれがデカすぎましたね」と平良は振り返る。

「僕の気持ちとしては『すみません、譲ってほしいです……』という感じでしたが(笑)、もちろん高木真一選手も同一周回でしたし、向こうもレースをしていたので。あれで一気に追い付かれてしまいました」

 76周目になんとか高木を攻略した平良だが、56号車リアライズの名取鉄平に追い付かれる格好となり、87周目にGT500車両に進路を譲った際に名取が急接近。1コーナーのブレーキングでオーバーテイクを許し、2号車は首位陥落となった。

 その後、50周近く走ったタイヤながらも56号車の名取に食らいついていった平良。「タイヤは最後こっちの方が優勢でした」と語るように、最終ラップの最終コーナーでは名取のインをうかがって見せたが、最後は0.579秒届かず2位に終わった。

「悔しいレースになりました。抜けるチャンスがあった中で抜ききれずだったので、僕の責任と言いますか、もうひと頑張りしないとなというところです」と平良は悔しがる。一方堤は「作戦はうまくいったし、タイヤも最大限マネジメントできました。非常に悔しいですが、チームも含めてミスなく全力を出しきれたと思います」と振り返った。

 なお、今季は全8戦中5戦が450kmレースとなっており、具体的には今後の第3戦鈴鹿、第4戦富士、第5戦鈴鹿、第7戦オートポリスも450kmとなる。ただ富士以外のサーキットはタイヤへの攻撃性が高いため、今回のようなロングスティント戦略は有効ではないかもしれない。堤も「鈴鹿はデータを見る限り、(毎回のピットストップで)4輪交換した方が速いと思うので、予選で上位に行けるように頑張ります」と意気込んだ。

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